カリュプス侯爵
侯爵邸襲撃エルフ脱走事件より約10日後‥‥‥。
「ええい、あのマントと同じものを作れるものはおらんのか!!?」
カリュプス侯爵は荒れていた。
見せしめのためにせっかく捕らえたエルフには逃げられた。
屋敷は荒らされて、雇っていた私兵団はほぼ壊滅状態。
しかもそれをやったのが一人の男と複数の女だという。
衝撃波で吹き飛ばされたり、雷の魔法で全員気絶させたりと武闘家のスキルなのか魔法使いなのかよくわからない。
「カリュプス様、このマントは普通の職人では作れない事が判明しました。総ミスリル糸で出来ております」
「ミスリル糸だと!? ミスリルを糸になど出来るものか! 何かの間違いであろう?」
「いえ、間違いなくミスリルを糸状にして布の様に織ってあります」
「ぐぬぬ、なんと‥‥‥。あのエルフめ、どこでこんな技術を‥‥‥?」
タイタン王国は金属加工、中でも鉄の加工においては世界最高水準の技術を持っている。
更なる軍事力向上の為にミスリルの加工技術の研究に力を入れているところにこのミスリルのマントが手に入った。
ミスリルの軍事利用は魔法の扱いに長けたエルフ達との戦争に向けてのものだった。
ミスリルは魔法との相性が良い。剣に攻撃魔法を付与すれば魔法剣、盾に魔法バリアを付与すれば魔法に対しての最高の対抗策となる。ただし加工が難しくせいぜいが剣や槍、盾、鎧などが精一杯だった。より高い技術を模索していたところにこのマントだ。
「あのエルフをなんとしても探し出せ! このマントの技術をなんとしても突き止めるのだ!」
そこに一人の男が入ってきた。
「もしかしたらエルフの村にその様な技術があったのかも知れませんねぇ?」
「これは教祖様、この様なところに‥‥‥」
「侯爵様、エルフは見つけ次第殺すのです。見せしめなど必要ありません。ミスリルの加工技術は現在のもので充分でしょう」
「いや、しかし‥‥‥」
「何か?」
「いえ‥‥‥、わかりました」
そこに衛兵が一名、血相を変えて部屋に飛び込んできた。
「侯爵様!! この様なメッセージが残されております!!」
「!! なんと!? このメッセージはどうやって届いたのだ?」
「はぁ、それが‥‥‥、御足労願えますでしょうか?」
「はぁ? 私は忙しいのだ!! さっさと持って来い!」
「いえ、それが‥‥‥、持って来られないものでして‥‥‥」
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「な‥‥‥なんだ、これは!? この様な事が‥‥‥? 何故気づかなかったのだ!!」
「何か特殊な魔法でも使われたのか、我々としても全く‥‥‥」
「ええぃ! 使えんやつだ! おのれ‥‥‥、この様な所業をした輩を草の根を掻き分けてでも連れて来い!!」
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