宴の後
「この女エルフを地下牢に入れておけ!! 見せしめに公開処刑にする!」
「はっ!」
侯爵邸ともなれば地下牢などもあるんだろうな。
しかし、シルヴィア‥‥‥。
なんでこんなところに‥‥‥?
いや、それよりはまずブラス様を。
と、心配したが毒といっても即死するような毒では無かったようだ。解毒魔法でなんとか回復していた。
(‥‥‥ちっ! 生き残ったか。しかしもう一方は計画通りだ‥‥‥)
!!!!
はっきりと聞こえた。
侯爵はそっと呟いただけなんだろうが。
つまりこの宴での騒ぎは計画的なもの。
ブラス様は殺されかけた。
シルヴィアは捕まり、公開処刑。
そしてあの呟き。
この騒ぎで得をするのは誰だ?
もちろん侯爵と教団だ。
‥‥‥本当にロクなもんじゃないな。
宴は当然お開きとなった。あんな騒ぎがあって続くはずもないからな。
馬車に乗って公爵邸に戻った。
早速ブラス様の部屋に呼ばれる。
「‥‥‥アウルム。例の作戦は‥‥‥?」
「そちらは上手くいきました。その‥‥‥、あのエルフの娘なんですが‥‥‥」
「なんとなくわかった。彼女が‥‥‥なんだろう?
「はい。それと‥‥‥」
侯爵の呟いた言葉と俺の推測を話した。
「なるほど、彼女も巻き込まれただけ、と」
「その通りです」
ブラス様は上を向き、目を閉じてため息を吐いた。
「ふぅ‥‥‥わかった。本日付けでアウルム、君を解雇する。明日の朝までに屋敷を出て行きたまえ。二度とこの屋敷の敷地に足を踏み入れる事は許さん」
「ありがとうございます。今までお世話になりました」
ーーーーーーーーーーーー
「聞いたわ! アウルム、どうして!? なんで貴方が辞めさせられるの?」
「アリス様、申し訳ありません」
アリス様が俺の袖に縋り付く。
「いやよ! 行かないで、アウルム! 私と一緒に冒険するって言ったじゃない!!」
「‥‥‥申し訳ありません」
アリス様は目に涙をいっぱい浮かべている。
「アリス、あまりアウルムを困らせてはいかん。アウルム、さぁ行きなさい」
「やだ! アウルム、行っちゃやだ!!」
一礼して一言。
「アリス様‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
「素敵なレディにお成りですね‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥うわぁーーーんっ!!」
アリス様は泣き崩れた。
俺は振り返らず、使用人部屋に戻り荷物をまとめた。と言っても荷物のほとんどはストレージの中なのでそんなに時間もかからなかった。
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