塔からの帰還
塔の最上階から転移魔法陣で帰還してきた。
「お、おい! アンタ無事だったのか!」
「あぁ、無事に戻ったぞ」
「簡易転移石は使わなかったのか?」
「あぁ、転移魔法陣で帰って来たからな」
「というと10階まで行ったんだな? 初回にしてはすごいじゃないか!」
シルヴィアが出てきた、嫌な予感。
「ちょっと! 私たちはにじゅ‥‥‥モゴモゴ」
咄嗟にシルヴィアの口を押さえた。
「アウルム! 何するのよ?」
「シルヴィア‥‥‥、バレたくないんだ。黙っててくれないか?」
「!! ‥‥‥ごめん、なさい」
「いや、いいよ。冒険者なら目立った方がいいのはわかってる。でも俺のは普通じゃないからさ‥‥‥」
「いいえ、ごめんなさい」
「‥‥‥‥‥‥」
なにかあったのかな?
妙にシルヴィアが凹んでいる気がする。
「私じゃやっぱり‥‥‥」
シルヴィアが何か言ってたけど聞こえなかった。
シデーロスのギルドに戻って報告だ。
「そうですか。アウルムさん達でも10階止まりでしたか」
ギルドにおいて虚偽申告は厳罰になるらしい。が、それは上増し報告の場合である。
今回のように結果を少なく報告する事については規定がない。当然だろうな、冒険者で少なく報告するメリットはほとんどないからだ。
「これがお預かりした10階までのモンスターの魔石の換金額になります」
「半分は現金で、残りは口座に入れてください。
あ、あとこの口座にこの金額を振り込んでください」
「わかりました」
一応まとまった金が入ったら、今も孤児院には送金している。孤児院のギルド口座は無いのでイーリエさんにお願いしてイーリエさんの口座に振り込んでいる。振り込みが有れば無事もわかるからと。
あとはようやくアレを買いに行けそうだな。塔ダンジョンから帰ってきたら買おうと思っていた。シルヴィアに受け取ってもらえるといいんだけど‥‥‥。
ギルド報告を終わらせるとシルヴィアが。
「ねぇ、アウルム。夜少し大丈夫かな?」
「あぁ、どうした?」
「ちょっと‥‥‥ね」
なんだろうな、まぁ夜ならそれまでに買いに行けるだろう。
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