王国到着(公爵の帰還)
「ふぅ、すまんな。居心地が良すぎて寝てしまった」
「本当に。ごめんなさいね、アウルム」
「いえいえ、お寛ぎいただけて幸いです。間もなく着きますので降りる準備をお願いします」
「うぅ〜ん、起きたくないぃ〜」
「あと五分‥‥‥」
「いや、起きろよ。シルヴィアもアリスも」
「やだぁ、ずっとここにいたい〜!」
「ここでずっと寝ていたい‥‥‥」
「‥‥‥これからずっとここで生活するんだろ?」
「‥‥‥? あっ!! そ、そうね」
「そうだったわね。準備するわ‥‥‥」
まったく‥‥‥。
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「陛下!!! 上空に未確認飛行物体が!!」
「何!? モンスターでは無いのか?」
「わかりません!」
「余が見よう。望遠鏡を‥‥‥」
ジークハルトは望遠鏡を受け取り、覗いてみる。
「ふむ、モンスターの類いでは無さそうだな。念のため魔道士達を集めておけ」
「今集合させております」
「しかしあまり見ない形だ。球に輪の付いたような‥‥‥、ん!? 誰ぞ現れたぞ!!」
「なんでしょう? 魔王とかでしょうか?」
「!!!! ぷっ! フハハハ!! 心配いらん、あれはアウルムだ」
「あの英雄ですか? またなぜこんな‥‥‥」
「わからん! こちらに向かってくるぞ」
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テラスにちょうど陛下が出てきていた。
「陛下! 急な訪問失礼致します。アレは私の船です。公爵夫妻をお連れしました。お庭に停泊させていただいてもよろしいですか?」
「アウルム! 大儀である。構わぬぞ、あまり荒らさないでくれるとありがたいがな」
「承知致しました」
スキルでゆっくりと下ろしていく。地上から高さ10メートルくらいで止めて、足を出す。
入り口を開けて階段を作る。下りのエスカレーターのように動かす。
みんな慣れたのか、乗れるようになったようだ。
「おぉ、叔父上!! ご無事で!」
「陛下もご健勝そうで何より」
「叔母上も‥‥‥、此度は本当に申し訳ない」
「ご無事で‥‥‥、本当によかった‥‥‥」
シルヴィアはアリスの陰に隠れながらゆっくりと近づいてきた。
「だって王様なんて私なんかが会っても良いのか‥‥‥」
「大丈夫よ、陛下は優しい方だから‥‥‥」
「でも‥‥‥」
まぁ、気持ちはわかる。差別されてたヒト種のリーダーだからな。そうじゃなくても王様に会うなんて緊張するのが当たり前だ。
「大丈夫だよ、俺の妻として会ってくれ」
「‥‥‥うん、わかった」
「おぉ!!! そなたが! なんと美しい‥‥‥」
「アウルムの妻、シルヴィアにございます。陛下におかれましてはご機嫌麗しゅう‥‥‥」
「シルヴィア殿、誠に済まなかった!!」
陛下が頭を下げて謝罪した。周りにいた兵士は動揺している。慌てて土下座している兵士もいた。
「えぇ!!? そんな‥‥‥」
「余は王として民を蔑ろにする行動を取ってしまった。このような謝罪で許されるものでは無いと思うが‥‥‥」
「いいえ、そんな‥‥‥」
シルヴィアも焦っている。そりゃそうだろう。
見るに見かねたブラス様が取りなす。
「陛下、その辺で。陛下のお気持ちは伝わっております。兵士の前で頭を下げてはなりません」
「このような姿です。今の私は王であり、王ではありません」
「ふぅ‥‥‥、というわけだ。シルヴィア殿、許してやってくだされ」
「も‥‥‥もう、いいですからっ!!! 頭を上げてください!!!」
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