成長と別れ
私はあなたと共にいました。初めての出会いはあのお店。この世に無数に存在する私とあなたは、あそこで運命的な出会いをしました……なんて、ちょっと臭すぎるでしょうか。
とにかく、私はあなたと出会えて、それからはずっと側にいるようになりました。
私といる時、あなたはいつも真面目な顔をして、まっすぐ前を見つめていて。真剣な眼差しに思わず見とれてしまったくらい。
「私はこの人のためなら、どんなに身を削ってもいい」
そう思えたのも、あなたの懸命な姿があったからこそ。
けれど時には、どうにもならないこともありました。あなたについていけず、私の方が先に折れてしまったこと。集中しすぎて周りが見えなくなったあなたの手を、私のせいで汚させてしまったこと。
あの時も、その時も。私から伝えてあげられれば良かった。だけど、それはできなくて。いつも申し訳なく思っていました。
時の流れは残酷です。たくさん思い出は増えたけど、あなたがどんどんと成長していくほどに、私の背は縮んでいきました。
それでも、あなたは私を手放さなかった。私に帽子をくれて、「まだ大丈夫」って言ってくれた。
だけど、そろそろお別れです。私はもう役目を果たせません。限界がきてしまったのです。ホントは、もっとあなたと居たかった。あなたの手に、指に、もっと、ずっと包まれていたかった。
でも大丈夫。私の仲間はたくさんいますから。あなたに逢えて、幸せでした。次の子も、大切に扱ってあげてくださいね。伝えられなくても想っている、私の最期の願いです──。
「だめだあ、削れないや」
「どうしたの、タカシくん?」
「この鉛筆、もう使えなくなっちゃったんだ。入学した時から使ってた、お気に入りだったんだけど……」




