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機会仕掛けの雫  作者: Eurk・CagLier
第三幕:蟲の唄
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【開幕】詠人知れぬ鈴の音

これは物知らぬ少女と、彼女を内包する世界の物語。

出来損ないと言われた少女が、皆を、世界を幸福で満たそうとする。

彼女の作る幸福の戯曲は、果たして駄作となるか神作となるか。

お待たせしました皆々様、第三幕『蟲の唄(シンガーベー)』、はじまりはじまり。

鉢屋(はちや)博士、こんなもの認められる訳がありません!」

「こんなマガイモノを作って、神様への冒涜ですか!?」


アタシの花園が枯れちゃう……


「とにかく、この計画は中止です!」

「我々は研究者である以上に、人間なんですから!」


もう少し、あともうちょっとで皆を幸せに出来たのに……


「すまんな、ハーネイ……」

「お爺ちゃんの最後の願い、聞いてくれるか……」


アタシの、アタシの幸福が、アタシのお花が……!


「お爺ちゃんは人間であるよりも研究者なんだ。」

「だからワシの尊厳を守るために……」

「そして、お主の望むままに……」


「命令コード、B-8を受領しました。」









「!?」

「ここはどこ?」

「ようこそボクの所へ、キミの名m」

「アタシは鉢屋・B・ハーネイ、『賛美歌(ディーバ)』です!」

「ふむ、ボクのセリフを遮るなんて気に入ったよ。」

「キミの望みを好きなだけ言ってごらん?」

「アタシの望みは……」

「あぁ、言わなくていい、ぜんまい仕掛けじゃないから、全てお見通しさ。」

「この運命のドアを叩いて、中に導かれるといい、そこに君の幸福の花園(グラトゥイ・ポーロ)が待っているはずさ。」

「ありがとう、お姉さんも幸せにね!」











それは、最初は小さな噂話だった。

『幸せの国、ってのがあるんだって!』

『そこは犯罪も貧困も無い、幸せだけの満ちた神の国だとさ。』

『宗教も人種も言葉の壁も無くなってるんだよ!』

『木や花も歌うほど平和な国もあったもんだね。』


ある時、彼もそこを探してみる、と言い出し、そのまま飛び出してしまった。

"導かれた"だなんて宣っていたけれど、その後も経過の手紙が何度か来ていた。

『世界は広い』、『ここは治安が悪い』、『もう帰りたい』

様々な文書が何通も届いたが、ある日この便りを最後に連絡が途絶えてしまった。

『やっと、幸せの国を見つけた、住む場所が出来たらすぐ連絡するから、一緒に幸せになろうね。』

消印は、絶海の孤島『グラトゥイ・ポーロ』、今なら私にも彼の言っていることが分かる。

導かれたんだろう、でもそれは彼と違って、永遠の幸せになる為じゃなくて、刹那の幸せを取り戻すため。

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