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機会仕掛けの雫  作者: Eurk・CagLier
第二幕:言の葉の道の先
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【1話】憎まぬ賛辞を与うるか?

母の声で目が覚めた。

何だか、不思議な夢を見ていた気がするが思い出せない。

「イリア、やっと目覚めたのね。」

「お母様、こんな朝早くになんなのですか?」

小鳥が歌い、そよ風が私の長い髪を撫でる。

「あら、今日は貴女の16の誕生日でしょう、だから前に約束していた、魔術を教える日じゃない?」

失念していた、どうしてこんなに大切な事を忘れていたのだろう。

頭痛がする、きっと長い夢を見ていて、夢心地のままだったから忘れてしまっていたのだろう。

「ほら、ベッドから出て、まずは朝ごはんを食べてから特訓するわよ?」

「はーいっ」

ベッドから出て、朝の準備を行い、母の待つ食卓へと行く。









「まず今日教えるのは、防衛魔術(リフレクションアクト)治癒魔術(ヒーリングアクト)破魔魔術(アンチアクト)の3種を教えるわね。」

母の魔術講義(アクトアウラ)は分かりやすく、充実したものだった。

私自身魔術適正(アクティビティ)が高いらしく、するすると多種の魔術を会得していった。

こんな日常が続けばいい、そう思っていたのに……







「さて、今日の魔術講義はおしまい、一気に覚えるのは、流石に疲れちゃうからね?」

「はーい、こんなに沢山の魔法、私使いこなせるかしら?」

「私の娘だもの、大丈夫に決まっているでしょう?」

「さて、イリア、そろそろお茶会にしましょうか?」

「はい、お母様。」

沢山の魔術を教えてもらい、お茶会の準備をしていると……

木と木の間から、ソレは現れた。

「ケヒャヒャ、新鮮な魔力の匂いがすると思ったら、こりゃ上物だァ!!」

魔物だ……!!

今はお母様もお茶の準備をしているせいで、いないのに……!!

「か、帰りなさい卑しき魔のものよ!!」

「何だァ、それで脅しのつもりかぁ?」

獣と血の匂いの混じった体臭を振り撒きながら、じわり、じわりとこちらへと近づいてくる。

「ほ、退魔斬霧(ホーリーミスト)!!」

「何の魔術混線(アクトジャマー)!!」

必死の思いで放つ破魔魔術も呆気なく無効化される。

「ケヒャヒャ、まずはその喉から喰いちぎってやるぜぃ!!」

獣の牙が私の喉元に突き刺さる、その時だった。



「……人身御代(サクリファイスイッチ)!!」

「……!!!!」

目の前には、獣の牙で首を貫かれるお母様の姿があった。

「イリア、逃げなさい……!!」

「お母様、でも……」

「逃げなさい!!」



お母様の剣幕に押され、家まで走り抜ける。

「ケヒャヒャ、予定とは違ぇが、こいつの魔力も莫大だぜぇ?」

「死にかけの敵を前に愚かな……暴走回路(オーバーブラスト)……!!」



私の意識は部屋に響く振動と共にそこで失われた。









「オイッ、大丈夫か!!」

気付くと今度は、知らないはずなのに聞いたことのあるような声に起こされた。

「誰だ、誰にやられた、魔王か!?」

「ま、魔物にお母様が……」

「やはり、魔族かァ!!」

熱い……を通り越して暑苦しい語りで倒れている私を引き起こす。

「治癒魔術を掛けるからじっとしていてくれ!!」

「そ、それなら私も掛けられますから!! 痛消(キュア)

「ほう、君はその歳で魔術を使えるのか!!」

いちいち声が大きい。

「おおっと、挨拶が遅れたな、俺はドロム・カディシュ、世間では勇者と呼ばれている。」



勇者、その言葉を聞いた時。

私の頭には電撃が走った。

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