1/1
器用貧乏な教師の授業風景
「はぁー、明日の授業の準備がやっと終わった」
木造建築の平屋の中で、腕を上げて背筋を伸ばす男の背骨がぽきぽきと鳴る。独り暮らしの寂しいアラサー教師は、そのまま背中から床へと倒れる。
「あー脂っこいモノが食べたい。栄養なんて考えていない不健康なモノが食べたい」
独り暮らしならいくらでも食べられるはずなのだが、毎日の事を考えれば体調を崩すわけにもいかない。男が体調を崩せば、村の子供達、ひいては親御さんに迷惑がかかってしまう。
「さてと、今日も食堂で一杯やってきますか」
男は杖を片手に持ち、外へと出る。辺りは暗く、足元が見えない。整備されていない道は歩きづらくて危ない。そこで男は杖を掲げる。
「ウィスプ・アーレ」
魔法の呪文を唱えると、掲げた杖の先に淡い光が集まり出した。杖の先を足元にやり、道が薄暗く照らされる。男は照らされた道をいつものように歩き出した。