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卒業式

主人公のテンションが行ったり来たりです。



卒業式が終わり、各自名残惜しそうにメッセージを送り合ったり写真を撮ったりと賑わっている最中、私海凪潟綴(みながたつづる)は早々にかばんを引っさげて家へ歩き出す。


「海凪潟さん!待って!写真撮ろ!」


クラスメイトの佐川さんが小走りで駆け寄ってきた。


社交性のある生徒さんで、クラス...ひいては学年全体の中でも男女問わず人気者の人だ。今日という日のために若干化粧をしているみたいだが、果たして校則違反にならないのだろうか?


まぁ、最後だしいいか、大目に見られているのかもしれないし。


「う、分かった...」


「それじゃあ撮るよー、はいチーズ」


近くで見るとますます可愛らしい。オマケに何か甘い匂いがする。え、まさかの香水かな?


内心冷や汗たらりの私に気づかず佐川さんは「ありがとう!」と笑った。

パチパチと瞬きの後思わずコテンと首を傾げるも


「え、ど、どういたしまして…」


と言うのが精一杯。突っ込む勇気はない。


関わるな、どうせここまでの縁だ、と気を落ち着かせつつ彼女の後ろに控えていた女子達に目配せする。通じたかはわからないけどあっさりバイバイと行ってしまう。


最後に佐川さんが一度振り返って「またね!」と言ってきたが、手をヒラヒラさせ曖昧に笑う私がどう映っているのか怖すぎる。


実は学校の女子の裏番らしい、とか男を引っかけては捨てているだとか、気に入らない女子は潰してるとか、火の無い所に煙は立たぬと言うし、容姿端麗なきっちりした人ほど腹黒とか言うじゃないか。


真面目な話対人関係は希薄で、ほぼボッチ生活の私は浮いていた。なのにああして堂々と向かってくるのもわざとらしく感じる。

穿った見方なのは自覚済みだがボッチにはボッチなりの自衛が必要でね!


彼女は…佐川さんは何だか苦手だった。初めて会った瞬間から、ずっと。

なのに三年間同じクラスだなんて呪われていたのか、う~む悩み所である。


何にせよもう学校が違うし後1、2年会わなくて済む。僥倖かな僥倖かな。


オーッホッホッ、少なくともこの人口密度高めの施設からは抜け出せるわけだ!ヨッシャー!!


私とて今日はハイテンションなのである。たとえ周りからは大人しく見えようとも、腹の中では本日の晴れ模様から車のエンジン音すらもハッピー気分に拍車をかける。


今日は飲むぞー、オレンジジュースをな!!


心の内に押さえられず万歳ポーズになってしまった私は、背後で部活の先輩を見送る在校生達の変人を見る目に気づかなかった。


嗚呼、それほどに浮かれていた。


お読みいただきありがとうございました。

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