4.11.拒む
「えーっと……で、今この孤児院、どうなってるんですか?」
首を突っ込むにしろ、何もわかっていない状況ではどうしようもない。
ぶっちゃけこんな面倒ごとには首を突っ込みたくなかったが、既に後の祭り。
そうしなければこの二人は納得しそうにないし、できるところまでやっていくしかない。
「ふむ、それは儂からは説明できぬな。この世に疎いからのぉ。シーラさんや! おるかえー?」
「はいはいっ!」
遠くから声が聞こえてきた。
沖田川の声は割とよくとおるらしい。
すぐに小走りでシーラが三人のいる所に入って来た。
沖田川が事情を説明する。
助けてくれるという事を聞いたシーラは少し寂しそうな顔をした。
「あの……えっと……」
「どうした?」
「えーっと……」
何故説明してくれないのだろうかと、木幕は首を傾げる。
これは単なる善意であり、報酬など求めていない。
その事を説明しても尚、彼女は今の状況を説明するのを拒んだ。
どうしたのだろうとその場にいた全員が思ったが、ようやく口を開いた。
「貴方たちは……この先どうするのです?」
「と、言うと?」
「貧しいのは、ここだけではありません。旅をしている方であれば、他にも同じような所を見つけてしまう事でしょう。そんな場所全部、ここと同じく助けることができますか? もし……もしその覚悟がないのであれば、無責任なことはおやめください……。とても有り難い、事なのですが……」
シーラはそう言い、深く頭を下げる。
彼女の言っていることはもっともだ。
困っているのは此処だけではないだろう。
他の国全ての場所で、似たような場所があるのは間違いない。
それを全て、ここと同じ様に解決するというのは、ほぼ不可能に等しかった。
彼女は、その事を危惧していた。
助けが欲しくないと言えば、嘘になる。
だが、ここを救って他を救わないというのは、おかしな話だ。
この孤児院は既に沖田川によって助けられている。
だがそれだけでは満足に子供たちを食べさせて行けないのも事実。
とは言え、彼らをここから茨の道に進ませたくはない。
それがシーラの考えだった。
「……」
話を聞いて、木幕は考える。
だが、すぐにその答えは見つかった。
「では、試させてはくれぬか」
「……え?」
「この場を救えぬのであれば、他の場所など到底救えぬだろう。某にその力があるか、まずは試させてはくれぬだろうか」
シーラの言う事はもっともだ。
だがそれも、力が無ければの話。
世直しなどできる器量は無いと思ってはいるが、やってみたこともないのにそう豪語するのは筋違いだ。
できるのであれば、できる所まで救いたい。
「良い心がけじゃが、できるのかえ?」
「だから試すと言うておるだろう……。某にもわからぬ事ばかりなのだ。この世は故郷と違い、勝手が違いすぎるからな」
「然り然り。そう言う事じゃシーラさんや。満足するまで付き合っておくれ」
「え、いや……でもそんな軽く……」
「ああ、シーラさん……。こういうのは初めてですけど、多分この人たちこうなったら意地でも変えないと思いますので……諦めてください」
「ええ……」
彼らはこの世界の在り方に納得していない。
少しでも変えれるのであれば、そうしたい。
それが彼らの考えであった。
「じゃ、まずは説明してもらおうかの。シーラさんや。よろしくのぉ」
「は、はい……」
レミの話を聞いて、シーラも諦めた様だ。
そうして彼女は、今のこの孤児院の現状を教えてくれた。




