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咲き誇る花々は世界を知らない  作者: 入沢日呂
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プロローグ

 世界は二つの種族に分けられている。


 一つは【人類】と呼ばれるもの。これは世界の大多数を占めており、世界を統べているのは人類と言っても過言ではない。

 そしてもう一つは【妖霊】と呼ばれるもの。これらは人類に比べれば数は少ないが、それでも力関係で考えればほぼ同格である。

 妖霊は今では邪悪なものとして妖怪や妖などと呼ばれているが、太古の昔は尊きものとして、妖霊と呼ばれ慈しまれる存在であった。


 だが、人類と妖霊が共存できているのかと問われれば、皆が皆否と答えるだろう。

 妖霊は決して悪ではない。けれども善でもない。そのまま中間の存在である。

 人類に害を与えるものもあれば、人類と共に世界に貢献するものもいる。だが、圧倒的に多いのが、人類に害を与えるものだ。


 そんな害を与える妖霊を人類は野放しにしない。


 悪を働くものには、それなりの報復を受けてもらわなくてはいけない。人類はそう考え、いつしかそれは人類の中で妖霊を退治することのできる新たな力を持つ者が現れるまでとなった。


 その特別な力を持つものを【能力者】といい、力を持たないものは【人間】と言われるようになる。

 そして人類の中でも更に種類はその【能力者】と【人間】に別れ、しかしこれらが敵対することはなく、時代は過ぎていく。


 一時期は妖霊は完全悪ではないとされていたが、後に妖霊は完全悪として人類に認知されるようになる。そして人類の考えそのままに、妖霊の凶暴性は悪化の一途を辿った。

 そして凶悪な妖霊を退治することのできる能力者は、人間から救世主として扱われるようになった。


 しかし能力者たちは、人間からそういった扱いをされることを極端に嫌った。

 自分達も人類である。元は同じ存在であって、たまたま特殊な力が身に付いただけだ。

 そう思っていても能力者よりも数の多い人間社会では、能力者たちは生きづらくなっていった。そうして能力者は人間社会から少しずつ離れていったのだ。


 しかし同じ人類でることから、社会から完全に離れることは叶わない。なので能力者は、人間とは違うもの社会を作ろうとした。

 能力者のための学校。能力者のための施設。能力者のための住居。

 それら全ては人間社会の中にも存在していくこととなる。


 中には人間に紛れ、人間として生活するものも存在したが、それはほんの一部の話。ほとんどは能力者として生き、能力者のための生活社会で生きていくのだ。


 能力者は自らの使命として、人類に悪を働く妖霊を退治していった。そのことで人間は更に能力者を救世主として崇めるようになる。

 自分たちの使命だけに忠実にこなし、能力者は人間の意思関係なしに新たな組織を作った。


 能力者の中でも初期に現れた能力【気】【空】【水】【火】【土】の能力を持つものを頂点とし、能力者の社会を創設した。

 その頂点に立つものたちは【五翼】と呼ばれ、能力者たちから支持され続けた。それは時代が進んだ今でも変わらない。


 いつしか世界の共通認識として【人間】【能力者】【妖霊】と三種族として扱われるようになった。


 時代が進むにつれ、能力者の力の種類は増えていった。そのお陰なのか、その所為なのかはそれぞれに分かれるだろうが、妖霊の数は減っていった。

 そして世界は【人間】が過半数を占め、【能力者】が三割以上を占めるまでとなった。


 しかし、【妖霊】は数を減らしながらも闇の世界で生き続けている。

 自らを悪として闇に葬った人類に、いつしか牙を向けようと画策するまでに妖霊の人類に対する憎しみは増えていった。


 能力者は妖霊を退治することを生業に生き、人間は光の世界で世界の闇を知らずに生きていく。

 そして妖霊の憎しみを向けられた人類がどういう末路になるのかも知らずに、人々は何も知らずに世界を行き続けるのだった。


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