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何故か上手くいったんです!

「セラに来てる婚約話、そんなに切迫詰まってるのか?」


ピクニックもとい登山の帰り道。

ギャド様がボソリと私に尋ねてきました。

どうやら心配して下さったようです。


「・・・・そうですね。私も年齢的にそろそろお相手を決めなければなりませんから。政略的なものも深く絡んでいますし・・・」


うんざりするほど申し込まれています。はい。

げんなり。


「・・・・一時的になら婚約してもいい」


「・・・・・・え?」


「セラが、納得する相手を見つけるまでならな」


カッチーーーーン。

え?なんでしょうそれは。


つまり、ギャド様は駄目ですが、どうやら自分に責任がありそうなのでその間ギャド様が他の婚約話を止めてくれると?・・・・・上等です!!


「それで構いません。それと偽るのは一年だけで構いません。その代わりギャド様・・・賭けをしませんか?」


「・・・賭け?」


私、随分舐められたものです。

そんな簡単にギャド様を諦められるなら私こんな所にいませんから!!


「1年の間にギャド様が私を好きにならなかったら、私貴方の事はキッパリすっぱり諦めます!その代わり、もしその間に少しでもギャド様の心が動いたなら・・・・」


私、貴方と出会って変わったんです。

本当に自分に必要だと思ったものは決して手放したりしないって。


「婚約は破棄しません。私と、結婚してもらいます」


「・・・・・・わかった」


え?わかった?何がですか?


「このままセラの家行くぞ。おっちゃんと話をする」


え?え?ええええ?

てっきり思い切り鼻で笑われる覚悟をしていたのですけれど?何故かそのまま婚約して頂ける運びになりました。


嬉しいですけれど・・・・・・何故?


「じゃあまた改めて挨拶に来るわ。セラ」


「・・・・はい。ギャド様」



・・・・・・・・え?白昼夢ですか?


「セラ?大丈夫か?さっきからスプーンを持ったまま固まっているが?」


「は!!すみませんお父様。私まだ現実感がなく・・・」


「だろうな。しかし、本当に承諾させるとは・・・・お前ギャドに何をしたんだ?」


何を?私がした事と言えば・・・。

職場に押しかけてギャド様を毎日覗いたり半端強制的にお仕事を手伝ったり。挙げ句の果てに恋人の職場へ押しかけて・・・・その後無理矢理キスを・・・・・・・・!!


「・・・・・・・ひゃあ!!」


「わ!お姉様?何突然?ビックリした〜」


「あ、ご、ごめんなさいマルク・・・何でもないわ」


何でもなくない〜!!わ、私すっかり忘れていましたがギャ、ギャド様の唇を無理矢理奪っ・・・・きゃあああ!!


「セラ?本当に大丈夫なのか?さっきから顔色が悪いぞ?今は真っ赤だが」


「そ、そうですね。申し訳ありません。私先に下がらせて頂きます。ご馳走さまでした・・・・」


痴女ですわ。その行い痴女の如く。


ギャド様きっと嫁の貰い手が無くなったのではと心配されたのです。同情ですか?そうですよね?だってギャド様恋人がちゃんといるのに。


ティファ様のことはどうするのでしょうか?


ティファ様。

ちょっと変わってらしだけど、とても良い方でした。

私の所為で嫌な思いをさせてしまいます。

でも、こうでもしないと私なんてギャド様と話す事さえ難しいんです。ティファ様と違ってお互い立場的なものが絡んで来ますから、婚約者でもない限り二人きりで会うなど許されませんもの。・・・・ごめんなさい。


そう思っていたのに。次の日もまたその次の日もギャド様がお見えになる度、私もう夢のようで。


「そういえばそろそろまた職場にお伺いしてもいいですか?書類がたまり始める頃かと思いますが・・・・」


「セラよ。お前はアレだな・・・神だな。女神。お願いします」


ん?何でしょうソレ。

もしかして少しはお役に立てているのでしょうか?

それなら良かったです。


「後、セラに謝らなきゃならない事があるんだが・・・」


謝る?一体何の事でしょうか?

私が謝罪しなければならない事なら山程ありますけれど。

覗きの件を含め・・・・。


「実は・・・・ティファとは、その。本当は付き合ってないんだ。断る為に協力してもらってた。悪りぃ」


「・・・・・・え?お付き合いされてないのですか?」


そうだったのですね。

でも、薄々ティファ様の態度からおかしいな?とは思ってました。ただティファ様あんな感じなので確信は出来ていませんでしたが・・・・そうなんですね。嘘・・・でも。


「そうですか。でも、ティファ様の事お好きなのでしょう?」


「・・・・は?いや、俺は・・・・」


「いいんです、それでも。私も負けませんから」


そんな顔、なさらないで下さい。

分かってます。ギャド様が私の事なんとも思っていないのは、分かっていますから。


「正直にお話し頂きありがとうございます。ギャド様」


「・・・・・・・・・・・・ああ」


私、今とても幸せなんです。

だってこんなにも沢山の時間ギャド様と一緒に居ることが出来るんです。ずっと夢見てました。貴方とこうやって過ごす日々を。


「それで?今日はこの後、何をされるんですか?」


振り向かないと分かっているのに、私本当に諦めが悪いですね。貴方は私と結婚しない。だって、そんな事したらお互いとても面倒な事になりますもの。


それでも・・・・・・。


少しでもいいんです。ギャド様。


私を見て。

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