ピクニックって聞いていたんですが?
「では!今日も元気よく行きましょう!目指すはあの山の山頂!皆んなで楽しくピクニックですよ!!」
「え?山頂を目指すの?セラ嬢いるのに無理でしょ?」
「わ、私。頑張れます!」
流石、ギャド様の恋人を名乗るだけあります。
あんな高い山の山頂などティファ様にしてみたら、なんて事無いものなんですね?しかもティファ様あんなに重たそうな荷物軽々担いでいらっしゃいます。凄い。
でも、負けられません!!
私、ピクニックと聞いていたので油断していました!
「そうこなくては!こんな出だしから怖気づいているようでは私からギャドさんは奪えませんよ!」
「は、はい!負けませんわ!」
「はい!ではギャドさん。行きましょう」
あ。え?ティファ様?いきなりですか?
ちょっと心の準備が・・・・。
「手を繋いで行きましょう!!」
な!まさかギャド様と手をお繋ぎに?
私に仲の良い所を見せつけるつもりですのね?
悔しい!
「「「・・・・・」」」
「え?」
「え?」
ギャド様?何故そこで硬直するのです?
ティファ様キョトンとしてらっしゃいますが?
「もしかして、嫌なんですか?」
「は?いや、そんな訳では。しかし今は二人きりじゃないしな?」
「え?でもコレデートですよね?普通そういう時って手を繋いだりするんじゃないんですか?」
そうでした。相手はギャド様でした。
あのギャド様が人前で女性と手を繋いで歩くなんて、あり得ないです。
よかった。ホッ。
「ギャドさんは極度の恥ずかしがり屋さんなんですね?分かりました!では、セラさん!」
「は、はい?」
「私と手を繋いで行きましょう!」
え?何故私?あ、本当に繋ぐんですね?
この方この前も思ったのですけど、ちょっと、変わってらっしゃる?
「ギャド。一人で空回りすんなよ・・・・・」
でも、きっと二人きりの時は手を繋いだりするのでしょうね。恋人同士、ですもの。
「そういえばヨシュアさんとお出掛けするのは初めてです!大体ハイトさんですからね」
「ハイト様?」
「はい!ハイトさんは元私の監視員ですから!」
え?ギャド様とお付き合いされてるのに他の男性と?それは、どうなのでしょう?
「ギャド様は嫌がったりしないのですか?その、他の男性が貴方と出掛ける事を・・・・」
「え?しませんよ?なんでですか?」
そうなんですか?ギャド様って結構割り切ってらっしゃるんですね?それは、私だったらちょっとショックかも知れないです。
「だって、ギャドさんは皆さんを信頼してますから。心配なんて必要ないです!」
「・・・・そうなのですね?お二人もそれ程信頼しきった仲、というわけですね?」
「そうでもないです!」
え?どちらなんです?これは私を惑わす作戦?
でも、目が真剣ですね?
もしやこの方・・天然なのでは?
「ねぇ。この山、本気で登る気?絶対セラ嬢には無理だって。今日中に帰って来れなくなるよ?」
すみません。さっきから私の所為で全く前に進んでません。急がなければ!
「そうですねぇ。では中腹辺りまでにしますか?あの辺りは確か広いお花畑があると伺っています!そこでご飯を食べましょう!」
え?きゃ!ティファ様?いきなりスピードを上げないでください!!凄い力で引っ張られて私、わたくし・・ついていけな・・・・。
「ティファ止まれ!そのペースだとセラ嬢倒れちまうぞ!」
「へ?あ、すみません」
「ひ、ひえ!らいじょうぶれす」
た、助かりました。
あのペースでは、危うく地面に倒れ込みそうでした。
「少し休むか?セラ嬢無理すんな。ティファは普通の女より少し体力が多いんだ。競っても勝てないぞ」
う。分かってますそんな事・・・分かってるんです。
でも、ギャド様・・・・。
「お、おい!ティファ。お前からも・・・・・」
あ、あれ?この方タイミングなんですか?
このタイミングで二人きりって、とても気まずいのですけれど?
「なんだ?なんで二人共いないんだ?」
「あの、何やらティファ様が飛ぶ何かを見つけて走り出したのをヨシュア様が追いかけて行きましたが・・・・・」
「・・・・・・・」
作戦ではそういう事になってましたが、本当に上手くいくのでしょうか?バレそうなものですけれど?
「あ、あの。私に構わず探して来てください。私、ここから動きませんので」
「・・・・いや。セラ嬢一人にする訳にはいかねぇよ。少し待って戻って来なかったら進もう」
・・・・上手く、いったみたいです。ギャド様。チョロい。
「あの。ギャド様はこの山、一番上まで登った事、あるのですか?」
「ここか?ああ、あるぜ?訓練にも使われるからなぁ。そこまで高くない山だが、見晴らしは結構いいぜ?」
「そうなのですね?すみません。私が来た所為で山頂まで行けなくなってしまって。ティファ様きっと、上まで行きたかったでしょうに」
やはりギャド様はティファ様の様にお綺麗で料理も上手で体力もある丈夫な女性が好きなのでしょうね。
私ももっと体力をつけておくべきでした。
「私も、残念です。一度でいいので見てみたいです」
「じゃあもう少し体力つけねぇとな。あと、その格好も駄目だな?山を登るのには向いてない」
え?ギャド様また私と山に登ってくれる気があるんでしょうか?違いますよね?
「そうなんでしょうが・・・こういう服しか持っていないのです。当たり前なのですが」
「じゃあティファに借りればいいんじゃねぇか?アイツ、ズボンとか持ってるぜ?」
ギャド様、それは嫌味ですか?
「ワザとですか?サイズが合いませんよ!あの方の服なんて!」
「・・・・あ」
「ギャド様?」
なんで、そこで赤くなるんですか?
・・・そのお顔、とても可愛いんですけれど?