思ってたのと違うんですが?
この場面は、料理が作りたい編の〜ヨシュアは何故か恋バナに混ざる〜と同じ場面です。
読み比べると面白いかもしれないです。笑
「ティファ!俺と付き合って欲しい!」
ギャドさんがそんな事を言ってきたから、私本当に驚きました。思わず大丈夫かと聞き返してしまいましたからね?
あ、皆さん、こんにちは!
私サンチコアの宿舎で、まかない料理を作ってるティファです!ギャドさんには、とてもお世話になってます!
そうです。話を戻しますね?
ギャドさん実は良いところのご子息様みたいで、よくあるお家事情の政略婚に悩まされているらしいと伺いまして、私実は前の職場で泥沼の争いを目にした事が幾度もありました。
そもそも好き合ってもないのに結婚するから揉めると思うんですが、貴族ともなると、そうもいかないみたいです。
私も危うく婚約させられそうになった事があり、大変さは身にしみて分かっていたので日々お世話になっているギャドさんの助けになるならと、手を挙げたんですよ?
でも、なんか。どうやら思ってたのと違うみたいです。
「そんな。ギャド様が巨乳好きでは、なかっただなんて」
「別に嫌いではないと思いますわよ?」
「そもそも胸が判断基準になる人がいるのかしら?」
「どう思いますか?」
よくよく思い返してもギャドさんが女性といた所を見た事ないですね?最初は分からなかったんですけどギャドさんって超がつくシャイボーイですよね?
女性と目を合わせられないんです。あの人。
「さぁな?あんま、いねぇとは思うけどな?少数そういう奴もいるんじゃねぇの?」
「最低ですわ!!」
「同意!」
「皆、デッキブラシを持つのです!!」
ギャドさんといえど、胸が目当てなどという不埒な輩は許しませんよ?デッキブラシで即刻高速ゴシゴシです!!
「男性の意見を鵜呑みにした私が悪いのです。いえ、最初から望みがないと分かっていました」
そうでしょうか?
私の勘違いでなければ、ギャドさんセラさんの事、結構気に入ってると思うんですけど?
なんか、接し方が違うんですよねぇ。
私達にも丁寧に接してくれますが、なんと表現したらいいんですかね?こう、愛で方が違う?
「何度かギャド様と顔合わせてるのでしょう?何かギャド様の気に触る事を?」
「・・・初対面の時、怖くて泣いてしまったのです」
「「「あーーーー」」」
「それ以来ギャド様は私にあまり近付かなくなってしまい、両家の婚約も、ギャド様が拒否されて・・・・わた、私失敗してしまいましたぁーーー!」
ほぉ?・・・・ギャドさん。また丸投げしたんですね?
困り果てて。私の身元引受け人になった時もそうでしたもんね?別の方に思いっきり押し付けましたもんね?
ほうほう?
「は!わ、私泣いていませんよ!泣いていませんから!」
「セラ嬢はさぁ?なんでそんなギャドと婚約したいわけ?やっぱり家の爵位?」
「いいえ。そんなものはどうでもいいのです。私はその、ギャド様が・・・・・」
・・・・これは、完全にギャドさんが悪いのでは?
言い寄られて対処しきれず困り果てて私を頼ったようです。流石ギャドさん。真のヘタレ。
「それは、ギャド様に伝えたのですか?」
「伝えても意味はありませんから。既にお付き合いされている方もいらっしゃいますし」
救いようがありませんね。
でも、ギャドさんにはお世話になってますから、勿論協力は惜しみませんよ?ただ、少し、呆れただけです。
思わず遠くを眺めてしまうほどに。
「あーーーつまり、政略的でないとギャドと一緒になれないから婚約したいと?」
「・・・・・そうですね。そう受け取って頂いても」
でもギャドさん?女性に期待を持たせるような事、実はしてるんじゃないです?冒頭の私の時みたいな事、セラさんに言ってたり、しないですよね?
「デッキブラシとモップどっちが殺傷力が高いんでしょうね〜?」
「さぁティファ。貴方は私と厨房の片付けよ?」
「え?ケチニカ私と一緒に掃除してくれるんです?行きまーす!」
お!流石ベロニカ!!私がイライラしていた事に気がついたようです!少しここから離れて話を伺いましょうか?気分を落ち着かせる為に!
「ティファ様を見て彼女がギャド様の恋人だとすぐ分かりました。だって彼が言ってた好みのタイプそのものなんですもの」
そんな事をチラホラ耳にした事はありますが、多分違いますよ?ギャドさん全然私の事そんな風には思ってないです。良くて妹ぐらいの扱いです。
・・・・結構私への対応雑ですから。
「・・・・セラ様はそんな事で諦められるのですね?」
「え?」
「貴方は、ギャド様を振り向かせる為にもっと努力すべきですわ。だって貴方はまだ可能性がありますもの」
そうですね。私もそう思います。
ギャドさんが何故、婚約を嫌がっているかは分かりませんが、今より仲良くはなれると思いますよ?
「そうでしょうか?」
「せめて二人っきりで話せる様になるまで頑張ってみたらいかがです?話はそこからですわ」
んー?ギャドさんとセラさん、既に距離が縮まっている気がするのですが?だってギャドさん、セラさんが横に立ってても平気そうでしたよ?あれは、少なくとも友人ぐらいの親密さでした。
「ヨシュア様も協力して下さいますわよね?」
「は?いや、俺は」
ギャドさんて、本当に素直というか、真っ直ぐなんですよね。純真って訳じゃないんですけど、見てて直ぐわかります。無意識に態度や仕草に出るんですよね。
もう少し周りの方を見習った方が良いと思いますよ?
「大した事は出来ねぇからな期待すんなよ」
「ありがとうございます。ヨシュア様」
しょうがないですねぇ。ここは私がひと肌脱ぎますか。
丁度お弁当のバリエーション、増やしたいと思っていた所です!ナイスタイミング!!
「出掛ければいいのでは?私とギャドさんそしてヨシュアさんとセラさんで」
やはりお弁当を持って出かけるとなればピクニック!!
良いですね!私一度ピクニックなるものを体験してみたかったんです!!行きましょう!!
「タイミングを見て二人きりになるように細工すれば良いのです!そうすれば二人で話す事が出来ますよ?」
「良いのですか?ギャド様は貴方の、恋人でしょう?」
「心配ありませんよ?私負けません!」
は!いけないです。
思わず当初の目的忘れてました。うっかりさんです!
「後悔しても知りませんよ?ティファ様」
「望む所です!私も負けません!胸が実らなくても大丈夫だと私が証明してみせますよ?!」
「ティファ?遊んでるなら私、もう手伝わないわよ?」
「嫌です!!ケチニカ行かないで!」
しまった!ベロニカの事も忘れてました!滅多に出ないベロニカのデレが!!待って〜!
「私だって!無いよりあった方が喜ばれるという事をギャド様で証明してみせます!!」
それは聞き捨てなりませんね!
何故か私も闘争心が湧いてきましたよ?