余裕ですね?
「へぇ?あんたら夫婦なのか?」
「はい。まだ結婚したばかりですが」
「そりゃいいねぇ?あんたこんな可愛い子どこで見つけてきたんだ?」
「見つけたというか、幼馴染み、みたいなもんだな」
私達は順調にシェスタンブルグに近づいています。
その間、特に追っ手もなく、いえ、あったのかもしれないですが、華麗にスルーされたらしいです。はい。
「シェスタンブルグは温泉があるからゆっくり過ごすには丁度良い。若者にしては渋い選択だがなぁ?はっはっは!!」
へぇ!温泉!話には聞いた事ありますが一度も見た事がありません!見てみたい!そしてお風呂に浸かりたい!!
「セラ、そろそろ中に入れ。体が冷える」
「あ、はい」
最近は夕方になると冷えますものね。
前の街でローブを買っておいて正解でした。ぬくぬくぬ?
「ギ・・ギルバート様」
あ、これは偽名です。
私の名前は良くある名前なので変えてませんがギャド様は結構有名なんです。皆ギャド様の名前知ってます。
それはそうと、人の荷馬車の中なのに抱き込まれてしまいました。嬉しいですけれど恥ずかしい!!
「ちっこい奥さんだと抱き上げるのも楽で良さそうだ!俺の奥さんなんて、そんな簡単に持ち上がらんぞ?」
「その分、体力ねぇから心配が耐えねぇぞ?デカくても元気な方が安心だ」
「はは!!確かにな!愛されてんなぁ奥さん」
不服です。私まだこの旅に出てから体調を崩したりしてません。そうですわよね?ギャド様?
「・・・・・怒るな、心配ぐらいさせろよ」
ぐぅ!何ですその顔!!可愛い!!悔しい!
「お、あそこからシェスタンブルグ領だ、俺はこっちだから、ここまででいいか?」
「ああ!助かったぜ!これは少ねぇけど」
「金はいいよ。あんたら面白かったしな?また何処かで縁があったら乗せてやるよ」
こちらこそ面白かったです。貴方のお話。
こうやって旅をしていると色んな方と出会えて面白いです。それに、不謹慎ですが、毎日ギャド様と居られて幸せです。だってギャド様って見た目によらず結構甘えんぼうなんです。最初は分からなかったんですけれど・・・・。
「セラ」
「はい?何でしょう?」
「・・・・・・・セラ」
二人きりになると、その・・・・・べったりくっついて離れてくれません!!そのままの意味です!
最初は私が子供扱いされてるのかと思いました。
ギャド様すぐ私を抱き上げて膝の上に乗せるんですもの。
でも、違うんです。これ、甘えてきてるんです!くぅ!!
もっと早く気付けば良かった。何回か勘違いして怒っちゃいました。その後ギャド様、シュンってしてました!ごめんなさい!!嬉しい!
「昨日、無理させたから、ちょっと心配なんだよ。大丈夫か?」
「・・・・・・だ、大丈夫・・で、す」
ギャド様。私本当に色々勘違いしていました。
ギャド様も男の方ですものね?そうですよね?
でも、日に日に色々とレベル上げるのは、やめていただけませんでしょうか?!私そろそろギブアップ寸前です!
「さて、ペシュメル様に、なんて説明すっかなぁ」
「もう、何年もお会いしてないのですよね?」
「ああ。前ここに来たのは・・・三年ほど前か。遠いしな、そもそも長い休みなんてそうそう取れねぇからな」
ああ。仕事山盛りですものね?
あの宮廷大丈夫なんでしょうか?何故あれ程まで働ける人材が少ないのか・・・あ、だからセルシス様魔術師団を結成したのですね?少しでも仕事を減らす目的でしょうか?
しかし、裏目にでましたわね。
仕事、一時的にですが激増しました。これ以上離職者が出ない事を願っております。
「ペシュメル様も義足だからな。滅多に遠出はしない。退役以来、サンチコアには来てねぇからな」
「ペシュメル様はお子様はいらっしゃらないのでしたか?」
「・・・ああ。昔病気で失くしてそれっきりだ。奥さんと二人で今は暮らしてる」
もう少しで目的地に着いてしまいます。
これが終われば後は、真っ直ぐに二人で堕ちて行くだけです。私はギャド様と一緒に、この人生を終える。
「セラ」
「はい」
幸せだった。
夢の様な数日間。私はずっと貴方といた。
「キス、していいか?」
「はい。して下さい」
あの日、あの庭園で貴方と出会ってから、私の本当の人生は始まったのだと思います。
それまで私は、ただあそこで生きていた。
自分に与えられた役割を全うする為だけに存在する、そんな存在だった。
貴方が私を見て笑う度、その隣で笑っている自分が容易く想像出来たんです。とても、幸せそうに笑う私とギャド様。私は、それを本物にしたいと思いました。
他の物なんてどうだっていい。
少しでもそんな風に考えた、これは罰。
「・・・セラ?どうした?」
「ギャド様。ずっとお側にいます。ずっと。決して離さないで下さい。これから先何が起きても。もし、貴方が殺される事がこの先あったら・・・・」
不謹慎ですね。本当に。
これは罰なのに。おかしいですよね?
私はなんて、幸せなんでしょうか。
「私も死にます。貴方と一緒に」
貴方は愛する者を殺せはしない。
その貴方が、私を道連れにすると言ってくれた。
もし、その時になって貴方が出来なかったら、大丈夫です。
ちゃんと私も貴方の後を追いかけます。
もう貴方を決して、一人で行かせたりしませんから。




