思った以上にお綺麗だったようです
先日ギャド様に恋人がいると発覚しました。
それを聞いた時は、なんとか平静を装いましたが、内心泣き出したい気持ちで溢れていました。でも、ギャド様は泣き虫な女性はお嫌いなのでグッと我慢しました。
「ううううう〜」
酷い。ギャド様いつの間に。
確かに宿舎での話を聞いて怪しいと思った事はありました。
でも、事前の情報ではお付き合いはされてないと言っていたのに・・・・グスグス。
あの方、基本的に嘘はつきませんし、人を騙すのは不得意なので事実の可能性が高いです。・・・・どうしよう。
「・・・・やはり。諦めるしかないのでしょうか?」
私には沢山の縁談話しが来ています。
それを私の我儘で断ってもらっています。
もし、今回ギャド様との話がまとまらなければ好きでもない方と結婚しなければならなくなります。
だから、ギリギリまで諦めたくはないのです。
「ここまで来たのですから、もう今更怖いものなんてないでしょう?」
次が、ギャド様と会える最後になるかも知れません。
だから、最後まで足掻き続けます。
そう、思っていたのに。
現実を前に、私は打ちのめされました。
お相手の女性が、余りにもギャド様の好きなタイプと合致していたんです。しかも・・・・・。
「わぁ!可愛い子ですね?お幾つですか?」
「テ、ティファ!待て!」
完全に私の事を子供扱いしました。
私のコンプレックスを見事についてきましたね。
流石私のライバルになる予定の人物です。
「・・・・・・・す」
私だって好きで成長が止まった訳ではありません。
私の予定では貴方ほどではなくても、もっと背が伸びて目も父親似になる予定だったんですよ?
誰が好き好んで弟と双子だと勘違いされるものですか!
「私。子供ではありません!こう見えて17歳ですから!」
悔しい。
こんな人に勝てる訳ない。
でも、でも。私には最終兵器がありますから!!
「ギャド様!この方の何が良いのですか!確かに私、顔も童顔ですし背もとても低いですけれど、この方よりは私の方が貴方に相応しい筈です!!」
「な、何でだよ。ティファの何が駄目なんだよ」
「だって、だって!」
こんな恥ずかしい事絶対言いたくなかったですけど、背に腹はかえられません!!
「ギャド様は巨乳好きでしょう!?」
しん。
「んなぁ!?何だそれ!?一体誰がそんな事を!!」
「皆さんです!お父様も陛下もデズロ様も皆んな皆んなそうやって私を励ましてくれましたもの!この方には負けませんわ!!」
ほら!ティファ様も分かってらっしゃいます!!
自分のお胸を見てシュンとしてますわ!
ギャド様、お胸がお好きなのですよね!?
「ケチニカは私と同じですよね?ね?」
あら?何でしょう?何やら周りがざわざわしてます。
あの、これは私とギャド様の話で・・・・・。
決して貴方達の胸が小さいと言いたかった訳では・・・。
「ギャド。お前中々チャレンジャーだったんだな?俺、流石に女性にそんな事、言えねぇや」
「おい!誤解だ!そんな事口にするわけねぇだろ!阿呆か!」
「言わないだけで大好きなんだよね?分かってる」
「ハ、ハイト?お前まで何を・・・」
あ、やはりお好きですよね?
では胸のついででいいので私も好きになって下さい!
「ケチニカーーー!!私小さいのかな?そうなのかな?」
「ちょ!そんな事ないぞティファ!っつーかなんでそんな話に!!」
え?え?違うのですか?
そんな!じゃあ私は一体どうやって対抗すれば!!
バーーーーーン!!
「何をやってらっしゃるのです!!ちょっとセラ様!こちらへ、いらして下さいませ!!」
「あ、アイラ様?」
「男性がいる前で、するお話ではなくってよ!貴方淑女ですわよね?」
は!!そ、そそそそうでした。
私、なんてはしたない事を・・・・。
ティファ様が思った以上にお綺麗な方だったので、つい我を忘れてしまいましたわ。
「ギャド様も一回お帰り下さい。本当にデリカシーのない方達ですわね!!」
・・・・・ひぁあ!!そうです!ここは騎士の宿舎なのですから基本男性しかいないのに、私ったらそんな場所でなんて事を!!今更ですが顔から火が!!
「お兄様が留守中に面倒な事になりましたわね。全くギャド様も何を考えているのでしょう」
「・・・申し訳ありませんアイラ様。私が押しかけたのです」
「とりあえず少し落ち着きましょう。あそこに居ると阿呆になりますので」
え?それはどういう事でしょう?阿呆になる?
「あんな事口走らせる空気を作る、そんな才能に溢れた方々です。社交界であんな事口にした事がお有りです?」
ないです。私痴女ではありません。
ふえええええ!!!え?もしやそう思われたのでしょうか?ギャド様に?え?死にたい!!
「あと。恐らくギャド様は残念ながら巨乳好きではないと思いますわ。どちらかといえばスラっとした方がお好きと伺っておりますもの」
やっ・・・・ぱり。私、終わりました。
これで私の、手札はゼロです。
「兎に角お話をお聞かせ下さい。こうなった経緯を」
・・・・・ええ。いくらでも。
もう私には話して恥ずかしい事など何もありませんもの。