表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/67

作戦を立ててみます一応

「欲しいものがあるんです。それを手に入れます」


ハイトはいつも目的に向かって一直線に進んで行く。

迷わず目を逸らさず、ただ自分の欲しいものを手に入れる為に手段を選ばない。誰が何を言おうと決めたら揺るがない。俺はお前が羨ましい。


「それはさぁ。ギャドには守りたいものがあるからだよ」


いつだったか、俺のぼやきにハイトはそう返した。

そうだろうか。でも、俺は一体何を守りたいんだろうな?


俺もお前みたいに割り切れれば、欲しいものだけを手に入れる為なら手段を選ばない、そんな風に。


お前のその強さが心底羨ましい。ハイト。


「20年程前、この国から一斉に魔力が消え去った事件を覚えておりますか?」


「いや。俺も小さかったからな?話は聞いた事がある。でも、1日かそこらで元どおりになったんだろ?」


「はい。当時父はまだ宰相になる前で政務官でした。最近陛下の様子がお変わりになられたと伺って、その変わり方が、その当時の皇帝様と、とても似ているらしいのです。それで、気になって当時の事を色々調べてみました。私、文学生だった頃の友人がいるものですから」


へぇ?見た目によらず交友関係が広いんだな?

今度俺にも紹介してくれ。一応な?


「そうしたら、気になる文献を見つけまして・・・ゼクトリアムに関する記録なのですが・・・・」


「ゼクトリアム?ハイトの実家の事か?」


「いえ。それが、家名ではなく。どうやらこの本に記されているゼクトリアムとは、精霊の子という意味があるようなのです。それで、その、ゼクトリアムとは」


なんかハッキリしねぇな?

それに、それと陛下が変わった事と何か関係してんのか?


「どうも、この国にそびえ立つ大きな木の核・を意味するらしく、その核は我々人間の手で、あの木から切り離されたとか。そしてその核は決して元に戻れないように、隠されたそうです。樹木はそれを取り返そうと、時折人を惑わすらしいのです。その木に触れた者を」


「はぁ?確かにあの木の周りは、デズロ様以外立ち入れないが、デズロ様はピンピンしてたぜ?元々おかしい奴は大丈夫とかか?」


「デズロ様は、他国の人間です。もしかしたら操作されるのは、この国の人間だけなのかも知れないです。確証はありませんが。あと、気になる点がもう一つ。ハイト様の家の事ですが」


あの謎に包まれたゼクトリアム家な?

噂は色々聞いていたがハイトがあんな感じだからなぁ。

フィクスに聞く限り普通の家っぽかったから気にしてなかったけど、なんかあんのか?


「20年前の事件が起きた時、実はゼクトリアム家の奥方様のお腹にはハイト様が宿っていたそうなのですが、流産しております。当時の乳母がそう証言したとか。それ以降あの家に子供は出来ていないのです」


「ん?でも、ハイトはちゃんと産まれたよな?だから今いるんだろ?」


「・・・・・・・」


ちょっと待てよ。

悪い冗談はやめて欲しい。

この話の流れだと悪い方向にしか思考が働かないだろ?


「もし、魔力が一斉に消え去った理由が、そこにあるのだとしたら。そして、その核がハイト様だったとしたら?あの木がハイト様を取り返そうとしているのかも知れません」


「そんな、おとぎ話みたいな話、信じろと言われてもな」


「セルシス様はハイト様をオスカール攻略戦の第1陣に組み込まれるおつもりです。ギャド様はそれを陛下から聞いておりますか?」


「な!」


聞いてねぇぞ、そんな事!


なんで副団長自ら先頭切って突っ込んで行くんだ、俺じゃあるめぇし!アイツは指揮官だろが!!


「ギャド様、お気をつけ下さい。今、宮廷はエルハド様とデズロ様を失い迷走しております。そして、このまま戦争が始まれば取り返しが付かなくなるかも知れません」


だぁあああああ!!俺が最も不得意な分野きたぁ!


敵ぶっ倒して勝てばオッケーでいいじゃねぇか!

なんで内側外側荒れてんだよ!!

こんな事ならエルハド様達を縛って引き止めておけばよかったぜ。居なくなって分かる、この有り難み!


「問題はもう一つ。万が一ハイト様が殺されて、あの木に奪われた時。この地に何が起こるのかは私達では分かりません。最悪、この国が失くなってしまうという可能性も有り得ます」


いや、おかしいとは思ってた。

あのセルシス様の変わりよう。エルシャナ様とケルベナ様のセルシス陛下に対するよそよそしい態度。


とりあえずオスカール戦のハイトの配置はこっそり後で俺と入れ替えておくとするか。





「それにしても、エリス。良く陛下の持ってた枝が普通じゃないと分かったな?」


「はぁ?あのねぇ、カスバールでは魔力を持つ人間は子供の頃その能力が暴走しないよう、ある程度訓練される。普通では見れないものを見たり聞いたりしてしまうし、感情の揺らぎで力が暴走しないようにね?ティファでさえ訓練されているのよ?普通の木でないことぐらい、見てすぐ分かったわよ」


「しかし、困ったな。セルシス陛下をどうやって元に戻すか・・・」


「肝心のデズロ様もいねぇしな・・・・ん?ちょっと待てよ?確かティファ、ちょっと前にデズロ様と大樹の木の上でご飯食べたとか言ってたけど。もしかしてティファも大樹に触れて平気なのか?」


ティファはデズロ様の子供だし、魔力も強い。

もしそうなら、希望が見えて来たな。


「不安要素しかないけど?それにしても誰なの?こんな行き当たりバッタリな作戦立てたの」


「エリス。そんな分かりきった事聞くもんじゃないよ?」


あはははは!勿論!俺とヨシュアだぜ?なんか文句あっか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ