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ダンスぐらい嗜んでます

「こんばんわギャド様」


「よ!今日も来たな。やっぱ苦手か社交場は」


最近は、そうでもないんです。


ギャド様と出会って、私いつの間にか細かい事を気にしなくなりました。だって、考えてもしょうがない事を、いつまでも悩んでても仕方ないですもの。


最近は、ギャド様の事ばかり考えてます。


「お前そんなさぼってばかりだと、ダンスが踊れなくなるぞ?」


「そういうギャド様こそ。実は踊れないのでは?」


「お前今、俺を馬鹿にしたな?」


絶対に忘れません。

あの日の事。


「ギャド様?」


貴方が私の前に跪いて、流れる様に私の手を取る。

そして微笑みながら私を見上げる。

燃える様な貴方の瞳。


「私と踊って頂けますか?」


正直、驚きと戸惑いで固まってしまいました。

だって、ギャド様は普段貴族の礼儀作法なんて全然なさらないんです。でも、その時のその動きはまるで、本当の貴族みたいでした。


昨日今日習った動きじゃないんです。


もしかして、普段はわざと?


「はい。喜んで」


遠くから流れてくる、微かな音楽の音を聴きながら庭園でダンスを踊りましたね。

貴方は、覚えていなかったけれど。


私は、あの時、貴方の事を始めて知りたいと思ったんです。


貴方はいつも、その笑顔の裏で、何かを背負っている。

子供の頃は、それが分からなかったんです。


今でもそれが何なのかは分かりません。


貴方が何を背負い、何と戦っているのか。


それを知っても貴方の事、何も理解出来ないかも知れないですし、何も出来ないかも知れないです。


それでも、貴方の事知りたい。


ギャド様。・・・・・・・・・・貴方が好き。




「・・・・・セラ」


「・・・・ギャド様。・・・ティファ様は?」


ベロニカ様は?ササラ様は?皆どうなりましたか?

・・・・ギャド様?


「・・・・・ッ」


貴方のその顔、昔見た事があります。

苦しくてどうしようもない時、貴方はそうやって笑うんです。


「ギャド様、もう少し、近くまで」


「・・・・なんだ?どうした?」


ごめんなさいギャド様。

私の所為で、そんな顔をさせてしまって。


「私、無事に帰って参りました。私はもう大丈夫ですから、どうか、ティファ様や、ササラ様の側に」


大丈夫。私は大丈夫ですから。

今だけ、充電させて下さいね。後でちゃんとお叱りは受けますので。今だけ貴方を抱きしめさせて下さい。


「貴方が為すべきことをなさって下さい。大丈夫。貴方なら出来ます」


「・・・・・・・セラ」


良かった。


やっといつものギャド様のお顔になりました。

しばらく会えないのは寂しいですが、仕方ありません。

元気になったら私から貴方の所へ行きますから。


「ギャド、様?」


どうしました?

まだ心配させてしまっています?

そんな顔で見つめないで。

少しでも離れるのが辛くなってしまいます。


「必ず、また会いに来る。来ても・・いいか?」


「はい。ずっとお待ちしています。それでも来なければ私から会いに行きますから」


・・・・あ。ギャド様?


もしかしてこれは夢だったんでしょうか?

だってギャド様が私に、こんな事するなんて。

私、寝ぼけているんでしょうか?


ギャド様の唇が、とても、熱い。


「・・・・セラ。しばらくはあまり外に出ないでくれ。もし出る時はマルクを側に。あいつは信用できるからな」


「・・・は、・・・・はぃ」


「後でちゃんと説明する」


あ、はい。わかりました。行ってらっしゃいませ?

・・・・・・・・・。


「え?」


えええええええええええええ!?


「姉様!良かった!目が覚めたんですね」


「ママママママ、マルク?わ、私寝ぼけて?今ギャド様がいる夢を・・・」


「え?ギャド様なら今出て行きましたけど?お話されてたのでは?」


きゃあああああああああああう!!


え?じゃあ本物?今の本物のギャド様?え?私強い瘴気にあてられて頭がおかしくなったのですか?でも、まだ唇にギャド様の感触が!ギャド様も瘴気に当てられて?


「ね、姉様?大丈夫ですか?もしかして何かされました?」


「キュプ〜?」


「あら。その子は」


「あ、お姉様から離れなかったので連れて来たみたいです。それに姉様ならコレが何か分かるだろうってギャド様が」


そうなのですね。

それにしても、意識を失う前誰かに話しかけられた気がするのですけれど、上手く思い出せません。


でも、これだけは何となく分かります。


「えっと。助けて頂いて、ありがとうございました。私があそこで動けたのは貴方のお陰でしょう?」


「プッキュ!プキュプキュー!!」


「え?お姉様?こんな小動物に話しかけて、どうしたんです?本当に大丈夫ですか?」


やはり、私達の言葉が理解出来るのですね。

この世界最古の生物ですもの。


もしかして、本当にこの子が助けてくれたのかもしれないです。まだ子竜ですから人間と意思の疎通は難しいかも知れないですね。本来なら人と会話できる筈なのですが。


「とにかく起きて着替えます。今一体どういう状況なのか、マルク教えて欲しいの」


「はい。では侍女を呼んできます。無理に体を起こさずそのまま待っていて下さい」


え?でもじっとしてたら先程のギャド様とのやり取りを思い出してしまうので出来れば動きたいのです。


さっきは会えなくても大丈夫とか言いましたけれど、もう既に会いたいです!そして先程の事を問いただしたい!!


「プキュフーーーーーー」


あ、呆れましたか?

そんな呆れ返った声出さないで下さいませ。竜様?

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