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胸騒ぎがするんですよね

「マズイな。空間の歪みがセラを攫った事が分かっても、何故現れたのかが分からなければ助けようがない。しかも、空間を開ける事が出来たとしてもセラがいる空間と繋がるかも謎だ。何か、手ががりになる物が他に無いものか」


アレから8時間程度でしょうか。

皆で手分けしてセラの屋敷やギャド達が通って来た場所を探していますが。一行に手掛かりがないです。

しかも話によれば、その空間の割れ目は一瞬で消えてしまったといいます。それでは魔力で追う事も叶いません。


「・・・・本当に参った・・・つまりその突然現れた空間の歪みの所為で魔物もこちら側に来ていた、と、いう事だよね?・・・・・・ん?待てよ」


「なんだ?!何か分かったのか?」


「いや。何年か前に起きたカスバールの厄災の時物凄い量の魔物が出没してたよね?こちらの国境沿いにまで現れたから覚えてる。それって今回の事と関係あるのかな?」


それは、彼方にも歪みが生じていたと?それもこんな数ではなく・・・・・!


「ティファならその時期、彼方で兵士をしていた。何か知っているかも知れませんね?」


「俺、今すぐ宿舎に戻る!後から来てくれ!!」


「おい!ギャド待てって・・・あの、馬鹿」


だが、確かに悠長にはしていられない。

セラ嬢はか弱い。魔物にでも遭遇したらひとたまりもないですから。


「僕も先に行ってるよ。ササラ。僕なんだか嫌な予感がする。エルハドにこの事伝えてから来てくれる?」


ええ。私もとても嫌な予感がしますので、支度をしてから向かいます。貴方達が暴走しないようにね?


「なんだアイツまた飛び出して行ったのか。最近首輪を付けてないからって好き勝手しおってからに」


「その首輪をかける許可を頂けませんか?きっとデズロ様自ら危険に飛び込んで行くと思われますので」


「ハァ。気は乗らないがしょうがないな。その後の事は私が何とかする。持っていけ」


ありがとうございますエルハド様。

あの人、このタイミングでまた二人も誑かしてしまって。

その二人にはまだデズロ様が必要なんです。

ですから、まだあの人に死なれては困りますから。


「ササラ。お前も無茶はしないように。デズロにとってお前はアイツを支える大部分を占めている」


それはこちらのセリフなんですが?


「大袈裟な。あまりあの人を甘やかさないで頂きたい」


そんな事をしていたら。

宿舎に着いた頃には既に状況を把握したティファ達が空間を開いて中に入ってしまってたんですよ。ギャードー!


でも、まぁ許してあげましょう。

飛び込んで行く事も出来ず待つ事しか出来ないのは、かなり辛い筈ですからね。今の内にさっきエルハド様から貰っておいた物をギャドに渡しておきましょう。あの人何故かまだここに来てませんでしたからね。


「ギャド。起きてしまった事は今更どうにもならない。それよりも、中に入った三人を無事脱出させないとね。デズロ様も、もう少しでこちらに到着するはずだから」


なんで私より早く出て行ったのに、私が先に宿舎に到着するんでしょうね?緊急事態だというのに・・・・。


「もし、1時間経ってヨシュアが出入り口を開いても、三人が現れなかったら。僕は本当に行きますよ?」


ハイト。気持ちは分かるけれど、その目はやめてもらいたいですね?そして、それは叶いませんよ?


「そうなったら私が行きます。貴方達にはデズロ様をここに留めておいてもらいます。話を聞く限り、魔力を持たない人間は中に入った途端動けなくなるようだ。君が行ってなんになる?」


「あの中に入った事がないのは貴方も同じです。本当に何も出来なくなるかは、入ってみないとわからない」


雲行きが怪しくなってきましたね?ハイトは普段大人しいのに一度決めてしまうと言う事を聞きませんからね?困ったものです。


「デズロ様みたいな我儘言わないでくれるかな?君は今以上にティファを危険に晒したいのか?」


「・・・・・・っ」


うん。ちゃんとわかってますね?

わかってるから、君は今ここにいるんでしょう?

だったらどうにもならない我儘言わないで、ちゃんと考えましょうね?


「さて?話を纏めると、その魔物の住処とこちらの道をこの石で開く事が出来る。その空間は基本、体に魔力を保持していないと入れないが、人間は魔力を吸い続けられ、長時間は止まる事が出来ないと?」


それにしてもおかしい。何故ギャドが持ち帰ったこの石が急に?一度こちらでは調べた筈ですが?


「はい。ティファ達はカスバールで何度も調査した様子でしたから、嘘ではないかと」


「ふぅん?じゃあ何で魔物は平気なんだろうな?単純に魔力が吸われる場所であれば、魔物だって人と同じく、止まらない筈」


「・・・・生まれつき魔力が吸われないような仕組みが作られて生まれて来る、とか?」


そうだね。しかし、もう一つ気になる事があります。

そもそも、その空間は何なのか。


「あそこは魔物の苗床だ。恐らくあの中に引きずり込まれる者は餌なんだよ。引きずり込んだ生き物の魔力や生気を吸って栄養にして魔物を作り出す。いわば母体ってヤツ」


「やっほー?ごめんササラー!遅くなっちゃった」


「別に構いません。どちらにせよ、一足遅かったようですから」


貴方にしては気が利いてますね?ちゃんと詳しい人間を捕まえて来たじゃないですか。ラットを捕まえてたんですね。


「それでぇ?僕はいつでもいいよ?今すぐ中に入る?」


「残念ですが、デズロ様はここで待機していて下さい。私が中に入ります」


「えー?やだよ?僕が行く。僕の方が強いんだから長くもつでしょ?」


「だからです。万が一私が彼女達を助けられなかった時、貴方以外に誰が中に入ると?私が先に入って確認してきます」


いくらデズロ様が強いとはいえ、もしもの事があってはエルハド様にも顔向け出来ませんからね。この人すぐ暴走するんですから。


「何揉めてんだ?そんな心配なら俺が行ってやるよ!俺は経験者だから慣れてっし?万が一失敗しても俺なら後腐れないだろ?」


「却下」


「問題外」


「は?なんで?」


きっとこうなると思ってましたよ。

備えておいて良かったです。


「おい。ササラ」


何ですか?ギャド、貴方団長の癖に情けない顔をするんじゃないですよ。いいですね?頼みますよ?


「駄目だよササラ。良い子だから僕の言う事を・・・」


「申し訳ありませんデズロ様。ササラからこれを。陛下から直筆サイン入りの命令が下っております」


「ギャド?エルハドの命令って・・・」


「デズロ・マスカーシャは異空間の入り口に近づく事を禁じる。今回は、特例として首・輪・を使う事を、許す?」


貴方は口で言っても言う事を聞きませんからね?

これは保険だったのですが。


[[施錠]]


「ーーーーーーっ!!!」


皆任せましたよ?ちゃんとこの人のお守り頼みました。

所々顔色悪いですけど、後は丸投げしますからね?


「え?なんだよ?どう言う事だ?デズロ?」


「・・・・・はっ!ササラ。やってくれたね?」


「・・・貴方はティファの事になると、少し周りが見えなくなりますから。恨み言は全て終わった後に聞きます」


ギャド。本当に頼んだぞ?

決してデズロ様から目を離すな。

今あの人は、本来の力を殆ど使えないんだからな?


「悪りぃササラ。頼んだ」


「お前に言われなくても、ティファは私の妹だからな」


本当に、デズロ様によく似ている。

危険を顧みず飛び込んで行く所や、不器用な所がね。


「ヨシュア。次の扉は君が開けてくれ。決してデズロ様に渡しては駄目だからね?」


これやった後デズロ様途轍もなく機嫌が悪くなるんですよね。エルハド様デズロ様のケア頼みますね。

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