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緊急事態発生

「サンチコア程の被害はないが、こちらにも同じ様な事例が発生してんな。どれも突然魔物が現れてる。今年に入ってからその数が少しずつ増えてるみたいだ」


よう!俺は今任務を終えてサンチコアに帰っている所だ。

騎士団ってのは昔と違って変事が起きねぇと宮廷から離れねぇから久々にリフレッシュしたぜ?


宮廷に閉じこもってずっと仕事してたから偶にはいいだろ?これも仕事だけどな?


「しかもこれ。だんだんサンチコアの方に移動してましたね。もしかして何者かがそう仕向けたのでしょうか?」


「なんとも言えねぇなぁ?魔物そのものが何かの理由で大移動してるって可能性もあるぜ?どちらにせよ、この国では魔物があまり出没しないからな。対策ねらねぇとな」


この国には空に届きそうな程でかい大樹が生えている。

それは精霊の類らしいんだが、それがこの国の瘴気が溜まるのを防いでいるらしい。つまり魔物が住みづらい国なんだってよ。その代わり偶に暴走したりして、この国の魔力を全て吸い込んじまったりするもんだから楽観視できない存在だ。寧ろ厄介極まりない。少なからず魔力は俺達が暮らしていくのに必要な物だからだ。


「もうすぐサンチコアに到着する。陛下に会って話をしないとな」


ササラはどうだろうな?

今回の原因を突き止めることが出来ただろうか?

デズロ様も初めての事で色んな可能性を探ってるからな。

俺のこの土産が少しでも役に立てばいいんだが。


「これは、ギャド様お帰りなさいませ。こんな所にどんな御用でしょう?ササラ様はこちらにはいらっしゃらないですが」


「あれ?聞いてねぇ?これをササラに渡す前に調べて欲しいんだ。後で取りに来るからさ。頼めるか?」


「ああ!鑑定ですね?この数なら直ぐに終わりますのでお帰りの際にお立ち寄り下さい」


「悪いな。忙しいのに」


「いえいえ。構いませんよ」


さて、あとは陛下に報告を済ませに行って、ササラの所にこれを預けたらセラの所に立ち寄るか。

直ぐ行くって約束してたからな。


「ギャド。帰って来たのか」


「おう!宰相のおっちゃん!久しぶりだな。そっちは変わりなかったか?」


その顔は・・・あったんだな?それも俺の家関係で。


「婚約者をギャドからジェラルドに変えて欲しいと言われたぞ。もう婚約は結ばれているから無理だと突っ返したが。・・・お前の母親は、何がしたいんだ?」


「・・・・悪ぃなおっちゃん。迷惑かけて。あのババァの事は無視してくれ。頭おかしいんだ」


「お前。母親の事をそんな風に言うもんじゃないぞ。思っていたとしても口に出すな」


そうだな。母親、ねぇ?


「あの人昔はあんな感じじゃなかったんだろ?」


「・・・・そうだな。彼女は大分変わった。何故かは分からないが・・・・」


「親父は気付いてねぇが、あの人は親父とは違う望みがあるんだよ。だから話が食い違う」


「・・・・・?どう言う事だ?」


「まぁ、もしセラと俺が結婚するなんて話になれば、いずれわかる。本当にそうなれば、だけどな」


本当に・・・・なんで俺なんか産んだんだろうな?

あの人。





「ギャド様!ようこそおいで下さいました」


「ああ。久しぶりだな」


セラ元気そうだな。そしてさっきからその横でガン飛ばしてるお前。やっぱり俺の事気にいらねぇみたいだな?


「マルクも久しぶりだな?背、伸びたか?」


「はい。伸びました。ギャド様もすぐに追い抜きます」


「そりゃいい。その日を楽しみにしてるぜ?」


だが甘い。俺は日々なんちゃってイケメンの腹黒と食の狂人サイコパスによって精神を鍛えられている!お前に俺は倒せねぇぞ。


「余裕ぶっこいてるのも今のうちだぞ筋肉野郎(ボソリ)」


「マルク?何か言いました?」


「いいえ?何も言ってないです!お姉様」


ニパーーー!


お前は将来有望だ。

その調子で、ついでにデズロ様の暴走の抑止に勤めて欲しい。勿論陛下の事もな!


「・・・・マルクは親父に似たな。可哀相に」


「え?そうですか?私もマルクも母親に良く似ていると言われますが?」


顔はな!!顔のみだ!

セラは可愛いで済むがマルクは済まないからな。


「今日はどうする?また茶でも飲むか?」


「あ、あの。良かったら外に出ませんか?屋敷を出て少し歩いて行くと、お花を栽培している土地がありまして、今とても綺麗なんです」


「花かぁ、いいぜ。行こう」


俺、花の種類とか全く分かんねえんだけどよ。大丈夫か?

セラはそういうの、詳しそうだよな?


「そういえば暫、宮廷を離れてらっしゃいましたが、どちらに?」


「この前サンチコアの街に魔物が現れただろ?それで今他の所も異変がないか調べてるんだよ」


「成る程。それで、原因は判明しそうですか?」


「それがよぉ。どうも何も無い所から魔物が突然現れるらしいんだ。サンチコアほどでは無いが各地で魔物が出現しているみてぇだな」


詳しい事は話してなかっけな?

まぁペラペラ喋っていい内容でもないが。


「・・・・何処かを住処にしているわけではない魔物が突然現れるのなら、作為的に送られてくるか、もしくは彼等の住処とこちらに道、が出来てしまった、とか?」


「は?」


「私、学生時代は生態学を学んでいましたから、魔族に対する知識も少しだけございます。彼等は私達の世界以外にも住処が在ります。その場所に住めない生き物がこちら側を住処にしているのです。ただの仮定ですが、何かの拍子で時空が歪んだとして、それが原因で魔物が出現しているのではと」


え?マジか。セラそんな事知ってたのかよ。

だったら最初から話しておけばよかったぜ。


「えっと、色々突っ込みたいところだが、空間が歪むなんてことあるのか?」


「はい。小さな歪みはよくあることみたいですが、生き物が通れるほど、と、なると。厄災レベルだと思います。

もしかしたらカスバールの数年前の災害の被害が拡大したのもこれが原因なのかも知れませんね。サウジスカルにも厄災の兆しが訪れているのかも知れないです」


「歪みの原因は何か、見当はついてるのか?」


「それは、私にはなんとも。空間の歪みに関してならササラ様の方がお詳しいのでは?すでにその可能性を視野に入れてお調べになっているかも知れないです」


「ちげぇねぇな。俺に言わないということは、まだはっきりと断定出来ないんだろうな」


だが、可能性は確かにある。

被害が出た場所で話を聞いたら皆口を揃えて「何も無いところから突然現れた」と、言ってたからな。


「あ、ここです!結構綺麗ではありません?」


「うお!!すげぇやこりゃあ。鮮やかだなぁ」


流石売られる花だけある。

綺麗に咲いてるもんだなぁ。辺り一面花畑だ。

それなのに、こんな物渡していいものか・・・・。


「あ、そうだ。この前その調査に行った時、見つけたんだけどな、セラ昔趣味で石集めてただろ?これ綺麗だったからお土産な」


確か子供の頃綺麗な石を集めてるとか言ってたよな?

ササラの鉱石を集めてる時偶々見つけたんだよなぁ。

この、七色に光る石。鑑定にも出したし問題なさそうだからセラにやっても問題ないだろう。


でも、石が初めてのプレゼントなんて、やっぱり色気が無さすぎるか?


「綺麗。ありがとうございます、ギャドさ・・・・」


・・・・ん?なんだ?なんかセラの背後が急に歪・・!!


「ーーーーっセラ!!」


な!なんでいきなり何もない空間から暗闇が現れるんだよ!!しかもセラの真後ろに!!


セラが落ちちまう!!セラ!!手を!ッセラ!!


「ギャド・・・・さ・・・」


待て!閉じるんじゃねぇ!待ちやがれ!!セラ!!


「クソッタレ!!なんで突然空間が・・・」


「お姉様!!」


落ち着け。俺。落ち着くんだ。

これは、多分セラの仮説が正しいんだ。

だが、それがなんでここに突然現れた?


「おい!!お姉様の姿が消えたぞ!!どうなってる!!」


「マルク。緊急事態だ。お前を見込んで頼みがある」


「は?」


「今すぐお前は宰相様の所に行ってこの事を伝えてくれ。俺はデズロ様の所へ行く。セラは恐らく、空間の歪みに連れ去られた」


震えるな。大丈夫だ俺。助かる。助ける。必ず!


「・・・・・分かった。あんたも急いで!!」


頼む!!セラ!無事でいてくれ!!

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