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嵐の予感ですか?

ギャドとの出会いはいつだったか。

私がデズロ様の養子になって間もなく、私がこの宮廷の生活に馴染めない頃でした。


「お前胡散臭い魔術師の養子なんだってな。俺はギャドだ。よろしくな!」


「こら!ギャドお前・・・デズロ様のお子様にそんな態度で!失礼だろう!!愚息が申し訳ありませんササラ様」


貴族の息子にして、この口の悪さ。

しかも、とても気安いギャドの人柄をデズロ様はとても気に入ってました。エルハド陛下も口には出しませんでしたがギャドを好いているのだとすぐに分かりました。


しかもその頃のギャドはまだ身体の線が細く長身で顔も整っていたので、どちらかといえば美少年と呼ばれる部類でした。今やただの筋肉の塊。見る影もありませんがね?


「お前今、俺の悪口を考えてただろ?」


「いや?それにしてもお前はとても分かりやすいね?もう折れたらいいのでは?」


「は、はぁ?何言ってんだ?何の事だよ」


そして現在私ササラ・マスカーシャの唯一の親友であるこの男ギャドは、思い出した遅い初恋に毎日振り回されている。もう20歳を過ぎたいい大人が歳下の女の子相手に随分と振り回されているこの情けない状況を皆さんはどう思われますか?私は呆れています。はい。とても。


「無駄な抵抗はやめておいたらどうだ?ここはもうちゃんと認めて上手くいく方法を考えたらいいじゃないか。何をそんなに躊躇してるんだ?お前らしくもない」


お?ちゃんと自分で分かってはいる様ですね。

そうですよ。そもそもこんな事になった発端は貴方なんですからね?


「俺がササラに記憶を消すように頼んだって本当か?」


「そうだよ。セラの事を知って、お前が私に頼んだんだろ?それは思い出せなかったのか?」


「・・・・なるほど。道理で・・・」


「しっかり術がかかってたな?まさかこんなに長く解けないとは思わなかった。セラ嬢と会って何度か話せば解ける筈のものだったんだけどな?」


まぁ・・・ギャドにも事情がありましたからね。

あれ以来セラとは一切関わりがなかったですから。

マッカローニ家とは絶縁状態でしたしね。


「まぁお前も思い出す事を望んでなかったからだろうな。それにしても、今更思い出して歯止めが効かないとか信じられない」


「な!何も言ってないだろ!!勝手に言ってんな!」


事実だろうが。

もう周りも薄々気づいてるぞ。

お前はもっと自分の事を知った方がいい。

ダダ漏れだからな?


「そんなに、酷いのか?家からの圧力」


「じわじわな?あれ程無視を決め込んでいた俺に長男だから帰って来いだのセラに会わせろだの・・・今の所はそのくらいだが。あの馬鹿共は絶対良からぬ事を考えてやがんだよ」


困りましたねぇ。

エルハド様が貴族制度廃止の意向を口にしてから水面下でそれを阻止しようと皆、企んでいます。まぁ当然ですよね?国からの援助が全て回収されてしまうのです。真面目に働いてない奴等は何としても今の贅沢な暮らしを失いたくない筈ですから。何も、今すぐ無くなるわけではないのですがね?少しずつ縮小されていって最終的にという話なんですが・・・・。馬鹿共には何を言っても無駄でしょう。


「セラを家の事情に巻き込みたくねぇ」


「ふぅん?つまりそれが無ければ結婚したいと?」


「だから!!そんな事言ってねぇだろうが!!」


本当に珍しいですね?

ギャドは基本私にはこんな風に意地を張ったりしないんですが・・・。概ね素直になんでも話しますから。

私にだけですけれど。フフン。


「お前ねぇ?そんな事言っていると、あっという間に別の男に取られてしまうよ?彼女、家柄も勿論だけどあの見た目だろう?結構需要があるからね?」


「は?なんだそれ」


「合法的に幼女に手を出せる機会を狙った男共に大人気のだ。この世にロリコンがどれだけ存在していると思う?」


ガターーーーン。

いやいや、そんな顔で睨まれましても?私は違いますよ?ロリコンではありませんので。あ、まぁやむなく手を出した例はありましたが。


「ふざけんな・・・・セラに手を出しやがったら、そいつは即刻ぶち殺す」


ギャド?心の声口に出てますよ?

そしてまだセラ嬢誰にも手を出されてないですから。

唯一手を出されたと言うのであれば、せいぜい私の目の前のヘタレとキスしてハグした程度です。それも子供がする様な戯れ程度の軽いやつ。


「お前が居ない間、私も可能な限り気を付けて見てるから、気にせず行ってこい。ジェラルドともちゃんと話してあるんだろう?あの家で唯一まともでお前に理解がある。きっと変な事にはならないよ」


ジェラルドとはギャドの弟でマッカローニ家の後継です。

彼はギャドと違い賢いのであの両親共上手くやっているようですが、実はギャドと仲が良いので、そこは救いですね。ただあの環境下にいるジェラルドが不憫ですが。


「そうなんだが、ジェラルドに負担をかけるのはなぁ。本当大変なんだよ・・・馬鹿共の相手すんのも」


ですよねぇ。


まぁでも真っ先にそこから逃げ出した貴方が言うセリフではないでしょうねぇ?

分かってるから本人には言わないでしょうが。


「俺が居ない間、悪いがセラの事頼むわ。あ、それで?土産は何がいいんだ?」


「あそこは質の良い鉱石が取れるだろう?いくつか纏めて採ってきてくれ。帰ってきたら部下に鑑定させるから、研究室に持って行って欲しい」


「分かった。じゃあそっちも頑張れよ。あれから魔物は現れてないが不自然過ぎるからな」


そうなんですよ。

つい最近サンチコアで現れた魔物の出所が未だ掴めないままなんです。突然、現れたみたいなんですよ。何も無い所から。しかし、そんな事が果たしてあり得るんでしょうか?自然現象ではあり得ませんからね。


この時、私達は想像もしていませんでした。

まさか、自分達のこのやり取りがあんな事態を引き起こすとは。油断していましたね。


「なるべく良さそうなの持って帰って来るわ」


悪いギャド。私がこんな事を頼まなければ、あんな事態を招かずに済んだかもしれないのに。

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