2.語里の話
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このシリーズは毎日22時投稿となります。
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大好きな祖父の話をしましょう。
私の祖父は、日本でも有名な童話作家である。
若い頃からたくさんの話を生み出し、
たくさんの子供たちた夢を与え続けた存在だ。
読み聞かせなんて本当に絶品で、
たくさんの声を使って自身の話を読む祖父は
特に大好きだった。
中には書籍になってない即興もあり、
私は1番のファンとして贅沢な時間を過ごした。
そんな祖父のそばで育った私はもちろん、童話が大好きだった。
将来の夢が童話作家だったのも当然であった。
そんな夢が叶う時が来た。
美大に進学した私の卒業制作である絵本の原稿が
出版社の目に留まり、書籍化を打診されたのである。
書籍ように推敲を重ね、描き直し、
最高のものに仕上げた原稿を今日届ける予定だった。
しかも祖父が沢山本を出してる出版社だった。
最初はコネを疑った私であったが、祖父の話をすると出版社の編集さんが大変驚いていたので知らなかったらしい。ありがたい。
大好きな祖父と同じ出版社でデビュー出来るのだ。
いつもより浮き足立つのも仕方の無い話である。
浮いた足は掬われやすかった。
足が地に着いた時にはもう遅かった。
右から迫り来る大型トラック。
運転手は眠っていて、ハンドルをきる動作やブレーキなどは見られない。
目の前の信号はいつものように青色をしていた。
思ったより冷静な自分と、
ゆっくりと動く世界を感じながら私は目を瞑った。
弾け飛んだ茶封筒の中から、
色とりどりの原稿が飛び散った。