1.夢を食べる王子様
はじめましてこんにちは。
牛田と申します。
この話は童話が沢山モチーフとしてでてきます。
どの話なのか予想しながら楽しんで貰えると幸いです。
とある所に、とても可愛らしいお姫様がいました。
お姫様は王様や女王様、国民のみんなに愛されて
優しく素敵に育ちました。
ある日、国中の魔法使いが集められました。
毎年行われるの建国記念日のお祭りで、
魔法使いの出し物を決めるためです。
12人の魔法使いはお城で王様やお姫様たちと話し合いを始めました。
するといきなり扉が開き、1人の老婆が入ってきました。
「なぜこの国1番の魔法使いである私を呼ばないのかい?」
と、老婆は王様に問いました。
この国には魔法使いが13人います。
しかしこの老婆は悪い魔法使いで、
国民に迷惑ばかりかけていました。
「国民のためを思うのであれば、今度の祭りは子の12人に頼む。あなたは何もしないでいてくれ。」
王様がそう言うと老婆は怒りました。
「この私を仲間外れにするとは絶対に許さない!!!」
そう言うと老婆はお姫様に向かって魔法を放ちました。
「姫!!!!」
ほかの魔法使いが姫に駆け寄りますが、
姫に変わった様子はありませんでした。
「自分たちの行いでその可愛い姫様が苦しむのじゃ。私にしたことを後悔しろ。」
そう言うと老婆は出ていきました。
すぐさま魔法使い達が姫を調べました。
すると、1人の魔法使いが口を開きます。
「これは悪夢の呪いです!このままでは姫様は一生悪夢を見続けることになります!!!」
「なんだって!?その呪いは解けないのか!!」
魔法使いたちは首を横に振りました。
なぜならあの老婆はこの国1の魔法使いで、
呪いに関しては右に出るものはいなかったのです。
「やられた、済まないが皆の者、呪いが解ける方法があればすぐ教えてくれ。」
王様がそう言うと、1人の魔法使いが手を挙げました。
「効くかどうかはわかりませんが、他の国にいるバクという動物は夢を食べる力があるそうです。」
「なんと!すぐに連絡を取り譲ってもらえ!」
王様の部下はすぐさま隣の国に連絡を取りました。
その日の夜。
強烈な唸り声で城中の人間が目を覚ましました。
お姫様の寝室からです。
王女様やメイド達が見守りますが、収まることは無く
お姫様は起きた時には大変やつれていました。
そんな日が数日続いた頃、
ようやく隣の国からバクがやって来ました。
悪夢を見て疲れ切っていたお姫様は
初めてみる動物にたいそう喜び、
すぐにバクを大好きになりました。
バクも優しくしてくれるお姫様が大好きでした。
それからというもの、夜に城で目を覚ます人はいませんでした。
それから何年も月日が経った頃。
バクがお姫様に話しかけました。
「姫様の呪いはもう全て僕が食べたよ。」
それを聞いてみんなたいへん喜びました。
その日の夜。
姫様はとても幸せな夢を見ました。
バクが来て夢を見なくなったので、
とても久しぶりに見る夢でした。
朝起きると、隣にいたはずのバクはいなくなっていて、
代わりに男の人がいました。
しかもその人は泣いていました。
びっくりはしましたが、お姫様は優しい子なのでその人に
「どうしたの?どこか痛いの?」
と、問いかけました。
すると男の人は答えました。
「ごめんなさいお姫様、僕はあのバクです。悪夢だけを食べるつもりだったのに、間違えてお姫様の一番幸せだと思える夢を食べてしまいました。」
なんと、その男の人はあのバクだったのです。
「僕達は誰かの1番幸せな夢を食べると人間になれるんだ。でも、こんな事するつもりじゃなかった。本当にごめんなさい。」
するとお姫様は答えました。
「あなたは人間になって悲しいの?」
「そんな事ないです!でも姫様はもう一番幸せな夢を見ることが出来なくなる……」
お姫様は笑顔になって、
「大丈夫よ!私が見た夢は、素敵な王子様と結婚して幸せな生活をすること。あなたはその王子様にそっくりだわ!」
と、言いました。
「あなたが良かったら、私の一番幸せな夢を現実にしてくれないかしら?」
バクはまた泣きながら大きくうなづきました。
お姫様をずっと助けてくれていたバクが相手だと知って
王様も女王様も、国民のみんなも大賛成しました。
そして2人の結婚式が盛大に行われました。
12人の魔法使いが素敵な魔法を使い、
最高の式になりました。
そこに13人目の老婆は来ないよう、
12人の魔法使いたちが必死に止めたからです。
こうしてお姫様は夢の通り、バクと一緒に
ずっと幸せに暮らしたのでした。