嘘の渦巻く作戦会議
よろしくお願いいたしますm(_ _)m
最後に、席順表を張りますね!
「さて、とりあえず俺がもらった説明書によると、この人狼ゲームは主に3つの陣営に別れていて、7つの役職があるようだ」
涼馬さんが、落ち着いたテンポで話す。
関係ない話だがこの部屋、とても美しい部屋だ。
キラキラと輝くシャンデリア、黒く質のある布カーテン。
そこから覗く景色は、とても広大で広々としている。
木々の一本一本は、大空に向かって伸びていて、たまに見かける鳥たちは「ピピピッ」と鳴いて、まだ見ぬ大地へと羽ばたいていく。
こんな素晴らしいところに、幽閉されるなんておもってもいなかったな。
こういうのは、大体古びた廃病院とか山奥にある不気味な洋館とかに、幽閉されるのが鉄板だと思っていた。
「んで、その役職と陣営ってのはなんなんだよ」
俺が、景色を堪能しているとガラの悪そうな若林さんが、不機嫌そうに言う。
「えっーと、分かりやすくいうのは大変だけど…ひとつめの陣営が人狼陣営。人数は、3人で役職は、人狼2人と狂人1人。役職説明は、流石に時間がかかるから後で確実よろしくね。ふたつめの陣営は、村人陣営。人数は、6人で役職は、占い師1人、霊媒師1人、狩人1人、村人3人。最後は、個人陣営。役職は、裏切り者1人だけ」
「裏切り者?なにそれ?私、人狼ゲームは友達とやったことあるけど、そんな役職聞いたことないよ?」
梓さんがいう。
確かに、俺も何回かオンラインでやったことはあるが、そのような役職は聞いたことがない。
その役職になってしまったのは、少し運が悪いな…。
「この、裏切り者って役職…どうやら今回のゲームのオリジナル役職らしいんだ。基本的な動きは、妖狐と一緒らしいが、勝利条件は人狼陣営か村人陣営のどちらかが、クリア条件を満たしたときに、生存していると追加勝利になるらしい。多分、生存のためならどちらかの陣営につき、裏切ることも惜しまないだろうな…」
ふうん…。この役職ってそういう役職なんだな。
なんか、変な役職もらっちゃったけど勝てるのかな…。
「とりあえず、役職の話は終わったしそろそろ話し合いに移ろう。皆は、俺が初日の進行でいいみたいだし、確認したい役職もあるしね」
俺は、ふと胸ポケットにペンとメモ帳を入れていたのを思い出して、取り出す。
少しくらい、メモっても害はないだろうし、後々役にたつかもしれない。
「お、朱音君メモ帳とペンを持っていたんだね。良ければ、書記をやってくれないかい?」
どうやら、涼馬さんに気づかれたようで、俺は焦るように手を後ろに回して隠す。
もしもペナルティだったら、バレたらヤバい…。
「ははっ。無理強いするつもりは無いんだけどね…書記がいたら後々役にたつかもしれないからさ。ごめんね、無理だったらいいよ」
涼馬さんが少し悲しそうな顔をすると、全員から「書記やれよ」的な視線が飛び交う。
……………仕方ない。
「わかりました…やりますよ」
「ありがとう!朱音君は優しいんだね」
にっこり笑った涼馬さんが、俺の手を握る。
うわぁ…。スキンシップ多いのかな、この人…。
けど、本人は悪気がないようだし、俺も嫌な気はしない。
「そんなことありませんよ…。とりあえず、話し合いを始めましょう」
俺は、握れた手をなるべく自然に離すと、メモ帳を持ってメモる準備をする。
「そうだね。じゃあ、今後人狼を見分けるために、必要不可欠な役職…占い師に出てもらおうかな。占い師の人、手をあげてくれるかい?」
涼馬さんの言葉と同時に、手をあげたのは桜宮さんと梓さんだ。
まあ、ここまでは普通の人狼ゲームと一緒かな。
恐らく、本物と人狼の味方となる狂人が手をあげたのだろう。
『占い師…桜宮・内藤』と書き込む。
連れ去られた今日に占うことは不可能だろうから、初日占いもなしだろう。
ついでに、『初日占いなし』と書き込む。
「ええ~?なんで、愛梨ちゃんが手を挙げるの?私が本物だよ?偽物なら、そういうの辞めてよね」
梓さんが敵意の持った目で、桜宮にいう。
「別に、いいではないですか。私が、本物なんですし。まあ、偽物本物の断定なんて、現在の状況では不可能ですよ?そんなことも高校生にもなって、わからないのですか?」
桜宮さんが挑発するように、フッと笑ってまた前を向く。
すると、バカにされた梓さんが小さく「チッ」と舌打ちをして、前を向く。
桜宮さん…本当に小学生ですか…。挑発の仕方が半端ないですよ。
それよりも、女同士の戦いって怖いな…。
なるべく、怒らせないようにしよう。その言葉を俺は、胸に焼き付けた。
「ねぇねぇ…涼くぅん。次はぁ、どうするのぉ…?凛子こわぃ…」
先ほどのぶりっこヒステリック女だ。
進行に媚びを売っておけば、生きてられると思ったのだろうか…先ほどから、涼馬さんの近くに座ってスキンシップを繰り返している。
見てるだけで、吐き気がしてきたぞ…。気持ちが悪い。
涼馬さんは、自然と花輪さんを離して、続ける。
「とりあえず、占い師はこの2人でオーケーだね。次は霊媒師に出てもらおうかな」
ん…?ここで、霊媒師を出すと全てオープンにするのとほぼ同じになるぞ?いいのかな…?
少し、疑問に思ったため、涼馬さんにきく。
「「あのっ…」」
ん?真壁さんも、なにか言おうとしてるな…なんだろう。
「あ、すいません…。先に、朱音さんがいってくれて構わないですよ」
真壁さんが、申し訳無さそうにいう。
うーん、ここで譲られたら先に、言わせてもらおうかな。
「ありがとうございます、真壁さん。あの、ここで霊媒師を出してしまえば、開放できる役職が全て出てしまいますよ?しかも、ここで霊媒師を出すことで、人狼が騙り、人狼の生存率が高くなる。また、ここで開放すると、最大で4人5人が手を挙げたことになる。裏切り者も、役職に手を挙げることで生存率をあげるかもしれない。このことにより、今霊媒師を出すのは村人陣営にとっては、不利になると思うのですが…。どうでしょうか?」
まあ、俺が裏切り者なんだけどね!自分で、生存率下げてどうしたいんだろうね!
とまあ、俺が自問自答をしていると、涼馬さんが口を開いた。
「うーん。なるほど…。確かに、それは一理あるな。理論もしっかりと立っているし…。なら、霊媒師は伏せておいて、人狼がつられたことが分かったときに、出てきてもらえばいいと思う。どうかな?」
涼馬さんが、提案をしてくれる。
これなら、人狼がひとりでも死亡したときにわかるし、安全性も高いな。
「なるほど!それなら、俺も納得です」
「よし。皆も、これでいいかな?」
俺の返事を聞いた、涼馬さんは皆に問う。
ほかの皆さんは、頷いて答えた。
「そういえば、真壁さんは何を言おうと…?」
俺が、横からこっそり聞くと、
「あ、朱音さんと同じことを言おうとしただけですよ!大丈夫です」
と、答えた。
なんか、少し焦っているようにも見えるが、初めて話すから緊張してるだけなのかな?
涼馬さんは、真壁さんのことを忘れているようで、またベタベタとしてきた、花輪さんの処理に追われている。
「あのさぁ、さっきからおもってたんだけどよ」
いきなり、口を開いたのは不機嫌そうな若林さんだった。
なんだろう、不満でもあるのかな?
「お前らなんで、そんなに冷静なんだ?命をかけたゲームなんだぞ?少しは、焦った表情のひとつでも見せてみろよ。それか、あれか?もう、このゲームの経験者だったりして…」
ビクッ…。その、言葉を聞いた瞬間、空気がこおりついた気がした。
そうだ、その通りだ。少なくとも、俺はこのゲームに一度だけ参加して、勝利している。
「ああ、そうだよ。悪いか?参加したことがあって」
そう言ったのは、山崎さんだった。
山崎さんも、参加経験があるのか?
「ちなみに、俺は3年前に一度参加したことがある。今回が、2回目だ」
山崎さんは、3年前なのか…。
ちなみに俺は、4年前だ。当時、桜宮さんと同じ12歳だったときに、同じ経験をして、勝利して生存した。
「ほらよ!こいつなんて、人が死んでも構わない冷酷人間なんだよ!ほかの奴らもそうなんだよ!」
若林さんは、1人1人指を指していう。
皆、黙ってうつむいてしまった。
この、反応を見る限り恐らく皆1回以上参加したことが、あるのだろう。
「若林君、今はその事は話し合いに関係ないよ。ほら、座りな」
そういったのは、涼馬さんだった。
涼馬さんの目は、表側は優しそうに注意する青年だが、裏側はとてつもなく怒り狂っている鬼のようだ。
その事は、彼の目を見れば誰でもわかる。
その目を直視してしまった、若林は少し怯えた目をしてから、それを隠すようにして、軽く舌打ちをして席に座った。
「さて、今日の話し合いはここまでかな?これ以上の、この部屋での話し合いは無用だよ。じゃあ、処刑時間は9時だから…8時半にこの部屋に集合でいいかな?」
涼馬さんは、聞く。あの、目の炎を隠して。
回りは、こくんと頷いてオーケーをする。
「うん。じゃあ、今は2時くらいだからまた後でね」
そういって、涼馬さんはそそくさと出ていってしまった。
それを合図かと、言うように次から次へと出ていく。
俺も、皆がいなくなってから出ていく。
「さあ、騙し合いを始めようか」
俺が、この部屋で見つけた監視カメラに向かって、囁いたのはこの人狼ゲームの黒幕しか知らない。
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若| |山
真| |棚
朱| |花
桜| |要
三| |内
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席順です~!
次回もよろしくお願いいたしますm(_ _)m