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恐怖は突然に

やっと、一話ですー!よろしくお願いいたしますm(_ _)m

「ん…」


 俺、朱音結城はとあるシャンデリアの飾られた一室で、目をさました。 

 回りをみると、見たこともない制服を着ている学生らも、目を覚まして、起き上がっている。

 俺は、ゆっくりと起き上がって今さらだけど、思ったことがある。


「ここは…どこだ?」


 ポツリと呟くと同時に、どこからか無機質な機械の音が聞こえた。


『これから、人狼ゲームを開始いたします』


 は?人狼ゲームってどういうことだ?

 回りの人たちも、まだ状況がわかっていないようで、無言で回りをキョロキョロしたりしている人もいる。


「おい、人狼ゲームってどういうことだよ」


 一番始めに、声を発したのは見た目からしてガラの悪そうな、一人の少年だった。

 回りも彼の方を向く。

 だが機械音は、その質問には答えずに続ける。


『皆さんは、この洋館に連れ去られた人質です。脱出するには、この人狼ゲームで生き抜いてください』


 その、「人質」というワードを聞いた瞬間、回りがざわつき始めた。


「え?人質って…どういうことなの?え?え?」 


「おい、なんだよこれ。外れねぇよ!」


 爽やかそうなイケメンが、いつになく焦り顔で、いつの間にかつけられていた、白い金属の首輪をガッシャンガッシャンとはずそうとしている。

 俺も、首もとを見てみると同じものがつけられていた。


「やめてよ、こんなこと辞めてよ!!」


 なかには、ヒステリックに泣き叫ぶ女もいた。


『今、皆様につけられている首輪はゲーム終了時に自動的に外されます。無理に外そうとすると、首輪に設置してある指紋認識システムが起動され、首を自動的に締め上げます。また、この洋館から無理に脱出した場合も、GPSが察知し、首を自動的に締め上げます』 


 機械音が淡々と説明をする。

 つまり、俺らは勝手に脱出することは不可能ということか?

 回りの人たちは、ヒステリックに泣き叫ぶ女以外は、機械音の声に耳を傾けていた。

 多分、ここで叫んでいても何も起こらないことを察したのだろう。

 


『では、皆様胸ポケットに入っている、封筒を取り出してください』


 機械音が、そう告げる。

 胸ポケットか。なにか、入れていたっけ?

 俺は、恐る恐る胸ポケットに手を入れてまさぐる。

 すると、なにか紙のようなものが入っているのに気づいた。

 それを取り出してみると、赤茶色っぽい色柄にバラの絵が施されていた、封筒が入っていた。


『その、封筒を取り出して、誰にも見られないように中身を確認してください。見られた場合は、ペナルティに処します』


 封筒を開封して、手を囲いをしながら中身を覗いてみると、そこには『裏切り者』と書いてあった。

 恐らく、役職説明はこの重なっている紙に書いてあるだろうから、この説明会ぽいものが終わった後に見ることにする。

 俺は、封筒の中身をチラ見してから、すぐに封をして胸ポケットにしまう。


『その、なかに書いてありましたものは今回貴方方が行います、役職となります。役職説明等は、重なっていた同封してありました二枚目に記載してありますので、この説明会が終わりましたら、ご覧くださいませ』


 あの、ヒステリック女はさすがに空気を読んだのか、いつの間にか静かになっていた。

 ほかの方も役職確認をしていたりと、様々だ。


『次に皆様のお泊まりになられる部屋のご紹介をさせて頂きます。主に、皆様のお部屋は2階にございます。階段は、この部屋を出たところをまっすぐいってもらい、少しもいってもらいましたら、ございます。部屋割りについては、この部屋を出たところの右側に一人一人の部屋のカードキーが置いてありますので、必ずお取りになってください。また、お休みになられる際にはお部屋の鍵を勝手に閉めないでください。勝手に閉められた場合は、ペナルティに処します』


 カードキー仕様なのか。まあまあ、セキュリティには伴っているな。

 恐らく、鍵を閉めてはいけないのは人狼の襲撃時に入れないと、襲撃ができないからだろう。

 機械音は、ぼかしていっていたが、恐らく皆さんも理解しただろう。 


『お食事は、この部屋を出たところの突き当たりを左に曲がって、少し行ったところにございます。厨房には、水やお茶、食べ物は主にパンや缶詰といった調理をしなくてもすむような食材が揃っております。また、紙パックのジュースや牛乳もございます。スープ類は、厨房に置いてありますお湯でお作りになってください』


 食べ物に関する待遇は、まあまあってところだろうか。

 恐らく、運営側は処刑や襲撃以外で死なれなければ、それでよいのだろう。


『衣類に関しては、皆様の学校の制服を何着か用意してあります。恐らく足りなくなることはないと思いますか、万が一のために、皆様のお部屋のタンスに3着ほど予備をご用意しております。また、浴槽はございませんので、身体の清潔はご自分でそれなりにお願い致します』


 うーん。お風呂がないのか。それは、流石にきついな。

 まあ、そんなことが考えなくなるくらい大変になることは、大体予想している。

 身体なんて、生存して脱出できたときに、家でゆっくり入ればいいのだ。

 だが、女性陣は不満があるようで少し不機嫌なようだ。

 これから、風呂のことなんて考えられなくなるくらいに、大変なゲームが始まるというのに…余裕なんだろうか。

 まあ、俺も脱出できたことを考えられるくらいに、余裕なんだけどね。人のこと言えないんだよなぁ。


『これで、人狼ゲームの説明会を終わらせて頂きます。皆様、長い間のご清聴ありがとうございました。では、本日午後9時にまた、お会いしましょう』


 これを、気に機械音の声は止んだ。

 さて、これからどうするものか。

 この流れだと、話し合いや自己紹介が始まるのだろうけど、この初対面の状態で、自己紹介などは流石にきつい…。

 誰かなにか、言い出してくれないだろうか。

 キョロキョロとしていると、一人の青年が待ってましたとばかりに言葉を発した。


「えっと、とりあえず自己紹介しない?そうしないと、話すにも話せないだろうし…。俺は、棚岡涼馬。涼馬って、呼んでくれて構わないよ。18歳。多分、様子からして俺が最年長なのかな?よろしく…」


 おずおずとした様子で、自己紹介をする。

 すると、俺のほうに視線を向けてきて『自己紹介しろ』と言わんばかりの目で見てきた。

 おれは、一息ついてなるべく謙虚に見えるように、自己紹介をする。


「朱音結城。呼び方は何でもいいです。16歳。よろしく…」


 とりあえず、様子見で前の涼馬さんと同じことをいう。


「俺、要相馬!前の結城君と同じ、16歳だよー!呼び方は、相馬って呼んでくれると嬉しいな~。よろしく!」


 うーん、テンションが高いなこの人。危機感とか、ないのかな?


「桜宮愛梨です。恐らく、このメンバーでは最年少の12歳、小6です。呼び方は何でもいいです。よろしくお願いいたします」


 丁寧すぎる自己紹介をした、12歳の桜宮さんは律儀にお辞儀までして、挨拶をした。

 多分、取っつきにくいタイプかな。前の、相馬君とは絶対合わなそうだな。

 けど、この年齢で命をかけた戦いを強いられるとは、相当哀れだな…。


「真壁心と申します。呼び方は、なんでも結構ですわ。17歳です。よろしくお願いいたしますわ」


 まさに、お嬢様と名のつくおしとやかな人だな。

 最後ににっこりと笑ってお辞儀をするところをみてみると、相当いいところのお嬢様なんだろう。

 立ち振舞いがほかのひととは断然違う。


「私はぁ、花輪凛子っていいますぅ。凛子って呼んで欲しいなぁ…。愛梨ちゃんの一つ上のぉ、13歳ですぅ。よろしくねぇ!」


 先ほどのヒステリック女だろうか。

 身体全体から、まさに『ぶりっこ』感をかもしだしていて、正直苦手なタイプだ。

 あまりこの人とは、関わらないようにしよう。


「山崎蓮。呼び方はなんでもいい。年齢は、17。よろしく」


 落ち着いた物言いで、自己紹介をした山崎君はメガネをくいっとあげてお辞儀をする。

 この人が話すと同時に、空気がピシッと張り付いた。

 冷静な人なんだろうか、テンパっている様子が見つからない。

 というか、この状況を楽しんでいるようにも思える。


「若林光輝。呼び方は好きにしろ。15。よろしく」


 先ほどの説明会で、一番始めに話した人だ。

 正直なところ、暴力的なひとに見える。

 この、ゲームに理不尽に参加させられたことが、嫌なのだろうか、とても不機嫌そうにみえる。


「内藤梓って言います!呼び方は、内藤でも梓でもなんでもいいです!年齢は、17歳!よろしくね~」


 大きな声で自己紹介をした内藤さんは、人懐っこい笑顔で軽くお辞儀をする。

 見た目もかわいいし、学校ではモテそうなイメージだ。


「えっと、とりあえずこれでみんな自己紹介は終わったかな?とりあえず、今後のことのために少し話さないか?説明会の時に、説明書を見ていたんだが、どうやら『占い師』という役職があるみたいだ。今後、このゲームの進行上大切になってくる役職みたいだから、その事も含めて話そう」


 皆の自己紹介が終わったのを確認した涼馬さんが、回りの様子を見ながら、いう。

 確かに、この話し合いは必要なものだろうな。

 

「反対の人はいないな?とりあえず、初日は俺が進行ってことでもいいか?一応、最年長だし…」


「はーい!いいですよ~。私は、賛成です!」 


内藤さんが、手をあげて賛成をすると回りもそれに合わせて、「俺も…」とか「私も賛成」とか、ちらほらと聞こえた。 


「じゃあ、初日は俺が進行ということで。とりあえず、みんな椅子に座ろうか」


いつの間にか用意されていた、椅子に皆腰かける。




今から、嘘にまみれた心理ゲームが本当の意味で幕を開けたのだった。


ありがとうございました!

今後もよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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