第三章:チャイムをならして。
ピーンポーンッ
「はーい」僕はドアを開けた。そこにいたのは羽衣。なぜか顔を赤くして。
「んーと…。これ!!」もじもじしながら僕に何かをてわたした。「もみじまんじゅう?」「ぉ、お母さんが広島に帰ってたから……。おお、おみやげって……。」下を向いている。たしかに学校以外で会うのは恥ずかしい。僕の顔も赤くなった気がした。僕ら3人は家が近い。だからといってしょっちゅう家に来るなんてこともなければ外で会うことも少ない。だからこそ恥ずかしい。どうしてかは分からないけどあまり顔を会わせることはない。「せっかくだから。」なんて言葉も僕らにはない。近づこうと思わないと近づけない。会うと近づこうとしたみたいに思われそうなくらい。
「じゃ、じゃあね!!」「お、おう」無理に笑ったような顔をして走り去ってしまった。僕の顔は、ほてったまま。
明日、学校で会ったらお礼を言おう。そう思いながらもらったもみじまんじゅうを食べた。あんまり甘いものは食べないけどこのくらいなら大丈夫。「あまさひかえめ」と表示されている。もともとなのか気を利かせてくれたのか、『僕専用』の甘さになっている。宿題でもしながら食べよう。
Pi!Pi!Pi!Pi!Pi!!「ん……何時……? …8時!?」やばい遅刻だ!!「うわゎゎゎゎわわ〜!!いってきまーすっ」
どうしよう!!あと10分!!間に合うか!?
ガララッッ!
「セーフッ……。」時計を見ると本鈴2分前。ギリギリセーフだ。先生はまだ来てない。「おっそーい」あやめ。今度は何を言うつもりなんだろ……。「あんたねえ、遅刻はするわ居眠りするわで学校来るきあんの?」「遅刻はしてないっ」「しそうだったでしょ」「してないんだからいいだろ」「どーせ遅刻しても反省しなかったでしょ?」……その通りっちゃその通り。あながち間違いではないから言い返せないなぁ……。
キーンコーンカーンコーン
本鈴。1時校目は……数学。これは寝たら専科の先生に怒られるから……2時校目の…ホームルーム。ここなら寝れる。うん。
ほらやっぱり。先生のくだらない話がだらだらつづく。…それじゃあ、おやすみなさい。
−つづく−