第一章:夢で……。
あたたかい日差し。うたた寝には最適なお昼だ。
今は休み時間だから寝ていても誰も文句を言わない。……と思った。
「アイー!!いるー!?」
突然の大声でたたき起こされた。…羽衣だ……。きっと僕らのクラスに親友の「アイ」を探しに
はるばるやってきたんだろう。「いないよ……。」少し不機嫌そうに答えたが全く動じなかった。
それどころか ”どうしたんだろう”みたいな顔してる。
「アイは?」…日本語が通じないのだろうか。「いない」といったのにまだ聞いてくる。
これにはさすがにイライラしてきた。「い・な・い!!」「どこにいる?」「知っらないっ!!」
しつこい……。やっと黙った。でも、反省の色はない。僕はムキになってバカみたいだ。
重たい頭をあげて、少し羽衣をみた。羽衣はなんだか微笑んでいるようだった。
なぜか僕まで表情がゆるんできた。うれしい。羽衣が笑うとなんだか嬉しい。
そんなことを考えているうちに羽衣は「じゃあね」と言って行ってしまった。
残念な気持ちもあるが静かになって何よりだ。あと6分で授業が始まってしまう。
それまでは寝ていよう。誰もいない教室で。
「キーンコーンカーンコーン」
本鈴だ。もう6分経ったんだ。 …だるい。勉強なんてまっぴら。やってられない。
ねむたい。やっぱり寝ちゃおう。
…「また会ったわね」……?だれだっけ。みたことがある。白いワンピースに長めの髪……。今日もどこかで……。
いない。消えちゃったの?どこに……。
「あ・や・さ・き!」…まただ。本日2回目のあやめの声。またあの夢だ。
……羽衣?さっきのは羽衣?また夢でみた。なんで気づかないんだろう。
夢の中の僕はすごいバカだった。気づかないなんておかしすぎる。ワンピースだったから?
髪を下ろしていたから??そんなのどうだっていい。……どうして消えてしまったの?「
さよなら」なんて。
「綾崎!次は目開けたまま寝てるの?(笑)」
「うっさいなぁ……。」
あやめは何でそういうことを……。ちょっと考えごとしてただけなのに……。羽衣がなんで夢に出たのか。
−つづく−