第十八章:ラブハプッ!?
前回に引き続き、バイキングなどの絶叫系をさんざん乗らされた僕ら。(さそったのは主に羽衣)
何人かは脱落しているが、僕は意地で残っていた。ここでくたばるわけにはいかない。
バカにされるために来たわけじゃないんだ。そろそろタイムリミット、閉園してしまう。(それにしても、遊園地というのはなんとも早くに閉まるものである)
次が恐らく最後だろう。まさか絶叫系なんてことは……。
「よーしっ!スペースシャトルのろーっ!!」
ちょっとまてーーーーーーーーーーっ!!!!!
あいつ、くるってるぞ!!!!どうすんだよ!!まだ乗んのかよぉ!!!!!!!!!
つーか、誰か止めろって!!!!!(だんだんガラ悪くなってきた)
「夏木、さすがにもういいって」
よく言った新太!!!アリガトウ!!!!!!!
「…なにが???」
「……絶叫マシーン;」
「ええ!??みんな乗らないの!!???」
そこ!?びっくりすんのそこ!??羽衣って天然!!!????
「そか…じゃあ何に乗るのかな?」
「うーん……なんでしょう?」
「遊園地ももう終わっちゃうしさ、最後くらいは静かなの乗ろうよ」
「「さんせー」」
今まで黙っていた僕や周りの子も口を挟んだ。
「じゃ、ベタなとこで観覧車とかのる!??」
新太らしい発想だな……。(言っちゃえばすごいベタ)
「いいんじゃない?」
「ほい!けってーぃ!!」
新太なら羽衣とくっつけてくれそうだし。
って……。2人きりーー!!???なに!?このシュチュエーション!!!!
普通に考えて4人とかで乗るだろーーーーーー!!!!!!新太ーーーーーーーーー!!!!!!!
どうすんの!?どう話を出すの!!??なんか話題とかあんの!!!!????
「あのさ」
「はいぃぃ??」
「2人になっちゃったねぇ……。」
いきなりそこーー!!!???羽衣!!はやまるなぁ!!!
「そ、そうだね…新太はなに考えてんだか……。」
「2人って話しにくいよねぇ」
「うん……。」
やばいっ!!話が終わったぁー!!!!!!
「顔、赤いよ?2人だからびびってんの??」
「なっ!バッ////」
「びびりぃ(笑)」
「…この前の『一日記憶喪失』結局なんでか分かったの?」
「ううん。ホントに覚えてない」
「そ…っか……。」
また終わったぁーー!!!!!
「なんか恥ずかしいからとなり座ってよ」
「ん?別にいいけど……。」
かわいい……////この感じだと髪はほどいた方がかわいいな……。
「髪、おろしてよ」
「? なんで?」
「おろした方が似合うから」
「……////」
パサッ
ほどいた瞬間、女の子っぽいシャンプーのにおいがする。
「これでいい?」
羽衣は僕を見て微笑んだ。
「うん、かわいい」
僕は笑いながら、ちょっとえらそうに羽衣のあたまをなでた。
怒るかとも思ったが羽衣はきょとんとして僕を見ていた。
愛しい……。羽衣がとてつもなく愛しい……。羽衣は僕をどう見ている?本当に…大切なんだ……。
観覧車はもうてっぺんまで行っていた。上からはさっき乗った絶叫マシーンが一望できた。
「きれいだね……。」
「うん」
一見、カップルみたいだ。羽衣はきっとどうも思っていないだろうが。
このひとときはとても儚いながら大切な思い出になった。「また、こうしていっしょに来たいね」いいたいけどいえない一言だった。自分の気持ちが悟られそうで怖い。僕は変化よりも安定を選んだ。
「そろそろ終わっちゃうね」
「そうだね」
「またいっしょに来たいね」
「…うん」
思いがけない言葉に戸惑った。告白するチャンスなのに……。
僕は気を紛らわそうと、向かいに置いていたバッグを取りに立った。
そして…転んだ。しかもそこは羽衣の上。まさに間近で向かい合っている。どんどん鼓動だけが早くなる。
時間が止まったように感じられてならない。何分経っただろう。
その姿勢のまま見つめ合っていた僕と羽衣は、やっと正気に戻って焦りだした。
「…っわ!!ごめんっ!!!!」
「えっ!?う、ううん!!!いいよ、いいよっ」
まだ心臓は猛スピードで脈を打っている。羽衣の顔も恥じらいで真っ赤だ。たぶん僕も真っ赤じゃ済まないほどまっかだろう。
ほてった顔のまま観覧車を降りた僕らは、何となくみんなのもとに戻りづらくなって、なにも話すことなくいっしょにいた。