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第十四章:梅は散り、桜は咲いた。

〜優真の部屋にて一人会議中〜



まず、告白のシミュレーションをしてみよう。


−とりあえずどこかに羽衣を呼び出すだろ?それからなんて話を切り出せばいいか…−

「あー!ムリ!!!」

〜一人会議終了〜

ベッドで頭をかきむしる。なんかすごい…変な感じっていうか……。

「あ、好きなんだ」って実感するっていうか。

なんなんだよ!気持ち悪い!!!男がこんなコト考えるなよ!!!!気味が悪いだろ!!!!

誰でもこんな気持ちになるのだろうか……。




今は三月。そろそろ僕たちは二年生に進級する。梅の花がちらほらとさみしそうに咲いていた。

「あと二十日か……。」そんな声が思わずもれる。僕らも「先輩」と呼ばれることになるんだ。

僕は帰宅部だからあまり先輩との関わりはない。少なくとも好印象は与えていないだろう。

きっと、このままいけば後輩との交流も全くないまま中学を卒業してしまうだろう。

「なんだかむなしいな……。」そう思わずにはいられなかった。

せっかく周りが用意してくれた交流の場を、自らが遠ざけ、無視している。

学校というのはもちろん社会に出るのに必要な基礎知識を身につけることが目的だ。

しかし、それだけではないんじゃないか?なんのためにこんな大勢で授業を受ける?

なぜ、休み時間が大量にとられているのだと思う?

なぜ、どうして部活動なんかが行われていると思う?

すべては、人同士の関わりを持つ訓練なんだろう。

そうと分かっていながら、僕は訓練をほとんど受けていない。

友達なんて新太ぐらいしかいない。ほかにも友達はいるけど、そんなのうわべだけさ。

学校では話したりふざけたりするけど、プライベートでは関わりを持っていないだろう?

つまりは友達らしい友達なんて新太ぐらいのもの。

はたからみれば「友達がたくさんいる」って思われているんだろうな。

『そんなの…』

つづきを言おうとしてやめた。正確には考えようとして。

何もかもが嘘のよう。目の前には天井が見えるはずなのに、今の僕には何も見えていない。


学校ってなに……?



「痛い」って感覚は学校で教えてもらったのか?

「違う」


「好き」って感情は学校で教えてもらったのか?

「違う」


「泣く」って動作は学校で教えてもらったのか?

「違う」



じゃあ、いったい何を教わった?

「わからない」




早くも桜が咲き始めていた。




    −つづく−

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