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死と女神と転生と

 俺は死んだ。

 目の前にいる悪魔の存在が何よりの証拠だ。

 暗い空間の中、顔には白く顔の形をくっきりと映し出す「それつける意味あんの」と聞きたくなるような仮面をつけ、白いダボダボな丈が膝まであるようなシャツ以外何もきていない悪魔が。

 その胸にはそれなりに大きい双山があり赤髪のツインテールの髪型をしているから女性だということはわかる。

 しかしそれ以外何もわからない。

 そして俺とこの悪魔以外この空間には何もない。

 そんな空間で俺と悪魔は向かいあってお互いの目を見つめている。

 静寂を先に打ち破ったのは悪魔の方だ。

「あんた今私のこと悪魔だって思ったでしょう。」

 バレた!? いや相手は悪魔なのだ。人の心ぐらい読めて当然なのかもしれない。

「いや 誰が悪魔よ 誰が!」

 は?  何を言っているんだ。 此奴は。どう見ても悪魔だろ。その邪悪な白い仮面が全てを物語っている。

「これは保湿パックよ! あんた母親とかがつけてるの見たことないの!?」

 言われてみれば姉がつけていたのを見た気がしなくもない。何故女神が保湿パックなどするのか。

 よく考えたら悪魔が白いダボダボなシャツなんてお風呂上がりの格好をするわけないか。

 では此奴一体なんだ?とりあえず未確認生命体Xとでもしておこうかな。

「普通に考えて天使とかに至らないわけ?死んだことは理解出来ているんでしょう?あんた」

 HA HA HA!  それこそバカな話だ。どこの世界に風呂上がりみたいな格好で人に会う失礼な天使がいるというのだ。

「悪かったわね。お風呂上がりで。」

「だから心読むなって白パック仮面。」

「さっきからなんなのよ!その不名誉極まりないあだ名は!」

「いやだって……」





「あーもう いい?聞きなさい。私はなんと女神なのよ!」

 ハ?…今女神つった?

「ええ 女神よ」

 女神ってあの女神?

「たぶんその女神」

 そうかそうか女神 女神か フフ フフフ

「え なにこの子気持ち悪い…」

 俺は雄叫びをあげた。それに対し白パック女神(自称)は何が起こったのかわからないという顔で聞いてくる。

「えっ? なんかそこまで喜ばれると私も恥ずかしいっていうか、女神冥利に尽きるっていうか、な、なんで?」

「死んだ後に女神と会う!これは異世界転生パターン!そして様々な冒険とハーレムが待っている!王道異世界転生系ラノベ的に考えて!」

「そんな理由であんな疑ってた私を女神って信じたの!?」

 そんな理由とはなんだ。こちとら中1から死んだ日まで毎日欠かさず雨の日も風の日も近くの神社で転生できますようにとお参りしてたんだぞ。

 ラノベを読んでいると転生すること自体無関心だったり、されて当然だと思う奴らがでてくるがありえない。

 そんなのどんな感覚をしているのだ奴らは!

 生きている間に主人公レベル99まで上げていたのか?

 まあそんな奴等の事などどうでもいい。

 まず空想上の生き物だし。

「あんた毎日ってバカじゃないの!?…でも まあそんなとこ。ハーレムとかは知らないけど、それなりの冒険は出来るんじゃない?時代は王道?の中世だし、魔法とかもあるわよ。」

「マジか!オラワクワクすっぞ!早く異世界にいきたい!」

 せかす俺に対し女神は落ち着くよう諭す。

「慌てない、慌てない。あなたの相方になる人が死ぬまで待ってなさい」

 え?相方?普通1人で行くもんじゃないの?

 その疑問に女神はすぐに答えてくれた。

「最初は一人ずつ出してたんけどすぐにほとんど死んじゃってねぇ、仕方なく上の命令で二人ペアで出すって決まったの。」

 それヤバイんじゃねと思ったがそんな事などどうでもいい。

 これはメインヒロイン登場じゃないか?

 マジか!ヒロイン登場はえーな。

 もう俺の脳内では異世界の事しか考えておらず、なんで転生するのか聞くのを忘れていた。

「あら、結構早いわね、もうあなたの相方がくるみたいよ。違う女神が担当してくれたみたい。」

 担当とかあるんだ。まあ上の命令がどうとか言ってたし。神様界にも色々あるんだろう。

「じゃあいよいよあなたの相方とごたいめーん」

 適当な掛け声と共にいきなり女神の後ろに木製の古そうな扉が現れ それを彼女が勢いよく開ける。

 そこから光が漏れ人影が映る。

 さあ どんな可愛い子が俺の相方なのかな?

 すると光の向こうから声が聞こえてきた。

「君が僕の相方か。こんな不思議な体験出来るなんて僕たちは幸せなのかもしれない。何、怖がることはない。同級生と聞いているし僕は生徒会長だった。これからよろしく頼むよ。」


 男だった


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