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初めての仕事と初めての戦闘とゴブリンと

「で、私達を呼び出した理由はなんでしょうか?ギルド長。」

 今俺はシルルさんと一緒にゲイルに呼び出されギルド応接間にいた。

「ちょっと依頼をな。シルルお前最近外出てなかったから金が少し減ってきたろ。」

 ちなみに外に出れなかったのはとてつもなく髪が伸びたせいである。

 どうして自分で切らなかったのか。

「ええ確かにそうですね。私としてもこれから一緒に暮らす仲間が居るのですから部屋も大きくしたいですし、食費もありますし。」

「え、俺そんなシルルさんに負担かけんの?」

「いや、依頼料金はお前にも払われるからそんな事ないと思うが……。」

「でもユウトくんにも生活道具は必要でしょう?服とか。」

「あー。」

 すっかり忘れていた。

 ずっとこの姿で風呂とかもこの世界じゃああんま入れなさそうだからなぁ。

「で、依頼内容は何でしょう?」

「ここから南に少しいったところで商業団がゴブリンにやられたらしい。

 ゴブリンは他のゴブリングループを見つけると合体して大きくなる。

 早めに解体してくれ。」

 おお! ついに戦闘が始まるのか! 戦うのはシルルさんだけど。

「分かりました。その依頼受けましょう。」

「んじゃあ、ユウトのおもりとかがんばってなぁー。」

 いちいち腹立つなこいつ。

 もうギルド長として見れないんだけど。

「別におもりではないです。ちゃんと私と一緒にがんばりますよ。ユウト君は。」



 草原、その道の途中馬車が倒れておりそこに複数の人らしき影がある。

「あそこですね。確かに生きた人間で遊んでいるものがいます。生きるためなら許しますが娯楽のために命を弄ぶなど許しません。」

 よく見えるな。

 俺には人影が踊ってるような感じにしか見えないぞ。

「それでシルルさん、俺はどうすれば?」

「そうですね。では私が戦っている間商業団の人々をあそこまで避難させてください。」

 そういいシルルさんは自分たちが来た方向にある岩を指差した。

「あの岩の近くに聖水を隠しました。いざという時に使って下さい。」

「分かりました。気をつけて。」

「シルル、呼び捨てでいいですよ。私もユウトと呼びます。」

「ではシルル、頑張ってください。」

「対応が早いですね。いいことですユウト。あなたも無理はしないように。」

「はい。」

「では行動開始!」

 シルルは一気に人影の方へ走り出す。

 一拍遅れて俺も商業団の方へ走る。

「こっちだ助けてくれ!」

 近くづくに連れどんどん濃くなっていく血の匂い。

 もう遅かった人もいるらしい。

 生きていると確認できるのは10人。

 気持ち悪くなってくるのを我慢しながら手をふる影へ走る。

「俺から助けてくれ!」

「何言ってんだ!俺からだ!」

「抜け駆けする気!?私よ。」

 俺は事前にゲイルに言われていたことを思い出す。


「ゴブリンは命の危険を悟ると人質を盾にする。だから先に人がとらわれている場合逃げてるのをバレないよう静かに行動するんだ。」


 俺は言われた事をそのまま伝えると捕まっていた人たちはすぐに口を閉じ忍び足で動き出す。

 たまにギルドの事を信用しない人がいて勝手に行動する人が居るらしいが今回は大丈夫みたいだった。

 俺はシルルの方を見る。

 シルルは棍みたいな武器を巧みに操っていた。

 左から飛びかかってきた敵を突きで吹き飛ばし、そこからなぎ払いで正面の敵を攻撃。

 シルルの足元には10匹くらいの角の生えた小鬼が転がっている。

 時折震えているので気絶しているだけのようだ。

 称号聖処女だからか、無駄に殺しはしないらしい。

 こちらも避難途中だからそろそろよそ見は辞めよう。

 そう思い俺は前を向く、その時だった。

「えーん、うぇーん、えーん!」

 商業団の中に赤ん坊連れがいたらしい。

「や、やめてよ……なんで今泣くのよ!」

 一人がそう喋った瞬間、さらに声は増える。

「もうだめだ。」

「この死神が!」

「なんで赤ん坊なんて連れてきたんだよ!」

 声はどんどん荒々しくなっていく。

「クッ……しまった!ユウト!」

 声にゴブリンたちは気づいたのか5体くらいがこっちに走ってくる。

「殺せ! あの赤色の服のやつがガキを連れている……。殺して奪えって盾にしろ!」

「人質だ……人質がいる…あいつは強い……。」

「後は人質を盾にして逃げるだけ……あいつには攻撃しようとするな……。」

「生きるのが……最優先……。」

 なぜかは知らないがゴブリンが話していることがわかる。

 これが加護の力?

 そうゆうものなのか?

 とりあえず走って逃げよう。

「皆さん!走ります!とりあえずあの岩まで走って下さい!あそこに聖水を隠してあります!」

 全員が我先にと走り出す。

「ユウト!魔法を使います。伏せて下さい!」

「全員伏せろォォォォォォォォ。」

 大声で叫ぶ。

 先頭を走っていたので一体どれだけが指示に従ったのかは分からないが後はシルルに任せよう。

「私は殺生は好まぬもの……だが命を弄ぶ悪しき者がいるならば私が断罪しましょう!

 殺しはしません!しかし自分がやった事を悔いるがいい!」

 頭上を何かが通る。

 起き上がりあたりを見渡すと首から下になったゴブリンが5匹。

 死んではおらず口をパクパクしたり、瞬きをしたりしている。

「あああ? なんだ、これは? 首から下が?」

「ない! ない !ないぃぃぃぃぃぃ!」

「これからあなた方に起きることを説明しておきましょう。あなた方はこれから二週間そのままです。

 その後急激に身体の修復が始まります。ゴブリンなら餓死などしないでしょう。肉食の動物に会わぬよう神に祈りなさい。心から改心すればあなた達は罪を償う機会が与えられるでしょう。では」

 た、助かった。

「ユウト、それに商業団の皆さんご無事ですか?」

「ああ、大丈夫です。ありがとう冒険者のお二方。」

 みんなが自分たちに感謝してくれている。

 助けられなかった者もいるがひとまずこの依頼は完了した。

「こら、まだ依頼は終わってませんよ、ユウト。無事に王都に届けるまでが仕事です。」

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