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家と聖処女とヒロインと

 ギギギと鳴る木製のドアを開くと広い場所に出る。

 交流スペースと思われるそこには三組ほどの机と椅子があり正面に部屋割りと書かれたこの館の見取り図が貼ってあった。

 上からはシャンデリアがぶら下がっており、二階の廊下から一階の大広間を見下ろせる作りになっている。

「ユウト、お前の契約者はこの部屋のシルルス・サンクチュアリという女性だ。」

 そういいゲイルは見取り図を指差す。

 2階10号室一番奥の部屋である。

「そしてヒロインの登場だぁぁぁぁぁ」

「ウオッ! びっくりした……。はぁ、ユウト頼むからそれやめてくれ。心臓に悪い。それに部屋と部屋の間には防音魔術かけているが同居人も驚くだろ。」




「じゃあ入るがユウト、第一印象大事だからな?まぁシルルス相手では変な奴だと思われんと思うが。」

 それおばあちゃんとかじゃないよね?やだよ?ヒロインがおばあちゃんって。

「、、、シルルス・サンクチュアリってどうゆう人なんですか?ゲイル長。」

「長はいらん。シルルスはなぁ、なんというかすごい奴だ。」

 ええー 答えになってねぇーー

 ゲイルの語彙力の少なさに呆れながら俺は話を進める。

「じゃあ行くぞ。 おーいシルルス。契約者が決まったぞ。手紙読んだろうなー?」

「はいっ! ギルド長さんどうぞ入ってください。ちょっと今動けないので。」

 返って来る若く優しい声、よかったおばあちゃんじゃないわ。

 ドアを開けるといろんな物がなだれ込んできた。

 なんか嫌な予感がしながらも二人は無言で部屋に入る。

 ゴミの山をかき分けながら前に進むと少し開けた場所にでて真ん中に女性が座っていた。

「こんにちはギルド長。ユウトさん。私はシルルス・サンクチュアリといいます。

 これから一緒にがんばっていきましょうね。」

「おう、ユウト。こいつがシルルスだ。シルルでいいぞ。」

 なんでお前が言うんだよ。

 それにしても蒼い瞳に金髪ロング、一言にいって美しく神々しさまで感じられる。

 ただ髪がロングすぎて床に思いっきりついちゃってるが。

「じゃあ契約内容の確認だ。シルルス、お前はユウトの危険からの防衛、ユウトはシルルスの生活補助。

 これでいいな?俺はやることがあるからもう行くわ。じゃあなー。」

 こうして俺とシルルスは部屋に二人きりになった。

 どうしようめっちゃ気まずい。話しかけるにしても今話し始めたらまたテンションが。

「あのユウトさん。」

「ひゃっ! はい! なんですかシルルスさん。」

 やっちまった。急に話しかけられたため少しかんでしまった。恥ずかしい。

「シルルでいいですよ。」

 いやそれあんま変わんないじゃね?まぁいいや。

「じゃあシルルさん。何でしょう。」

「まだあったばかりでこう言うの頼むのは失礼なんですが、えっと私の髪切っていだだけませんか?」

 はい?予想外のが来たな。

 確かにものすごい長くて踏まないようにしないといけないレベルだけど。

「じゃあ少し失礼して、、、どれくらい切ります?」

「腰のあたりまでお願いします。あっ切るのにはこれ使ってください。」

 渡されたナイフで慎重に髪を切っていく。

 異世界で何やってんだろ俺。



「ありがとう御座います。ユウトさん。加護のせいで自分で切れなくて困ってたんですよ。」

 髪が切れなくなるという加護とは一体、、、。

「ではご飯を食べに行きましょう。あんな髪だったんで外に出れなくてずっと探索用の食料食べてたんですがゴミを捨てにも行けなくてこんな部屋に。」

 なるほど周りがゴミだらけなのはそんな裏話が。

「横に住んでる人に頼もうかと思ったんですが今空き部屋なんですよね。それに防音魔術で声を上げても届かないし、なのでずっと神にお祈りしてたんですよ。これでも聖処女の称号持ちですから。」

 ほんと悲惨だなこの人。聖処女なのに。

 聖処女ってことは役職ゲームでいう僧侶とかそういう立場なのかな。

 興奮して叫びそうになるのをこらえて酒場へ向かう。

 ちなみに「神に祈ったのであって髪に祈ったわけではないですよ?」とかシルルが言ったおかげで興奮はすぐに収まりました。

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