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夢見転生〜勇魔王よ、永久なれ〜  作者: 黄昏
勇者編ー第一章、目覚め編ー
9/27

第9話『アホ王子に栄光あれ』

今回、勇者編第一章の最終話です。

次回ダリィが出るのは、魔王編第一章を挟んだ後、勇者編第二章になります。

注:あらすじ変更しました。

また、次回は簡単な夢見の説明になります。

「じゃあー……とりあえずこれやってください」


 俺は、即席で作った算数と文字のテストを王子に渡す。ミルとココは次回から俺の授業に編入だ。


「あ? こんなもんやれるかよ」

「あっそー……いいんだぁ」


 俺は反抗する王子に対し、障壁を一枚張る。


「わ、わかったよ……」


 王子はそれだけで、静かにテストを解き始めた。あの監獄はどうやら相当な苦痛だったらしい。

 初授業の出来としてはー……まずまずかな。


「……ん? これ、なんて読むんだ?」

「あー、わかんないのは飛ばしていいですから」

「わかった」


 王子はおとなしく俺の指示にうなづくと、テストをまた解き始める。

 いやー……しかし……うん。すごい集中力だなー……邪魔したら悪いよなー……。

 何もすることがないってのは、ぶっちゃけ暇だ。

 昨日あんなにうるさかった王子が、こんなに静かだとはな……。


◇◆◇◆◇


「おい、終わったぜ?」

「……ん? ああ、すみません、寝てたみたいです」

「おいおい、大丈夫か家庭教師」


 どうやら、居眠りしていたらしい。

 無意識に自分の周りにプリズン張ってるし。

 俺はプリズンを解除すると、王子の差し出した答案用紙を手に取り、答えを確認する。


「んで? 結果はどうなんだ?」


 王子がソワソワしながら、俺に聞いてくる。そんなに自信あったのか。

 非常に言いづらいが……人生の先輩(現在6歳+前世18歳=王子8歳より年上)として、ハッキリ言ってやろう。


「悪いですが、王子の頭脳は並以下です。算数も文字も、中途半端なところで止まっていて、世間では使い物になりません。これから王子のダメな所を、みっちり鍛えますから、覚悟していてください」

「は……はい」

「例えば、ここの足し算の問題、繰り上げができてません。他の問題ではできてますから、単純なミスでしょう。こういう小さなミスは、なるべく無くしてください」

「わ……わかったよ……」

「ならいいんですが。……剣術の時間になりますね。稽古場に急ぎましょうか」


 俺はそう言って、王子に急ぐように促すと、王子は木刀を持って勢いよく部屋を出る。

 さて……俺も行くか。


「テレポート」


 魔法だけどな☆


◇◆◇◆◇


「あー……クッソー。いつの間に……」


 俺に抜かされて、王子は異様に悔しがっている。なんかごめんな☆


「ふむ……直ぐに始める、準備しろ」

「は、はい」

「あはは、2人ともお疲れ様」

「……ガキ」


 ココちゃんが労いの言葉をかけてくれるが、ミルは相変わらずのツンツンな態度だ。

 2人とも冒険者! って感じの服装で、今にもダンジョンに挑みそうだ。

 ココは機動力を活かした軽装で、重要な部分を守るように必要最小限の金属が縫い付けられている。

 逆にミルは……魔法使いだなー。

 剣術……というよりは、戦闘指南だと考えた方がいいかもしれない。

 ツンデレ魔法使いとムードメーカーの剣士、絵になるなぁ。


 まあ、そんなことはさておき、俺たちは最初の授業をすることになった。


「……まずは、模擬戦をしてもらう。一対一(タイマン)形式で、勝負の勝ち負けは俺が判断する。

じゃあ……最初はミルとココだ。2人とも、稽古場の立ち位置に着いてくれ」


 ヴォールがそう言うと、2人は静かに稽古場に書いてある立ち位置に立ち、ヴォールはそれを見て「始めっ!!」と叫ぶ。


「容赦しないよ、ミル!!」

「ココこそ、油断しないで」


 ココは短く会話を終えると、短剣を持って突撃してくる。

 ミルは氷砲弾でココの動きを制限すると、さらに燃え上がる炎の輪を作る魔法、炎戒を使い、ミルの周囲を塞ぐ。

 

「もう終わりよ、ココ。天冥魔法〈白夜〉」


 ミルがそう唱えると、激しい業火球がココに向かって飛んでいった。


「そこまで!!」


 ヴォールが魔法を抑制し、ココ対ミルの模擬戦は終了した。


「ハァ〜……まさかここまで本気でやるとは……」


 ココがため息を吐きながらそう言うと、ミルはフン、とそっぽを向いてしまう。


「次は……王子とダリィだな。じゃあ、さっきと同じように立ち位置に着いてくれ。……では、始めっ!」

「ハアッ」


 王子は剣を横に振りながら俺に飛び込んでくるが、俺はそれを体をそらすだけで避け、2撃目を障壁で防ぐ。

 俺はそのまま氷の剣を出現させると、王子の3撃目の縦切りを氷の剣で受ける。

 その状態から氷の手裏剣をもう片方の手で作り出し、王子に投げつける。王子が手裏剣を交わす間に俺は王子の剣を弾き飛ばし、魔法障壁で囲む。


「またこれかよ!!」

「勝負ありだ!」


 王子が嘆く(ツッコむ?)と同時にヴォールが試合終了を宣言する。


「そうだな……ダリィ、俺と模擬戦だ」

「え?」

「着いて来い」


 俺たちは呆気にとられるまま、言われた通りに、城の近くの草原に移動した。


◇◆◇◆◇


「……で、なんで勝負ですか?」

「……理由が必要か?」

「いや、ないならいいですけど……」


 何だろう、この微妙な空気。

 ってか観客ギャラリー!!

 くすくす笑ってんじゃねぇ!!


「……行くぞ」

「ええ」


 俺とヴォールとの間に、無言の空気が流れる。

 ヴォールが一歩踏み出したその瞬間。

 太い声が、空気を震わせる。


「ゴァァァァァァァ!!!!」

「なんだと!? こんな時に、なぜ古代龍神(ケツァルコアトルス)が!?」


 ヴォールが驚くのもつかの間、ケツァルコアトルスの鋭く、太い爪が俺に向かって攻撃を仕掛ける。


 あのローブ、持って来ればよかった……


 そんなことを考えつつも、障壁を俺とケツァルコアトルスの足の間に出現させる……が、障壁はいとも簡単に崩れ去り、足は三本の指でガッシリと俺の胴を掴む。

 ……え? 連れ去られるパターン?


「ぐっ」

「ゴァァァ」


 ヴォールが高く跳躍し、ケツァルコアトルスの足に斬りかかるが、ヴォールはケツァルコアトルス軽く蹴られ、地面に叩きつけられる。

 ココが短剣を投げたり、ミルが氷砲弾をケツァルコアトルスに向けて撃つが、ケツァルコアトルスはそれを障壁魔法で防ぐ。

 王子は……腰を抜かしてる。アホだろ、王子様。


 まぁ……俺も頑張るから、王子も栄光を祈っているよ…….


 俺は、この状況に諦めを感じつつ、されるがままに連れ去られるのだった。

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