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夢見転生〜勇魔王よ、永久なれ〜  作者: 黄昏
勇者編ー第一章、目覚め編ー
8/27

第8話『エルガス宮殿』

遅れてしまってすいません!!

次回は日曜日の0時に更新できるよう頑張ります!

「ヴォールだ。王子の家庭教師を連れてきた」

「よかろう。入れ!!」


 ヴォールは城の玄関前で叫ぶと、二階のベランダから重鎮らしき人が大声で返す。

 すると、閉まっていた門が開き、城を囲うように流れる川に、橋が架けられる。

 そうだな……イメージとしては、ドラ○エ5の緑の王子の住む城だな。


 まあ、それはさておき、俺たちは城の玄関の前に停められた馬車から降り、橋を渡って城の謁見の間に向かった。


◇◆◇◆◇


「久しぶりじゃないか!!」


 ヴォールが二階の謁見の間につながる階段の前で、声をあげる。


「そうね……ヴォールもあいつに呼ばれてたのね」

「ああ、王子()を育てるという名目でな。一ヶ月前に城に到着して、兵士を鍛えたり物資の運搬、要人の護衛をしてた」

「アンタも物好きねぇ……ところで、やっぱりアイツらは来てないの?」

「ああ、あいつにも家庭があるからな。……そうだ、アイツの息子も一人もここに来てるぜ?」


 ヴォールは俺たちのことなんて、忘れたかのようにナイスボディのチャンネーと会話を弾ませるが、俺たちを手招きで呼び寄せる。


「こいつがキセルとアリアの息子のダリィだ。アリアの魔導の才能と、キセルの剣術を引き継いだ、頼もしい子だ」

「そう……あなた、成長したら色男になるわね」


 ヴォールが若干行きすぎた紹介をすると、チャンネーは黒いサングラス越しにこちらの顔をマジマジと見つめる。色男……? この人……痴女か?


「まあ、大人になるのを楽しみにしているわ」


 チャンネーはそう言うと、何やら名刺のような物を俺の足元に落とす。


「私の情報よ。何かあったら頼りなさい」

「は、はい」


 それだけ言い残すと、チャンネーはスタスタと立ち去っていった。


「なんなんだろ、あの人……」


 チャンネーが立ち去ると、ココが小さく言葉を漏らし、ミルは俺のことをギュッと掴んできた。


「……嫌な魔力……」


 俺とヴォールはミルとココが落ち着くまで少し待ち、2人が「大丈夫」と言ったので、謁見の間へと足を進めた。


◇◆◇◆◇


「ようこそ、我がエルガス城へ!!」


 豪華な装飾や立派な兵が華やかな謁見の間を形作る空間で、俺たちを盛大に向かい入れてくれたのは、この国の王、ハーファル王。


 見た感じは、とても良い王様だ。近くにいる女性も若い王妃様ただ一人だし、本人も爽やかなイケメンだ。

 夢見の記憶にも、この人はなに一つやましいことをしていない。争いも好まない性格のようだし、王の3人の息子に関しても、最初から王位継承で問題がないように取り決めているしな。

 ただ一つ問題なのは……寿命だ。

 この人は、あと6年もしたら死んでしまうだろう。

 二、三十歳で命を落とす、強力な運命によってそれはどの世界でも決められていた。


 俺はそんなこともあって複雑な気持ちになっていたが……そんなことは言ってられないな。


「先ずはヴォールさん、ご苦労様でした。そして……君たちがあの人の代理ですか」


「ええ、キセル・ロズワルドの息子の、ダリア・ロズワルドです。こちらはお…僕の友達の、ミルとココです。これから、よろしくお願いします」


「ああ、教えることに関しては、君たちに一任するよ。この宮殿の施設は、自由に使ってもらっても構わない。じゃあ、早速だけど簡単な説明をするよ。剣術に関しては、君たちも僕の息子たちと共に、ヴォールさんに教わる。ダリア君が僕の息子に教えるのは、数式、文字、そして魔法の3つ。

 この国の歴史と地理は、君たちも受けたいと思ったら、一緒に習ってくれてもいい。


 報酬として、金貨を500枚。さらには、この国に家を建て、安定した生活に、各種ギルドでのBランクの資格が与えられる。尚、冒険者ギルドに関しては適用されない」


 ……え? ちょっと待て、報酬とか聞いてないぞ?

 金銭とかはわからないからなんとも言えないが、家とギルドの資格はかなりデカいだろう。

 しかも、歴史と地理も受けられるんだろ?

 これ、生きていける……程度ではないな。

 国に対して、力を持つってことだ。


「何か、質問はあるかな?」

「ミルとココに関しては?」

「ミルちゃんとココちゃんにも、もちろん適用されるよ」


 なんで俺たちをここまで国に引き込みたがるんだ……?


「他に、質問は?」

「今は大丈夫です」

「そうかい、じゃあ、とりあえず顔合わせしてくれるかい? 授業は、明日から頑張ってくれ」

「はい」

「そうだ、息子に対しては、ある程度危害を加えても構わないよ」

「え……は、はい」


 俺は、少し驚きつつ、王の言葉を了承し、兵士についていくのだった。


◇◆◇◆◇


「つきました!」

「ありがとうございます」

「いえいえ、何かありましたら、何なりとお申し付けください」

「では、これからよろしくお願いします」


 俺は兵士にそれだけ告げると、扉をノックし、反応を待たずに開ける。


「……俺よりちっこいじゃん」


 王子兼俺の生徒の第一声はそれだった。


 年齢は俺より二つ上くらいで、王族用の豪華な衣装に身を包み、栗色の髪を後ろで適当に纏めている。

 背を木製の椅子にもたれかけ、ブランブランと揺れている。

 その目線の先は、俺からミル、ココへと流れていき、また俺の方を向く。

 俺と王子の距離は、約3メートルくらい。


「お前、俺より年齢低いんだから、俺の言うこと聞けよな!」

「嫌です」


 この回答は即答だった。

 まあ、こいつの言うことなんて最初から聞くつもりはなかったしな


「ナマイキだぞテメェ!!」


 王子はそう言うと、何処から取り出したのやらナイフを俺に向けて投げつける。

 やだこの子、なにコレ怖い。


カキンッ!!


 ナイフは俺に当たらずに空中で弾かれる。

 まあ、ナイフが遅かったからな。

 俺の魔法障壁で簡単に防げた。


「ズリィぞおい!!」


 王子はそう言うと、木刀で俺に殴りかかる。

 オイオイ……ホントあぶねぇな。


「剣筋がまだまだ甘いですね」


 俺は、そう呟き、障壁で木刀を防ぐ。


「なんで障壁貫通の魔力付与エンチャントがかかったのに防がれたんだ!?」


 いやいや、エンチャントがガサツすぎるだろう。

 これ絶対自分一人で勝手にやったべ?


「クッソ! 障壁なんてナシで戦え!」

「いいですよ?」


 王子は俺に対し、木刀を突き立てて突進してくる。

 俺はその木刀を半身でかわしーーー肘で王子の手の甲を打ち、そのまま背負い投げのように地面に叩きつける。


「これでもまだやります?」

「……チッ。どっかいけ!!」


 王子は舌打ちをすると、俺に対して威嚇するように大声でまくし立てる。

 俺は言われた通りに王子の部屋を出て、自分たちの部屋に戻った。


◇◆◇◆◇


「今がチャンスだな……!」


 時は、草木も眠る丑三つ時。俺は、なにやら気配を感じて魔力を練っていた。

 作るのは、対象を囲う障壁ーーー監獄プリズン


「覚悟!」


 王子は俺に対し、飛びかかるが、それは俺の障壁に阻止される。

 そのまま王子は障壁に囲まれる。


「おい! 俺は王子だぞ!? ここから出せ!!」


 知るか。俺は王からある程度認められているからな。


 俺は、障壁に防音魔法をかけ、ぐっすりと就寝するのであった。

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