第8話『エルガス宮殿』
遅れてしまってすいません!!
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「ヴォールだ。王子の家庭教師を連れてきた」
「よかろう。入れ!!」
ヴォールは城の玄関前で叫ぶと、二階のベランダから重鎮らしき人が大声で返す。
すると、閉まっていた門が開き、城を囲うように流れる川に、橋が架けられる。
そうだな……イメージとしては、ドラ○エ5の緑の王子の住む城だな。
まあ、それはさておき、俺たちは城の玄関の前に停められた馬車から降り、橋を渡って城の謁見の間に向かった。
◇◆◇◆◇
「久しぶりじゃないか!!」
ヴォールが二階の謁見の間につながる階段の前で、声をあげる。
「そうね……ヴォールもあいつに呼ばれてたのね」
「ああ、王子達を育てるという名目でな。一ヶ月前に城に到着して、兵士を鍛えたり物資の運搬、要人の護衛をしてた」
「アンタも物好きねぇ……ところで、やっぱりアイツらは来てないの?」
「ああ、あいつにも家庭があるからな。……そうだ、アイツの息子も一人もここに来てるぜ?」
ヴォールは俺たちのことなんて、忘れたかのようにナイスボディのチャンネーと会話を弾ませるが、俺たちを手招きで呼び寄せる。
「こいつがキセルとアリアの息子のダリィだ。アリアの魔導の才能と、キセルの剣術を引き継いだ、頼もしい子だ」
「そう……あなた、成長したら色男になるわね」
ヴォールが若干行きすぎた紹介をすると、チャンネーは黒いサングラス越しにこちらの顔をマジマジと見つめる。色男……? この人……痴女か?
「まあ、大人になるのを楽しみにしているわ」
チャンネーはそう言うと、何やら名刺のような物を俺の足元に落とす。
「私の情報よ。何かあったら頼りなさい」
「は、はい」
それだけ言い残すと、チャンネーはスタスタと立ち去っていった。
「なんなんだろ、あの人……」
チャンネーが立ち去ると、ココが小さく言葉を漏らし、ミルは俺のことをギュッと掴んできた。
「……嫌な魔力……」
俺とヴォールはミルとココが落ち着くまで少し待ち、2人が「大丈夫」と言ったので、謁見の間へと足を進めた。
◇◆◇◆◇
「ようこそ、我がエルガス城へ!!」
豪華な装飾や立派な兵が華やかな謁見の間を形作る空間で、俺たちを盛大に向かい入れてくれたのは、この国の王、ハーファル王。
見た感じは、とても良い王様だ。近くにいる女性も若い王妃様ただ一人だし、本人も爽やかなイケメンだ。
夢見の記憶にも、この人はなに一つやましいことをしていない。争いも好まない性格のようだし、王の3人の息子に関しても、最初から王位継承で問題がないように取り決めているしな。
ただ一つ問題なのは……寿命だ。
この人は、あと6年もしたら死んでしまうだろう。
二、三十歳で命を落とす、強力な運命によってそれはどの世界でも決められていた。
俺はそんなこともあって複雑な気持ちになっていたが……そんなことは言ってられないな。
「先ずはヴォールさん、ご苦労様でした。そして……君たちがあの人の代理ですか」
「ええ、キセル・ロズワルドの息子の、ダリア・ロズワルドです。こちらはお…僕の友達の、ミルとココです。これから、よろしくお願いします」
「ああ、教えることに関しては、君たちに一任するよ。この宮殿の施設は、自由に使ってもらっても構わない。じゃあ、早速だけど簡単な説明をするよ。剣術に関しては、君たちも僕の息子たちと共に、ヴォールさんに教わる。ダリア君が僕の息子に教えるのは、数式、文字、そして魔法の3つ。
この国の歴史と地理は、君たちも受けたいと思ったら、一緒に習ってくれてもいい。
報酬として、金貨を500枚。さらには、この国に家を建て、安定した生活に、各種ギルドでのBランクの資格が与えられる。尚、冒険者ギルドに関しては適用されない」
……え? ちょっと待て、報酬とか聞いてないぞ?
金銭とかはわからないからなんとも言えないが、家とギルドの資格はかなりデカいだろう。
しかも、歴史と地理も受けられるんだろ?
これ、生きていける……程度ではないな。
国に対して、力を持つってことだ。
「何か、質問はあるかな?」
「ミルとココに関しては?」
「ミルちゃんとココちゃんにも、もちろん適用されるよ」
なんで俺たちをここまで国に引き込みたがるんだ……?
「他に、質問は?」
「今は大丈夫です」
「そうかい、じゃあ、とりあえず顔合わせしてくれるかい? 授業は、明日から頑張ってくれ」
「はい」
「そうだ、息子に対しては、ある程度危害を加えても構わないよ」
「え……は、はい」
俺は、少し驚きつつ、王の言葉を了承し、兵士についていくのだった。
◇◆◇◆◇
「つきました!」
「ありがとうございます」
「いえいえ、何かありましたら、何なりとお申し付けください」
「では、これからよろしくお願いします」
俺は兵士にそれだけ告げると、扉をノックし、反応を待たずに開ける。
「……俺よりちっこいじゃん」
王子兼俺の生徒の第一声はそれだった。
年齢は俺より二つ上くらいで、王族用の豪華な衣装に身を包み、栗色の髪を後ろで適当に纏めている。
背を木製の椅子にもたれかけ、ブランブランと揺れている。
その目線の先は、俺からミル、ココへと流れていき、また俺の方を向く。
俺と王子の距離は、約3メートルくらい。
「お前、俺より年齢低いんだから、俺の言うこと聞けよな!」
「嫌です」
この回答は即答だった。
まあ、こいつの言うことなんて最初から聞くつもりはなかったしな
「ナマイキだぞテメェ!!」
王子はそう言うと、何処から取り出したのやらナイフを俺に向けて投げつける。
やだこの子、なにコレ怖い。
カキンッ!!
ナイフは俺に当たらずに空中で弾かれる。
まあ、ナイフが遅かったからな。
俺の魔法障壁で簡単に防げた。
「ズリィぞおい!!」
王子はそう言うと、木刀で俺に殴りかかる。
オイオイ……ホントあぶねぇな。
「剣筋がまだまだ甘いですね」
俺は、そう呟き、障壁で木刀を防ぐ。
「なんで障壁貫通の魔力付与がかかったのに防がれたんだ!?」
いやいや、エンチャントがガサツすぎるだろう。
これ絶対自分一人で勝手にやったべ?
「クッソ! 障壁なんてナシで戦え!」
「いいですよ?」
王子は俺に対し、木刀を突き立てて突進してくる。
俺はその木刀を半身でかわしーーー肘で王子の手の甲を打ち、そのまま背負い投げのように地面に叩きつける。
「これでもまだやります?」
「……チッ。どっかいけ!!」
王子は舌打ちをすると、俺に対して威嚇するように大声でまくし立てる。
俺は言われた通りに王子の部屋を出て、自分たちの部屋に戻った。
◇◆◇◆◇
「今がチャンスだな……!」
時は、草木も眠る丑三つ時。俺は、なにやら気配を感じて魔力を練っていた。
作るのは、対象を囲う障壁ーーー監獄。
「覚悟!」
王子は俺に対し、飛びかかるが、それは俺の障壁に阻止される。
そのまま王子は障壁に囲まれる。
「おい! 俺は王子だぞ!? ここから出せ!!」
知るか。俺は王からある程度認められているからな。
俺は、障壁に防音魔法をかけ、ぐっすりと就寝するのであった。




