第10話『後処理』
今回は少なめなのと、日常的な話になっています。
「おーおー、 イザナミ様にはやっぱり敵わなかったか」
私がそう言うと、ツクヨミが短く「情けない」と、呟く。
「ウ……」
この王国で内乱を起こすなんてこと、私たち……宗教の崇めるべき対象からしたら、どうってことない。
転移魔法でやってきた魔王国軍には状況を説明し、既にアシュラ帝国側は籠城戦に持ち込んでいる。
指揮官のカフルと、ヨグ、あとはギルラとかいう魔族たちは相当なやり手だし、なんとかなるだろう。
◇◆◇◆◇
「なぜだ! なぜ同盟国から援軍が来ないのだ!」
私は、王の間と呼ばれる他国との魔法通信室で嘆いていた。
すると、画面付きの魔法通信機の内の一機が稼働し、同盟国の王が柔らかな態度で、それでいて鋭利な回答を私に押しつける。
『あのねぇ……クラウド・アシュラ・フレア様? アシュラ帝国は、もう古いんですよ。昔の義理であなた方と貿易しているが、あんたらとの貿易は我々にとって損しかない。魔王も何度か代替わりしていると聞くし、それに援軍を送ってみてもはぐれの竜がいるらしいですし。そんな危険な真似を兵士にさせてまで、あなた方を助けるなんてことはできません。あなた方が攻めている軍もしばらく戻らないのでしょう? それでは、サヨナラ。安らかな眠りを』
はぐれ竜……だと!? そんな状況、初めて聞いたぞ!?
私が驚くのも束の間、魔法通信機はプツリッと電源が切れる。
「クソ……何が安らかな眠りだ……ふざけるな……ふざけるなぁぁぁあああ!!!!」
「アシュラ様! 敵兵がこの城になだれ込んできます! 避難を!!」
私は扉を開けた兵士の言葉に従い、城の緊急避難地下通路から、国外に通じる転移門を通り、辺境の国に逃げた。
◇◆◇◆◇
やあ、どうも。俺だ。魔王だ。
さて……あの後のことを話すとしよう。
俺が創り出したはぐれ竜によって、アシュラ帝国の内乱に対する援軍は断ち切られることになった。
また、アシュラ帝国国軍は勇者が負けたことを知り、降伏してきた。
さらに新アシュラ帝国内ではツクヨミとアマテラスが上手くやってくれたらしく、全人種の平等と、魔王国との交易をすることになった。
唯一の不安材料は、旧アシュラ帝国の国王、クラウド・アシュラ・フレアについてだ。
現在はどこら辺にいるのか、消息がまったく掴めない状況だが……まあ、なんとかなるだろう。
現在はハルム君を筆頭とした、書記官や幹部などによる書類の一斉整理が行われている。
「こちら側の被害総数、ゼロ。魔王様、この数字は非常に素晴らしいですぞ!」
書類関係の仕事の責任者であるナルルクという書記官が、俺に喜ばしい顔で話しかける。
全部俺のおかげなんて言うつもりはない。いいから仕事しろ。
「輸入品のリストは、こちらで合ってますかな?」
「んー……大体OK。ただ、この芋とかそういう系は、十分国内にもあるし、要らないかな」
「了解しました」
西の荒地の開拓を進めるべく、現在は植物の輸入を行っている所だ。
「魔王様、オルポー王国より、手紙が帰ってきました!」
「よし、開こう」
内容は、まあ簡単に言えば、是非とも行いたい、という物だった。
「よし、皆! 書類が少し増えたけど、まあ頑張って進めてくれ!」
書記官達が、えー……と、ゲンナリした顔でこちらを見つめる。
「ほら! ナイーブになっている暇ないよ! 書記官増やしてあげるから!」
俺がそういうと、全員の瞳に微かな光が灯る。
魔法で書記官たちの複製を作り、それぞれに仕事を就かせる。
……そうだな、魔王サービスでもしてやるか。
◇◆◇◆◇
材料は食パンを1枚×人数分、レタスにマヨネーズ(どちらも似た食材)、マトナカ肉の生ハム。
パンをまず、半分に切り、そこに他の食材を重ね、マヨネーズをぶっかけます。完成です。お好みでチーズをどうぞ。
さらにもう一品。
材料は食パン1枚×人数分、食パンに塗るたっぷりのバター、さらに白砂糖。
まず、パンにたっぷりバターを塗り、そこに均等になるように砂糖をまぶします。
炙ります。完成です。
これらのトーストやサンドイッチを大皿に盛り付け、完成です。
あ、ちなみに食材や皿は全部創造魔法で創り、それを念力のような魔法で一斉に作りました。
創造魔法と念力、便利ですねぇ。
さりげなく作ってるけど、この世界にはサンドウィッチやトースト(というか食パン自体)がないことは確認済みだ。この世界じゃ食パンマンの活躍はありえないな。
◇◆◇◆◇
「おーい、皆〜! 差し入れだ!」
「ウオオ!」
「魔王様が作られたので?」
「ああ。あ、その二枚組のパンは分けないで同時に食うんだ」
「ほう……なんとも珍妙な物ですな」
幹部の1人がパンを片手に、書類仕事を再開すると、皆が同じように、書類仕事を始めた。
「よしよし、この調子で進めてくれよ」
俺はそう言って、中身のない皿を空間魔法で亜空間にしまいこみ、書類処理室を後にした。
◇◆◇◆◇
「さあ、デュランダル、戦闘訓練をするんだろ?」
『ああ、モチロン! それじゃあ、実体化するから、組手するぜ!』
デュランダルはそう言って、そこら辺に落ちていた藁人形に、魂を憑依させる。お前はワ○ピのバジルか! っというツッコミを飲み込み、今日もデュランダルに散々虐められるのだった。
『そこ! 受けが甘いんだよ!』
「ギャアアアアアアア」
これで、今回の魔王編は終了です。




