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夢見転生〜勇魔王よ、永久なれ〜  作者: 黄昏
魔王編ー第一章、目覚め編ー
16/27

第6話『夢に生きすぎた魔王』

今回、前半は鬱っぽくない鬱展開、後半は政治始まります。

 俺は気づけば、そいつを魔大陸一の危険な森に捨てていた。


「……アシュラ帝国を敵に回す気か!? 放せ! 悪魔モドキが!」


 事の発端は1分前、俺がのんきにエラウスの町の付近を散歩していた時だった。


「ほう? その悪魔モドキに負けた貴様は何モドキだろうな?」


 偶然……そう、偶然だ。

 四人の……敢えて形容するなら勇者のハーレムパーティが、首が半分切れ、腕の切り落とされた魔族に対し、火のついた棒で殴ったり、蹴りつけたりとヒドい仕打ちをしていた。


 「何をしている?」と声をかけた時にはもう遅く、その魔族は胸の心臓(コア)を貫かれ、死んでいた。

 魔族は、胸にあるコアと呼ばれる臓器を破壊されると、魔力が足りなくなって死んでしまう。


「別に? 悪魔退治……だけど? あ、君も僕の仲間になる? それとも死ぬ?」


 このパーティのリーダーであろう唯一の男が、俺に剣を突きつけながら聞いた。

 俺は剣を魔法で折って、男の首を掴んでいたってわけだ。


「……放せよ、悪魔モドキが」

「……モドキかどうか、試してみるか?」

「撃て!」


 俺が男の首を掴んだまま話していると、男は叫び、それを合図に他のメンバー達が俺に銃で撃ってくる。

 受けた銃弾……十六発。ダメージ、ゼロか。くだらない。


 俺は男を放り投げ、女共の首を折っていく。


「「キャアァ!」」

「メルファ! シエル!」


 ……なんだあの奥の女、俺を撃ってないな……?


「貴様……! 貴様、よくも俺の仲間に!」


 仲間か……あれが? ただのいいなりの脳無しじゃなくて?


「仲間……ねぇ。そうには見えなかったが……」

「それ以上喋るなァ!!」


 男はそう言うと、大剣……いや、あれは……聖剣エクスカリバー!?

 なんでこの程度の雑魚が持ってんの!?

 いや……魂剣は自分の意思で主を選ぶけど、無理矢理繋がれているとかか?


「聖剣か、貴様には似合わん。聖剣も貴様に使われるのは苦しかろう。我が解放してやる」


 俺は男の0ダメージ攻撃を無視して、詠唱を開始する。契約を解除する魔法だけは無詠唱で行えないんだよなぁ……


「我、天に反する者、冥月の理を読み解き、地脈の力を解放し、かの剣に抗う力与えん。

特殊魔法『契約解除』」


 俺が詠唱を終わらせると、男によって俺に斬りつけられていた剣が、突如動きを止め、光となって消えて行った。


「何が……何が起こってるんだ!? くそ……くそくそくそくそ! 貴様、何をしたァ!」

「……貴様こそ、聖剣に何をしていたのかは知らないが、あの程度の契約でいい気になるな」


 俺は殴ってくる男の拳を掌拳で受け止め、蹴りを入れる。

 そこからはもう、一方的な作業だった。

 最後に転移魔法を使おうとした時は呆れたがな。

 結局男は白竜と呼ばれるドラゴンの住処である、巨大な森の真ん中に、あの奥にいた奴以外の女共の屍体と共に放り込んでやったが。

 途中で男が「アシュラ帝国が許さないぞ」とか言ってたが、その時は関係ない。アルドット魔界国全勢力をもって、アシュラ帝国と全面戦争だ。


 ……そういや、なんでこんな虐殺事件起こしたんだっけ……ああ、あああ! あの男だ! ど、どうしよ……


◇◆◇◆◇


「……」


 結局、ダメだった。

 魔族は、コア以外の臓器なら魔力でなんとかなるが、コアだけはどうにもならない。


「……私なら、その人、助けられる」


 突然奥にいた女が、俺に喋りかけた。


「その代わり、私は死んじゃうけど……」


 ……は? 何を言っているんだ?


「……何を言っているのかよくわからないって顔してる……。私は魂の輪廻を司る神、生命神(ライフゴッド)


 ……ライフゴッド? そりゃまた大層な名前がついたな。


「私の権限を駆使すれば……人を無限に生み出すこともできる」


 ……なるほど、その能力の一つが生命蘇生か。ただ、どの権限を行使するにしても、代償が必要なわけか。だが……命の交換ってのは、あまりにも重すぎるな。


「人のために死のうとするな。これが、この男の運命だ。あんな経験をした後では、その後の人生など……生き地獄だ」


 ああ、ダメだ。思い出すな、あんな醜悪な時間など、全て消えてしまえ。

 あの事を知っている人間なんて、この世界にはもう誰もいないんだ。


「……山田 (とおる)


 突然呼ばれたその名前に、俺はビクッと肩を揺らす。


「奴は強奪の能力を所持する、アシュラ帝国の勇者。その能力で聖剣との契約を強奪していた……」


 くそ……まさかこの神……「あのこと」を知っているのか……?


「それ以上のことは、よく知らない……。でも、君……真魔王も注意しておいた方がいい……。アシュラ帝国はイエスト王国、アラ神国と同盟を結んでる。イエスト王国には真勇者もいる……」


 真勇者……俺と対になり、世界をまるごと変える為に俺と共に歩む勇者だったが……世界を変えるってのは今の権力者達にとって邪魔なわけか。だからこそ俺を勇者とぶつけて、勇者と俺の共倒れを狙って伝承を知らせず、無駄な戦いを行わせるわけだ。


「 ……今は一回城に帰った方がいい。ついて行っても……いい……?」

「ああ、是非そうしてくれ。……とりあえず、この男は供養しておこう」


 俺は、エラウスの街に戻り、聖職者に男を渡した。


「了解いたしました、この体の主も冥獄にて喜んでいることでしょう」

「じゃあ……な。救えなくて悪かった」

「いえいえ、とんでもない。この体の主の知り合いには、私から伝えておきましょう」

「そうか、助かる」


 俺たちはそう言って、教会を後にする。


「転移・アルドット王国中央部、『魔城オール』」


 俺は転移魔法を唱え、対象に俺と女を選択する。

 その途端、光が俺たちを包み、魔城オールへと移動した。


◇◆◇◆◇


「おかえりなさいませ、魔王様。心配しましたよ?」


 ハルム君が一番に俺たちを迎え入れてくれた。


「そちらは?」

「私か? ……神だ」

「説明、雑っ! 生命神だ。成り行きで城におくことになったから、部屋の手配を頼む。 ……ああ、それから、早急に『魔王政府外交部』を設立し、外交官を用意してくれ。」


「外交部……ですか?」


「ああ、これより我が国は開国し、オルポー王国と貿易を行いたいと思う。」

「なぜ急に?」

「手遅れだから……だな。鎖国していると、色々足りなくなってくるんだ。今度大規模な土壌整備を行うが、今はそれはまだいいだろう。とりあえず今は、オルポー王国に手紙を出す。


 内容は『魔王国の開国』と、『貿易を行いたい』という二つで、人の移動は基本的には無し。代表の立会いの下、商品を交換する。

 金銭関連は万国共通だから問題ないよな?」

「ええ、金剛金貨を最高額に、全て金銭の価値は万国共通のハズです」

「よし、今言ったことを早急に手配してくれ。大変だろうが、期待しているよ」


 俺はハルム君に指示を出し、ハルム君がいなくなったのを確認すると、生命神を客間に案内して、転移魔法を唱える。

 理由はさっきもポロッと言ったが、土壌整備だ。


「転移・エラウス」


 俺を白い光が包み、俺はエラウスに転移した。

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