第4話『魔王の魔力』
お久しぶりです。遅れてゴメンよ!
「じゃあ、絶対に育てきってくださいね!」
ハルム君が、呆れとも、怒りともとれる声で俺に怒鳴る。
「ご、ごめんなさいいいい」
「殺ってもいいんですね」
俺の回答に、ハルム君は手元に光と闇を合わせ持つ混沌属性の魔法弾を形成する。
「せめて一瞬で、安らかに眠れ」
「待って! ホントごめんって!! ちゃんと育てるから!!」
俺の説得に、ハルム君は魔法弾を握りつぶすと、エネルギーとして霧散していく魔力を皮膚から体の中に取り込む。
「なあ、このコボルト、どういう風に進化したんだ?」
族長が、不思議そうに聞いてくる。
「ああ、今回の進化は『ムアサドー』という種類のコボルト系魔獣に進化したんだ」
元の世界では、イギリスに伝わる伝説の生き物だな。
伝説のように、黒い体と赤い目を持っている。
この世界では北の国々の居住区に住み、貴族や王族を狙って襲う性質があるらしい。
なんでも、襲った相手を気に入ればその命すらも盾にして守りぬくんだとか。
「ステータスの強化としては、素早さと攻撃力の上昇。あとは闇魔法を少し操れるとか」
「バウ!」
ムアサドーは一声吠えると、コボルトの群れが逃げ出す。ちょっとの戦闘で戦闘力が他のコボルトに差をつけるまで経験値が手に入るとは、驚きだ。
流石はS級ドラゴン×3、戦闘能力も経験値も異常値だ。
「レベルも大分上昇したんじゃないか?」
試しに、俺は自分のステータスを視界の端にある、メニューから確認する。
まあ、この体は元々戦闘力は、ハルム君と比べて異常値だって言われてたし、あんまり変わらないか……と思っていた。
ええ、そうです。
俺の戦闘力、特殊だったらしいです。
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名前 ララ=ミリュシュ=サタン
Lv 72
職業 真魔王
適性 全基本属性、電、氷、天、地、破、気、王
HP 950000
MP 100000
SP 30000
筋力 3000000
瞬発力 3000000
魔力 90000000
防御力 5000000
思考力 80000
OT 5000
運 5000
技術
『魔法付与』、『書物閲覧』、『天地創造』、『状況把握』、『地域管理』、『翔龍天武』、『戦羅竜戒』、『縛』、『獣化』、『人化』、『神格化』、『盗術』、『懐柔』、槍術、剣術、弓術、棒術、糸術、爪術、扇術、覇王、剛戦王、その他戦闘スキル、魔王の魔法耐性→全属性耐性〈界〉、魔王の攻撃耐性→切断、打撃耐性〈界〉、魔王の援護→全ステータス上昇〈界〉
所得魔法
基礎属性〈下〉→〈界〉級魔法、電、氷、天、地、破、気、王、各魔法〈下〉→〈界〉級、空間魔法、陰陽魔法、呪術、魔力操作、障壁魔法
戦歴(最新の物を10件表示)
テイミングしたコボルトの進化→コボルトはムアサドーに進化した!
ルトのレベル1→45→ルトは進化条件達成!
S級ドラゴン×3討伐→30000経験値を手に入れた→42→神ノ選定により経験値+42000→レベル72
神ノ選定→運上昇、経験値上昇、全素質界級、ステータス制限解除
真魔王覚醒→レベル初期化、戦闘能力上昇、職業真魔王、技術&魔法引き継ぎ
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うん。なんだろうこのおびただしい魔法とスキル。
スキルも、必要以上に習得している。
職業とかは人によるらしいが……まあ、今の状況とかが関係しているそうだ。
ムアサドーも攻撃力、素早さは異常値だ。
……なんて、解説していた、その時だった。
「……やあ、久しぶりだね、真魔王」
「……ここまで追ってきたのか」
「もちろん、ボクは諦めの悪い性格なんだ」
俺の眼の前に、突然アリスが現れた。
「グルルルルルル」
「魔王様、お逃げください!」
「貴様、誰だ! 名を名乗れ!」
『オイ、魔王、コイツはヤバい。逃げろ』
アリスに対して、俺以外の3人は警戒態勢をとる。
「いやはや、やっぱりひどいなぁ……」
アリスはそう言って、斬りかかる族長の剣を魔法で防ぎ、ハルムの魔法を妨害する。
ルトの闇魔法による拘束を弾き、デュランダルの動きを魔法で拘束する。
「魔剣デュランダル、エクスカリバーやマサムネとの決着はついてないだろう? 邪魔しないでくれると嬉しいな」
アリスの目から放たれた眼光は、この場にいる俺以外を威圧する。
「……さて、真魔王、ダンジョンについての話だけど、どうする? 君が了解するまで……」
アリスは俺と二人きりの空間を作ると、そこに人間の幻影を作り出す。
「この場からは逃がさないよ」
アリスはそう言うと、手に剣を出現させ、幻影に容赦なく突き刺す。
「ギャアア!!」
……え? これ、マボロシ……だよな?
「今のはちょっとした生贄だね。君が協力してくれないっていうなら、犠牲者はどんどん増えていくだろうね。さあ、どうする? すでに君のココロは、偏っていると思うけど」
くっそ! なんなんだ! 人が死なないように、俺がダンジョンマスターになればいい……ただ、それだけのことだ。
なのに、なのに! 俺の口は、動かない。どこかで俺の動きが止められているみたいに、ダンジョンマスターなんてめんどくさいことだぞ、と悪魔の囁きによって口は動かない。
「次の犠牲者だ……」
アリスはそう言うと、2人目のマボロシに剣で切りつける。
「タス……ケ……」
2人目は、呆気にとられながらストンと崩れ落ちた。
やめろよ……やめてくれよ……
「真魔王、ダンジョンマスターになる気はまだないのかい? ……じゃあ、次からは君の近くにいた人を殺していこうか」
アリスは俺の前世の母親のマボロシを出現させ、剣をズプリと刺していく。
「マサ……ヤ……」
俺の母親のマボロシは、前世の俺の名を呟き、俺に向かって手を伸ばしながら……死んだ。
……なんなんだよ。俺が何をしたっていうんだよ。神ならなんだって殺していいのか? 違うだろ。
おい、どうなんだよ……どうなんだ、アリス!!
「っざけんなァァ!!」
俺はアリスに向けて、基本属性の塊、終滅魔法を解き放つ。
「さすが、真魔王。その戦闘力は並大抵の物じゃないね」
◇◆◇◆◇
アリスはそう言うと、終滅魔法を障壁魔法で抑え込む……が、終滅魔法が押している。
「ッ!? なんて戦闘力……! 悪いけど、本気を出させてもらうよ」
アリスは人形を投げると、人形はそのまま糸を引いてララに巻きつき、アリスは『天道の黒弓』に魔力を込めて引き……人形に拘束されたララに向けて放つ。
……直後、大爆発が起こり、アリスの創り出した空間が崩壊する。
「なんて魔力……! 神の弓矢に対抗するなんて……!」
相変わらず人形は解けないが、とりあえずアリスのスキルに相殺して防ぐことはできた。
「悪いが、俺はお前らの思い通りになるつもりはない!」
俺はそう言うと、魔剣〈クロノス〉を空間魔法で取り出し、アリスに斬りつける。
アリスは指を鳴らすと、炎戒が俺を取り囲み、巨大な竜巻となって俺を燃やしながら成長し……大爆発が起こる。
「あっぶないなぁ……今日の所は、退散するよ。君は、絶対に逃がすつもりはないよ」
アリスはそう言うと、転移魔法でどこかに消えた。
……アリス、やっぱり恐ろしいな……




