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夢見転生〜勇魔王よ、永久なれ〜  作者: 黄昏
魔王編ー第一章、目覚め編ー
12/27

第2話『若き魔族の長』

今回、茶番入ります。

「ふぁあーーぁぁ。疲れたー」

「お疲れ様です、魔王様。」


 俺がベッドにぐったりと倒れ込んでいると、羊さんが労いの言葉をかけてくれる。


「そういえばさ、あの男って、どうなった?」

「あの男……と申しますと、最初の襲撃犯ですか?」

「うん」

「現在、地下牢獄にて投獄されているはずですが……?」


 地下牢獄だな。色んな場所から集まった、謁見の人ラッシュの空き時間中に場所は確認しておいた。


「んじゃ、ちょっと会ってくる」


 俺がそう言うと、羊さんは引き止めるわけでもなく、苦笑いをして


「お供しましょう」


 と言ってついてきてくれた。

 やっぱ羊さん、すごい良い人だよなぁ。

 俺に同性愛の趣味はないし、もちろん恋愛対象外だが。


「魔王様、一つ注意事項が」

「んー? なに?」

「地下牢獄では私とあの男以外の投獄者には、決して話しかけないでください」

「ほうほう」

「特に、最奥にて拘束している魔人『ネクロマンサー』は極めて危険な男です」


 死者を操る悪魔(ネクロマンサー)ねぇ……確かに危険そうだよな。

 話しかけるのも危ないってことは、何か死者以外にも操れるのかもしれない。


「了解」

「着きましたね」


 俺と羊さんは、石でできた大きな扉の前に立っていた。


「入りましょう」


 羊さんがそう言って、扉に手を当てる……すると、扉はバラバラのブロックになり、石の階段を形成する。


「精霊魔法〈光妖精ライトフェアリー〉」


 真っ暗で何も見えない階段を、羊さんが魔法で明るく照らす。


「おー、明るいねぇ」

「アハハ……やっぱり、魔王様」

「ん?」


「貴方は、どちら様です?」


 その瞬間、楽しかった雰囲気が、一瞬で殺気に変わった。

 羊さんと俺との間には、ピリピリとした空気が流れる。

 その空気を壊さない声量で、羊さんは話を始めた。


「私たち、魔王に仕えるラヴァ一族と歴代の魔王にのみ、代々受け継がれる話があります。それは……『魔王が永き眠りから目覚める刻、魔王の魂は此の世に再臨す。しかし、此の世に勇者が生まれし刻、異界より新たな二人の王、生まれん。その王の一人、一度ひとたび剣を奮えば、全ての者、薙ぎ払われん。その王の一人、一度物を想えば、全ての知、つかさどらん』……あなたは、どっちです?」


 この詩は……覚えがあるな。確か、俺の故郷で村の子供たちに爺さん婆さんが読み聞かせてたっけ。

 確か……問答になってて、聞かれたら答えなきゃいけなかったんだ。

 あの爺さん達がここまでキレイにそのまま残してたのは……驚いたけど。


「奇遇だな。俺もその詩、昔故郷で聞かされたよ。『我、異界より参らん、真の勇者に呼応する者なり。勇者が生まれし刻、悠久の眠りより目覚め、知力の全てを熾天に捧げん。我、真の王となり、真の勇者と共に歩まん』」


 多分、これで合っているはず。確信はないけど……


「流石、あなたが真の王でしたか。であれば、問題ないですね」


 ……何が?


「申し訳ありません、我が主君『ララ・ミリュシュ』改め、『ララ・ミリュシュ・サタン』様。我が名は熾天の位を受け継ぎし魔族、『アルドット・ラヴァ・ハルム』と申します。以後、お見知り置きを」


「あ、うん。わかった。ところでさ、さっきの怖い雰囲気ってどうしたの?」

「あれですか? あれは取り決められた物の一つです。相手の魔王を確認する時、雰囲気や状況をなるべく静かにすべしと、議会で取り決めが行われました。そうですね……この力をあなたに差し上げます」


 羊さん改め、ハルムくんが手に光の塊を出現させながらそう言うと、その光は俺の周囲を回るように回転して……弾け飛んだ。


「今のは、人の記憶を精霊に託す精霊魔法の一種です。記憶精霊と呼ばれる物で、これは主に魔法使いの記憶の引き継ぎなどに使われる魔法です。あ、術者に影響はないのでご安心を」


 なるほど……なんかすごいな。

 ハルムくんがなんでも出来すぎて……自分が情けない。


「魔王様、情けないとか考えないでください」

「え、なに? 頭の中読めんの!?」

「それがラヴァ一族の特殊技能ユニークスキルですから」


 oh……妙に恐ろしいスキルでてきたな。


「では魔王様、先を急ぎましょう」

「ああ、もちろん」


 俺たちは、ハルムくんに聞かれる前のような状況で再び歩みを進めた。

◇◆◇◆◇


「おい、起きろ」

「ああ? 何の用だよ」

「ちょっと聞きたいことがある。前置きはなしで行くが……お前、何処の村の出身だ」

「……アリュシアだ」

「なるほど……前回の魔導事故の被害を受けた村か」

「ああ……わかったら帰ってくれ」


 どんだけコイツ、人のことが嫌いなんだ!?

 ……まあ、いいけどさ。

 ステータス閲覧のスキルで確認したら、コイツ、アリュシアに住む魔族の族長だし。


「ハルム、すぐにアリュシアの難民の援助を。それから、アリュシアの再建、コイツは釈放でいい」

「かしこまりました。すぐに手配を」

「え……」

「これで満足か? アリュシアのカラフ族、族長『カラフ・レッド・アリュシア』」


 ふー……とりあえず、南部の発展はアリュシアを基点にやっていくか。

 昔から南部と中央部を結ぶ交易の町として知られている場所だし、反対する者には割と簡単に説得できる……と思う。

 南部の方は魔力が不安定で荒れているって話だったが、俺の魔法でどうにかできるだろう。

 それに、記憶だけじゃわからないことも多い。


「よし、それじゃあ俺は行くから」


 俺はハルムたちにそう伝えると、転移魔法で自室へと戻った。


◇◆◇◆◇


「いやぁ……素晴らしい判断だったね」

「誰だ!!」


 俺が自室に戻ると、そこには1人の女がいた。

 魔族……ではないな。

 だが、人間でもない。


「そんなにピリピリしないでよ、ボクの名前はアリス。不思議の国へと誘う役目を担う、神の1人」


 不思議の国? なんだそりゃ


「悪いんだけど、君にはダンジョンを作ってほしい……ダンジョンマスターの権限を君に譲りたい」


 は? ダンジョン?


「とりあえず、ついてきてよ」

「嫌だ」

「……え?」


 俺が拒否すると、アリスは冷や汗を流す。


「だって不審者にはついていくなってははおや(最強神)に教わったもん」

「いやそれ神様じゃないよね!? どう見たってお母さんだよね!?」

「母親で最高神だっているだろ」

「まさかのヘラ様!? いやそれ嘘つきまくりでしょ!?」

「嘘じゃなぁいよ」

「メー○ー出すんじゃねぇよ!! ピ○サー出すな! ファンタジーの超大手にはかなわないから!!

ってか、そのネタわかりづらいよ!!」

「おいこの人大丈夫か」

「お前がな!? と……とりあえず、一緒に、来て、もらおう」

「息切れてるぞ、大丈夫?」

「お前のせいだよ!!」

「運動不足だろ、自業自得ってやつだ」

「なんでだ!! この会話何行続けるつもり!?」

「どうも、ありがとうございやしたー」

「漫才じゃねぇし!! 終わんねぇから!!」


 ……。すごかったな……うん。

 俺の思考が入る隙がなかった。

 なんて……なんて怒涛のツッコミラッシュだ…….。


「なに『恐れ入った』って顔してんの!? 感動してる暇ないの!!」

「魔王様ー、大丈夫ですかー?」

「チッ! また来るから、それまでに考えとけ!!」


 よし、作戦成功。

 ……アリスには気の毒だけどなw

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