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夢見転生〜勇魔王よ、永久なれ〜  作者: 黄昏
魔王編ー第一章、目覚め編ー
11/27

プロローグーー魔王目覚めましたーー

今回は別主人公!

ただしちょっと短い!

こういうタイプの転生モノ、難しい!

 刻は夕暮れ、秋晴れの快晴に、心地よい風が吹いた。

 俺の愛する人と共に、流れる川を眺められる土手を歩いている、その時だった。


「ドケッ!!」


 「ドンッ」という衝撃と共に、2人で歩く俺たちの間を、黒いヘルメットの男が割り込み、駆け抜ける。


「誰か、その男を捕まえて〜〜!!」


 後ろで偉そうな婦人が、その男を指差しながら叫ぶ。

 俺はそれを聞き、同時に高そうな鞄を持つ、黒ヘルの男を追いかける。


「待てっ!!」

「ちょ、ちょっと!!」


 俺を呼び止めようとする、俺の彼女……ユイを無視して、俺はヘルメットの男に飛びかかりーーヘルメットを上から地面に押さえつける。


「捕まえたっ!!」

「はなせっ!!」


 しかし、男はジタバタと暴れ、やがて俺は振りほどかれ、そのまま土手を転がっていく。


「ウワァァァァァ!!」


 指を地面に引っ掛けてブレーキをかけようとする……が、スゴイスピードで俺は土手を転がり落ち、河川敷の石で痛みを感じつつ、突然深くなった川に沈んでしまう。


「オボッ……」


 この川、こんなに深いわけが……とにかく、まずは……水面に……

 俺は下へと急速に流れる水に押さえつけられ、そのまま気を失ってしまった。



◇◆◇◆◇


「おい! 魔王様の誕生だ!!」

「警備を強化しろ!!」


「……なんか、騒がしいな……なんだこれ、狭っ!!」


 俺は、若干明るい、この小さな部屋……いや、箱を、壁の薄っすらとした(あかり)を頼りに触る。


「なんだここ……新種の治療マシーンか!?」


 よく見ると俺の半身は液体に浸かっていて、胸や体に若干違和感があるが……明りが薄っすらで見えない。

 俺はとりあえず、この箱から出るための出口を探す。


「……出口出口ーっと。……見当たらないなぁ」


 どうしよう……仕方ない、この箱ぶっ壊せるかな?

 俺は仕方なく、片腕に力を込め、思いっきり拳を振り抜く。


「眩し……」


 バキッという爽快な音と共に壁が割れ、明るい光が差し込んできた。


「魔王様が、お目覚めだぁァァァ!!!」

「ゥオオオオオ!!!!!」


 ……うん。どうなってんの?



 周りを見回すと、俺の側には異様なサイズの卵(残骸)と、蛇などの動物や虫の、体の一部を持つ人間|(?)……所謂、魔族。

 更には、明らかに大きさや体のつくりがおかしい……言い方は悪いけど、イカれた動物……魔物。


 ……うん。俺、異世界に転移したのか?


 あまりの驚きと疑問で、俺の頭ではたくさんの(ハテナ)マークが踊り狂っている。

 例えば……どの魔族も明らかに女がいないこと。

 魔獣はその限りでは無いけど、魔族達は柔らかな、弾力のある胸が全くない。

 どれも黒く、ムキムキの胸……胸筋ばかり。


 羊のツノを持つ線の細い、執事みたいな奴もいるけど……タキシードを着ている。男装麗人……ないね。

 とりあえず、羊さんに話を聞いてみよう。


「あの……これは?」

「魔王様、とんだご冗談を。全員、貴方の夫や、子孫でございます」


 いやいや、冗談はアンタでしょう。

 夫なんて言われても、俺には同性愛の趣味はないし、子供なんて作れるワケが……


 今更だけど、俺、気付いたよ。

 俺……女になってる。


 しかも、ナイスボディな体。

 巨乳に、クビレ、尻……うん。

 男にとって、理想の体だ。

 あ、服はちゃんと着てるぜ☆


 まあ、それはおいといて、このムキムキ男共はが取り巻く状況は、逆ハーレムなのか……。

 まあ、この体の主は魔王様らしいし、世間的には問題はなかったのかもしれない。

 あくまで『世間的には』だけど。

 ってゆーか、これからどうすればいいの?


「魔王様、本日はお疲れでしょう。お休みください」

「……うん。そうするよ」

「こちらへどうぞ」


 考えてても仕方ない!! とりあえず、今日は寝よう!


◇◆◇◆◇


「魔王様、お客様がご来訪されました」

「ん……ありがと」


 俺は、眠い体を無理矢理叩き起こして、羊さんについていく。

 しっかし、あのベッド、すっごいモフモフだったなぁ……

 あの包み込む感じとか、癖になりそう。

 いやいや、今はお客様の方が優先だ。


「ところで、誰が来たの?」

「今日来訪されましたのは……南の貴族でございます」

「貴族?」

「ええ、おそらく魔王様が復活された、祝いの遣いでしょう」


 なるほど……王様が復権したり、こういう祝い事があったりしたら、貴族なんかも動くのか……情報はやいなぁ……


「魔王様、こちらを」

「ん」


 羊さんが俺に、冠と黒いマントを着用させると、大きな扉を開ける。


「ララ=ミリュシュ女王のお出まし。アルドッドの者共、敬礼!!」


 羊さんがよく響く声でそう言うと、王座らしきものの近くに立っている鎧で装備を固めた衛兵たちも、統制された動きで


ある者は地面に槍を立て

ある者は剣を自分の前に、剣先が天を向くように持ち、

またある者は大盾を横に構え

それ以外はここ……アル・ドッド魔界国軍専用の軽装を着た兵士は、敬礼をする。


 っていうかこの体と国って、そんな名前だったのか。

 魔界に国があることは驚きだが……


「ララ王、王座に」

「……うむ」


 ここは、空気を読んで素直に動こう。

 じゃないと、後で羊さんにチクチク言われそう。


「客人よ、入るが良い!!」


 羊さんがそう言うと、これまた大きな扉がギギーィィと音を立てて開く。

 それだけだ……いや、違う!?


 扉の奥から、凄まじい速さで若い男の魔族が走り込み、俺に殴りかかろうと真っ直ぐ……俺しか眼中にないといった感じで突進する。


「その程度!!」

「グッ……」


 しかしそれは、王座付近で盾を構えた兵士に止められ、そのまま別の兵士に捕らえられる。


「お前らのせいだ……!! お前らのせいで村が……!!」

「ララ様、こいつどうしましょう」

「ふむ……」


 俺が少し考えるそぶりを見せると、若い男はギロリと俺を睨む。


「牢に入れておけ」


 この人には、後で少し話を聞かないといけないなぁ……。

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