清涼飲料水CM-バイト編-
<熊編>
清涼飲料水の「今日もよくがんばりました」CM-
炎天下- 明良がCMの清涼飲料水を手に、携帯を耳に当てたまま何かを叫びながら走っている。
追いかけているカメラ
「はい、OK!」
明良がゆっくり止まり「ひぃぃ」と言いながら、その場に座りこむ。
「暑い~…」
スタッフがタオルとジュースを持ってくる。
「あ、今、持ってるジュースでいいです。」
明良がそう言って、自分が持って走っていたジュースを開ける。
スタッフが思わず「ダメ!」と言ったが…
プシューッという音と共に、ジュースが吹き出してしまう。
明良、服がジュースで濡れてしまう。
「……」
呆然とする明良に、スタッフが笑う。
「…微炭酸…忘れてた…」
スタッフが、笑いながらタオルをもう1枚持ってくる。
明良、申し訳なさそうに受け取る。
・・・・・・・
(できあがった、CMはこちら)
明良がCMの清涼飲料水を手に、携帯電話で話しながら必死に走っている。
「先輩!大丈夫ですか!?」
『…俺、もう駄目かもしれない…』
電話の向こうから、相澤の死にかけたような声がする。
「先輩!今、そっちへ向かっていますから!」
『早く持ってきて…』
「はい!できるだけ体を冷やして、待ってて下さい!」
『それは無理だ…。とにかくカンカン照りで…』
「何か目印ありますか?」
『風船…』
「あ、風船があるんですね!わかりました!一旦切りますよ!」
『……』
明良、携帯電話を切って、とにかく走る。
……
連絡があった公園につく。たくさん風船のついたポールもあるのに、相澤の姿がない。
「先輩!?先輩!?」
必死にあたりを見渡す明良。
その時、明良の後で風船を持って立っていた熊が、突然手を上げる。
「ここ」
その声に明良振り向いて「わっ!」とびっくりする。
着ぐるみの頭だけ脱いだ相澤と明良が並んで座って、CMの清涼飲料水を飲む姿が映る。
子どもたちの声で『今日もよくがんばりました!』と入る。
画面に清涼飲料水が映る。商品名がアナウンスされる。
<ゾンビ編>
清涼飲料水の「今日もよくがんばりました」CM-
お化け屋敷のセットでの撮影-
「もう…なんか、これだけで怖い…」
明良が、黒い壁に囲まれた、迷路のような通路の外に立って、そう言う。
「先輩、メイクまだですか?」
「まだ終わってないみたいですね。」
「ゾンビ?」
「そうです。」
「あー…怖い…無理…」
明良のその言葉にスタッフ笑う。
「明良君、こっちね。」
1人のスタッフが、迷路の中に誘う。
「はい…」
明良、恐る恐る迷路に入る。
「ジュースを持って、ここらへんで…」
と、スタッフが説明を始めた時、叫び声と一緒にゾンビが明良の前から走ってくる。
明良、びっくりして声を上げながら逃げ出す。ゾンビが追いかけていく。
迷路の外に出て、ゾンビに襲われ床に仰向けに押し倒される明良。
明良、ゾンビに上からのしかかられ、泣いている。
スタッフの笑い声。
「明良、マジ泣きするなよ。」
ゾンビがそう言いながら、起き上がり明良の手を引く。
明良、手を引かれ起き上がりながら、涙声で言う。
「だって…わかってても怖いんだもん…」
スタッフの笑い声。
・・・・・・・
(できあがった、CMはこちら)
CMの清涼飲料水を持って、お化け屋敷の黒い壁の中を、恐る恐る歩く明良。※ゾンビに襲われた後なので、もはや涙目。
携帯電話で話しながら、歩いている。
怖そうな音楽がずっと流れている。
「先輩…どこなんですか?」
『今、どこらへんだ?』
「入って2つくらい角曲がりましたけど…」
『そのまま、まっすぐ行って。』
「はい…」
そう返事した途端、上から逆さ吊りのゾンビが落ちて来て、床すれすれで止まる。
明良、声を上げて、座りこんでしまう。
ゾンビ、明良に手を差し出す。
「ちょーだい!」
明良、とっさにジュースをその手に乗せる。
「さんきゅっ」
ゾンビが一瞬にして、上へ戻る。
明良、ゾンビが戻っていった上を見上げたまま呟く。
「…先輩?…」
ゾンビと明良が並んで、CMの清涼飲料水を飲む姿が映る。
明良がゾンビに向いて「本当に先輩?」と聞く。すると反対側から相澤が「俺ここ」と顔を出す。明良びっくりしてゾンビを見、仰向けに卒倒する。ゾンビと相澤ピース。
子どもたちの声で『今日もよくがんばりました!』と入る。
画面に清涼飲料水が映る。商品名がアナウンスされる。