清涼飲料水CM-子猫編-
ある清涼飲料水のCM撮影-
公園での撮影-
北条明良(20歳)が、銀杏の木の上に登っている。銀杏の木は葉が色づいている。
「こわーー…」
明良が下を向いて思わず呟いた。無情にも脚立がスタッフにはずされる。
「落ちるなよー」
木の下にいる相澤 励(21歳)が、そうのんきに声をかけている。
「ふえーーー」
明良の普段とは違う様子に、スタッフとギャラリーが笑っている。
「はい!じゃ、撮影行くよ!…明良君、子猫はCGではめるから、適当に目で追うような感じでね!後で合わせるから!」
その監督の言葉に、明良は震えながら「はい」と答える。
「では、よーいスタート!」
・・・・・・
(できあがった、CMはこちら)
明良が必死に木を登っている。
かなり高い木の上で、子猫がしきりに鳴いている。
「明良ー!気をつけろー!」
CMの清涼飲料水を両手に持った相澤が、下から声をかける。
「ちょっと待って…もうすぐ届くからね!」
明良は子猫にそう声をかけながら、上って行く。
「もうちょっと!」
相澤がそう言った時、子猫は明良を避けて、するすると木を伝って降りていく。
子猫は無事に地面に降り、走り去ってしまう。
「………」
明良も相澤も、ぼんやりと子猫が走り去った後を見ている。
「先輩」
「何?」
「助けに来て下さい。」
「…やだ。」
子どもたちの声で『今日もよくがんばりました!』と入る。
画面に清涼飲料水が映る。商品名がアナウンスされる。