表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/72

第42話 リディアの様子がおかしい気がする。

時刻は正午を大きく過ぎ、14時頃になっていた。

リディアの衣装の案がまとまったタイミングを見計らって、アタシは遅めの昼食を提案したわ。ケイティは1つ返事でOKし、リディアも久しぶりの王都だからと了承した。


ご飯についての話題なのに、リディアが思ったより食いついてこないことが気になったわ。仕立て屋で緊張しているのが続いているのか、久しぶりの王都だからなのかは分からないけど、いつもの調子じゃない気がする。何かに拗ねているような?でもそんな態度を表にドンっと出している様子はない。気のせい?お腹減ってるだけかしら?


「あ、そうだアドルディ。ご飯食べに行くなら久しぶりに”あの店”行かない?今なら空いているだろうし!」


ウィンクするケイティの案を聞いて、アタシはすぐにピンと来た。リディアは状況を理解できていなくて、アタシとケイティの両方の顔を交互に見ている。


「アタシたちが学生時代に通っていたお店があるのよ。」

「そうそう!レティシアちゃんも気に入ると思うよ!…あ、でも2人が他に行きたい店あるなら、そっちでも良いよ?」


アタシはリディアに聞いてみるけど、リディアは首を横に振った。聖女リディアとして王都暮らしが長いと言っても、この子がいたのは王城の中にある聖神殿。町に出たのは数千年前のはずだから、あの頃あったお店はとっくに無くなってしまっているはず。


「行きたい、アディの思い出のお店。」


リディアのその声をきっかけに、アタシたちは大きく頷き、店を出る準備を開始した。


(アタシの移動車にケイティを乗せれば良いとして…問題になるのは駐車場ね。)


アタシは頭の中で店までの道のりを思い出しながら、2人の準備が終わるのを待った。



________。


十数分後、アタシたちは問題なくお店に着いたわ。アタシとケイティの思い出のお店”喫茶ハートネル”は今も健在で、アタシたちは店内の開いている席に着席する。

ここは飲み物だけを楽しむのも良いし、ご飯を食べにくるのも良い。人で賑わっているのにどこか安心する雰囲気のお店で、学生時代によく通っていたのを思い出す。



「レモネード、しゅっぱい!」

「アンタきちんとかき混ぜなかったでしょ!?底にシロップが溜まっているわよ!」

「あはは!私も昔同じことした記憶!」


アタシたちは食べ物を注文し、先にドリンクを楽しんでいた。リディアはレモネード、ケイティはアイスティー、アタシは温かい紅茶を頼んだわ。


店内にはアタシたちを含めて複数人しかいなく、席に座っている客も疎らだった。流石に混雑する時間は完全に過ぎているみたいね。


「アディって王都の学校に通っていたの?」

「そうよ。アタシもケイティも、王都の学校に通っていたわ。」

「でもアディの家って、セントサザール領だよね?王都にも家があるの?」

「そそそ!レッドフォードの別邸!あっちもあっちで大きいよね!」


リディアはレッドフォードの別邸のことを知らなかったのか、すごく驚いている。基本的に貴族は家を複数所持している場合が多いわ。アタシの家も例外ではなく、王都以外にもいくつか拠点となる家があるの。別邸には所有者である貴族の親族の誰が住んでいるとかはないけど、住み込みの管理人や使用人が家の管理者としていてくれていることがほとんどよ。ちなみに、王都にある別邸にはクリスティの母親が仕えてくれているわ。


「私、アディの王都の別邸行ったことない。」

「連れて行ったことないからね。」

「今度連れてってあげたら?中庭にある大きな温室、今でもあるんでしょ?あれ私の個人的見どころポイント。」


ケイティはカラカラと氷を鳴らしながら、コップの中のアイスティーをかき回し、リディアは小さく『温室…』と呟いている。


(?)


アタシは違和感の正体に気付いた気がして、しばらくリディアとケイティの様子を眺める。

アタシの考えが勘違いじゃないなら、もしかしてあの子、ケイティに苦手意識があるのかもしれないわね。嫌っているわけじゃないけど、何かが合わないとか。でも、2人きりで話しているときにはそんな感じはしなかった。むしろ、姉妹や友達のように親しげに見えた。


あ、でも。苦手意識とは少し違うけど、アタシがケイティと親しげにしているから、ヤキモチを焼いている可能性はあるわね。リディアは今まで、ケイティみたいな親しさをもってアタシと接する人とは会ったことないはず。


(それで少しもやもやしていたり?)


母親を他の兄弟に取られたような気分なのか、自分が一番近しい存在だと思っていた人が他の人と親しくしているが故の嫉妬なのか、アタシとケイティが昔話ばかりしているせいで自分だけ仲間外れにされている気分なのか。

そんなことを考えていたら、アタシたちのテーブルに料理が運ばれてきたわ。


「わー!これこれ、ハートネルといえばこのワンプレート!」

「懐かしいわね、このハンバーグプレート!冷めないうちにいただきましょうか!」

「…いただきます。」


とは言っても、ケイティもずっと昔話をしているわけではない。リディアにも話題を振っているし、もちろんこの子を除け者扱いしているわけでもない。


(帰りにちょっと2人きりで話してみましょうか。)


アタシはそんなことを考えながら、ハンバーグに添えられていたじゃがいもを口に入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ