第35話 困惑の極みよ。
こんにちは、アタシ以外のいとし子たち。今日のセントサザール領は快晴よ。
という茶番はさておきね?
リディアがアタシの部屋に来た時のこと覚えてる?そう数日前、本を持ち込んでおとなしく読んでいるのかと思ったら、レッドフォード邸を巻き込んで大規模アンケートを実施していると言っていたあの日よ。
リディアがあの日以来アタシの所に来ないの。
何を言ってんだこいつって感じでしょ?まずはアタシの話を聞きなさいよ。
リディアって仕事中とかプライベートとか関係なく、アタシが家にいると大体はアタシのところに来るのよ。使用人には気を遣ってかまってちゃんなことしないのに、アタシ相手には容赦ないの。いや自惚れとかじゃなくて舐められているだけなんだけどね?
時間が合えばご飯も一緒に食べるし、お風呂に入れるバスボム選びの時も、大体はアタシと話しながらあれでもないこれでもないってやっているの。
で、一日の終わりにアタシが晩酌していると、ぜっっったいにあの子がおつまみを狙ってやってくるの。あの子がここに来てから、アタシのおつまみを奪いに来なかったことがないくらいよ。
それがね、昨日の晩酌時には来なかったのよ!あの子が!いやまあそういう日もあるのかしらって思ったんだけどね?
でもさっき、決定的な事件が起きたの。
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今日、アタシは普通に廊下を歩いていたわ。
いつもと違うところがあるとすれば、両手に抱えている紙袋。この中には、新しく発売したレッドフォード社のお菓子たちが詰め込まれていたの。サンプルにって貰ったやつよ。
アタシ1人では食べきれないし、使用人たちの休憩室にいくつか差し入れた後にリディアにも渡してあげようと考えていたの。
使用人の休憩室にお菓子を置いてきた帰り道、自室から出ていくリディアが見えたの。アタシはリディアを呼び止めて、いつものようにお菓子を手渡そうとしたの。
そしたら!あの子!なんて言ったと思う!?
「今はいいや。後でちょうだい。」
って!!リディアが!!お菓子を!!拒絶したのよ!!?
いえ、正確には拒絶ではなく後回しにされただけなんだけどね?いつもなら飛び跳ねて全部持っていく勢いなのにね?今日は受け取らないどころか、見向きもしなかったのよ。
アタシびっくりしちゃって、持っていた紙袋をその場に落としちゃったの。リディアが拾い上げてくれたんだけど、少しの間呆然としちゃって。あの子、熱でもあるんじゃないかしらって手をおでこにあてて体温確認をしたら引っ叩かれてね。
「私は元気だから!また後でね。」
そう言い残して、去って行ったわ。それが十数分前の出来事_。
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「ねえジャネス、アタシ臭い?」
「は?」
アタシは仕事部屋に戻り、部屋で待機していたジャネスに尋ねてみる。
急に何言いだすんだこいつって顔しないでよ。アタシはいつでも真剣なの。
「ここ数日、あの子に避けられている気がするの。いえ、避けられているの。」
「あの子…ああ、お嬢様ですね。親離れじゃなですか?」
ジャネスが淡々と答えて、手元の書類に視線を戻す。
アタシは良い返しが思いつかなくて、眉間に皺を寄せたまま自分の席に着く。
(親離れ、ねえ。)
てか、アタシが臭いかどうかの質問に答えていないじゃないのよ!
ちょっとジャネス!説明していただけるかしら!?




