第17話 リディア誘拐編①
リディアがレッドフォード社の商品のモニターをしてくれた日から1か月近くが経過していた。
今日のアタシはオフ。朝から”暇”を満喫しているわ。
あれから日々に大きな変化はなく、アタシはレッドフォード伯爵として、リディアはレティシア・レッドフォードとして毎日を過ごしていた。
…いや、些細だけど、変化はあったわね。
まず、リディアはあの日以来、コスメ集めが趣味になっているわ。一定期間ごとにお小遣いをあげているんだけど、最近はもっぱらコスメのためにやりくりしているみたい。
それだけでは足りないかもと思って、アタシはリディアにある提案をしたわ。
リディアのためのやることリストを作ってみたの。
内容は難しいことじゃないわよ。小さい子供のお手伝いの範疇のことばっかりよ。一般家庭の子供からしてみれば、当たり前のことすぎてお手伝いにすらならないかもしれないけどね。
①部屋を綺麗に保つ。お菓子の食べかすを落としておくなんてもってのほか。
②洗濯する衣服はきちんとランドリーボックスに入れておくこと。
③使ったものは元の場所にきちんと戻す。散らかさない。
…などなど。お部屋の掃除をするとか洗濯物を畳むとか、それは使用人の仕事ですからね。それをリディアのお手伝いにしてしまうこと自体は簡単なんだけど、そうすると使用人たちの仕事がなくなってしまうのよ。お給料を貰うためにこの家に従事しているのに、それを奪われたらダメでしょ?
もう1つは、リディアが勉強と読書を始めたわ。
勉強といっても一般科目や一般教養の話じゃないの。あの子、伊達に3000年生きていないからね、その辺りの知識と教養はあるのよね。
リディアは自分の専門外の知識についての本を読んでいるらしいのよ。各領にある自然地区のモンスターについてとか、外国の政体についてとか。あと、我がレッドフォード社の小型携帯ゲーム機、モンスタっちの攻略本。
そんな調子だから、先日レッドフォード家の書斎への出入りを許可したの。時々本棚から本が抜けていると思ったら、リディアの部屋にその本が置いてあったりね。
リディアは今どこにいるのかって?レディースメイドのクリスティと一緒に、本を買いに出かけて行ったわ。出て行ったのは確か、午前10時前だったかしらね。
(それにしても遅いわね。リディアが本屋で目移りしまくっているのかしら。)
現在の時刻は正午を少し過ぎたくらい。
この時のアタシは気付いていなかったのよ。
リディアの身に何が起きているのか_。




