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第1話 オネエ伯爵、幼女を拾う。

アタシの名前はアドルディ・レッドフォード。


子供向け服飾をメインにお菓子やおもちゃなど、子供向け製品の事業を展開している「レッドフォード社」の経営者兼、このローゼシア王国のセントサザール領を統治している敏腕凄腕伯爵様よ。

年齢?聞かないでくれる?あと今アタシの年齢は関係ないの。


突然だけど今の状況を説明するわ。


幼女を拾ったの。


多分年齢は6~8歳くらいの子。

屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。

死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。

屋敷にいる魔導士の使用人に頼んで治療魔法で治したら、次はお風呂よ。


汚いし臭いし、本音を言うと泥とホコリで触りたくもない!

でも汚いままにしておくのはもっと嫌!


メイドを数人呼んで、気絶したままの幼女ごとお風呂に詰め込んできたわ。

そしたら、頭を洗っている最中に幼女が目を覚ましたらしいの。

目を覚まして一言目、あの子なんて言ったと思う?


『お腹空いた。お肉食べたい。あと柔らかいパン。』


ですって!

んま~~~図々しいうえに可愛くないわ~~~!!

オネエなのに思わずお嬢様口調にもなってしまいますわ~~~!!


キャラ属性の大渋滞巻き起こしちゃった。どうしてくれるの?



________。


「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。」


律儀に要望通りのお肉とパンを用意した上にスープまで付けてあげるなんてなんて優しい方がいるのかしら?

アタシ、アタシ~!作ったのは料理人だけど。


で、用意されたスープとお肉とパンをもぐもぐ頬張りながら、目の前の幼女がそう言ってきたわ。なんでこんなに尊大な態度なの?え?アタシがおかしいのかしら?


「あら~お褒めに預かり光栄です~。よろしければお名前を教えていただいても?」

「そうですね、あなたは今後世話になる相手。私の名前を知る権利を与えましょう。」


??


「私はリディア・アッシュクロフト。この名前を聞けば分かると思うが、この国の生きる神の象徴として崇められている、いわゆる聖女です。」


???


「聖女としての生活はまるで鎖で雁字搦めにされているようで苦しくて、ここまで逃げてきました。今後はこのレッドフォード家の養子として生きたいと思います。」


????


「婚約者扱いでも可能です。この年齢差、地位のある家なら縁談としておかしくはないでしょう。とにかく、今後は私の面倒も見るように。」


?????


「アタシの選択権は?」

「あっても良いですけど、その場合はあなたを聖女誘拐犯として告発します。」

「こっっっわ!!そして恐ろしいほどの職権乱用!!」


聖女リディア・アッシュクロフト。

この国で生きる者ならこの名前を知らない者はいないけど、一応説明しておくわ。

この世界を作り、国と人々をまとめ上げ、この国の象徴として君臨する神の末裔の少女、それがリディア・アッシュクロフトよ。


国王を始めとする極一部の人間しか会うことができない超VIP。

神の末裔らしく、過去と未来を見通す力と最上級魔導士としての力を備えており、年に1度の王様の誕生日に打ちあがる盛大な花火は、聖女が作った魔道玉だと言われているの。まさに、神から与えられた祝福ね。


でもでも、この子が聖女である保障はどこにもないわ。

自己申告しているけど、それだけじゃ証拠にならないじゃない!


「アンタが聖女だって証拠あるの?」

「それもそうね。特別に私の過去を視る力をお見せしましょう。」


ふん、どうせハッタリでしょ。

適当に話を聞いて、夜になる前に追い出せばいいのよ。



________。


「____信じてもらえた?」

「しくしくしく……」 

「まだのようです。ではもう1つ、2年前の11月、社交界で一人静かに」

「しんじます…ぜんぶしんじつです…もうやめて…」


親にすら知られていないあれこれを言い当てられた…もうおよめにいけない…


泣いている場合じゃないわ。

まずいわね、本当にこの子聖女様じゃないの!


状況を整理するのよアタシ。


屋敷の前でボロ雑巾のような塊を拾いました。

実はこの国の聖女でした。

聖女の立場が嫌で逃亡してきたみたいです。

聖女はアタシの屋敷で暮らしたいそうです。

断ったらアタシを聖女誘拐の罪で告発するそうです。


………受け入れる以外なくね?馬鹿か?

あらやだ、思わず言葉遣いが乱れちゃったわ。


「ということで、これからよろしくお願いしますね。さっそくだけど、私の部屋と専属の使用人を数名用意していただいても?」


なんか勝手に話進めてるし。

ジャネス、ヨハネ、クリスティも困惑してるし。

あ、この3人はアタシの屋敷にいる執事とメイドたちよ。左からバトラーとパーラーメイドとレディースメイド、別に覚えなくてもいいわ。


「ちょっとアンタね!勝手に話を進めないでくれる?」

「え、私を屋敷に置いてくれないの?」

「置く以外選択肢ないから置くけどっっっ!!」

「では、よろしくお願いね。お紅茶くださる?」


ええ、ええ、とびっきり熱くて渋い1杯をお出しして差し上げるわ。


「それと、私は要望を聞いていただく立場。特別にあなたのその非礼な接し方について許してあげましょう。」


「これからよろしくね、レッドフォード伯爵。」



アタシ、この数十分で5㎏くらい瘦せた気がする。





「この部屋は何?ペットの居住?」

「アンタの部屋よ!!!!!」


んま~~~可愛くないわ~~~!!!

聖女だろうが関係なくきちんとしつける必要があるわね~~~!!!


これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。

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