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第150話 大人の為のグッズが欲しいとは

 焼き肉を食べたらスライム達がカラーダイヤモンドみたいに進化した。

 それに初代勇者の話も聞けたし、有意義な食事会だった…最後に軍女神の四人がおかしな事を言わなければね。


「ほぉほぉ、マンネリでお困りですか」

とカーラさんが興味を示す。


「先に言っとくけど、俺、そっち方面には手を出さないからね」


 予防線を張って置かないと被弾間違いなしだよ。


「そんな事を言わないでよ。

 これは全女性がいずれ直面する重要な問題なの。

 これがきっかけで夫婦仲は冷め、離婚や不倫に至るのよ。

 今から対策打たないとクレストさんもいずれ彼女に振られるわ」


 そこまで力説しなくて宜しいのでは?


「私もそれには大いに興味あるのです!

 パパはママを優しくしてあげているので、きっと刺激が足りなくな…」

「アルジェン、ハウスっ!」


 余計な事を言うなって!


「最初はそれでも良いんだけど、慣れてくると物足りなくなるわよ」

「あの…あんまり深掘りすると、違う舞台に話が移るので…」

「あぁ…勇者の世界でノータリン送りってヤツね」


 違うわい!


 もしそっちの方向性の商品をお望みなら、違い転生者に作らせてやるよ。言っとくけど、俺はレンタルのアダルトビデオ程度の物しか知らないんだし。


 でも、アダルトグッズを扱うような人とはお友達になりたくないかも…偏見かな?

 夫婦仲を取り持つグッズだと前向きに考えれば、そう悪い物でもないのかな?


 でもねぇ…何が問題ってやっぱり素材だよ。

 ラテックスゴムとかシリコンとか必要だと思う訳よ。そう言う合成材料は今のところカラバッサでしか見たことない。


 樹脂や炭素や怪しい物質をアレコレ混ぜてプラスチック擬きを作ったらしいが、普通に販売するとグラム単価が銀と同じと言われれば、そんなの使える訳がない。


 安くて安全で丈夫な材料じゃないと、避妊具だって作れない。

 まさかスライム研究の人って、そっち方面の研究をしてたりするのか?


 それなら一度会いたいような、会いたくないような。


「彼、大丈夫なの?」

「気にしないで。一度考え出すと、周りのことが見えなくなるタイプだから」

「そうなのです!

 パパの長考モードは世界を救うかも知れないアイデアを出すかも知れない時があるかも知れないのです!、的な感じね」


 フレイアが黙り込んだクレストを心配し、アヤノとサーヤがフォローする。

 ちなみにアルジェンとカオリは既にお腹一杯になって眠り始めていた。


「そう言えば、クレたん下着は何を着てるの?」

「見てみようか」


 カーラとサーヤがそっとクレストの襟元に手を伸ばしてワンピースの中を覗き込む…


「赤! 本格的!」

「完璧な女装よね!」


 二人が赤いブラを確認してハイタッチ。


「アンタ達ねぇ…」

「後で叱っときます」


 呆れたフレイアにアヤノが謝るが、その後ろでカルマとジャンヌも覗き込んでいた。


「本当にトリップするのね」

「この長考モードで、リミエンでは貯水池周辺のリゾート地計画を立てたそうですし。

 頭の中で凄い計算をしているんだと思いますよ」

「これも何かの特殊なスキルなのかしらね。

 この国をもっと良くする方法をお願いしたら、こうやって考えてくれるかしら?」


 まだお腹に余裕のある者達はテーブルの上の料理に手を出そうかどうしようかと悩んでいるところでクレストが復帰した。


「何を考えてたの?」

「アダルトグッズの材料や製造方法、性教育の方法とかです…えっ?」

「その話、詳しくっ!」



「いやー、若いのに大したもんだよ!」


 フレイアさんが俺の隣に座って肩を抱き、グイッとグラスを傾けた。

 まるでキャバ嬢になった気分だが二人とも女性である…俺は見た目だけね。


 何が彼女の琴線に触れたのか今一つ理解に苦しむが、夫婦仲を良くするためのアイデアとしてコスプレ、裸エプロン、童貞殺害用セーター、セクシーランジェリー各種を絵にして見せたのと、妊娠の仕組みや赤ちゃんの扱い方をレクチャーしただけだ。


 貴族の中には女性を拷問するかのようにして楽しむバカもいるので、女性の体についてもっと理解してもらいたいとマダムファブーロも言っていた。

 そう言う面からも性教育って必要なのだが、ノウハウを書いた本など無いし、学校で教える訳でもない。


 まだ農村だと両親がやってるのを見ることもあるし、盛りのついた若いカップルは何処かに隠れて行為に及ぶこともあり、その現場にウッカリ確信犯で出くわすことも…。

 なので温室栽培の貴族より、農民の方が正しい知識を持っていたりするのだ。


「俺は作れませんし、売りませんよ…と言うより、王都ならこの手の職人さんも多いんじゃないですか?」

「貴族向けや風俗店用のバカ高い商品を作るしか能がない奴らに任せられるかって。

 こう言うのは安っぽくて良いんだよ。ムードとシチューがだいじなんだろ?」

「シチューじゃなくてシチュエーションです」


 安いセクシーコスプレ商品を作れと来たもんだ。特にセーターがフレイアさんのお気に召したらしい。


 戦女神の四人は切実な問題なのか、衣装の絵を見てアレコレ楽しそうだが、まさか俺がそう言う絵を書くと思ってもいなかったマーメイドの四人は少し引いて…なぬ? セリカさんが裸エプロンを…やべっ、鼻血出そう。

 意外とミニ丈のチャイナドレスとセーラー服が評判のようだ。


 何が悲しくて、こんな商品の開発に手を貸さなきゃならないんだよ?


「皆さんに言っとくけど、この絵を書いたのは俺だと絶対に言わないでくださいよ!

 もし言ったら…絶交です!」

「言いませんっ! 絶対に!」


 そんなに絶交ってイヤなのか。よく分からないけど、この国じゃ便利な言葉だな。


「後はそのコンドーさんの製造が問題だね。

 薄くて丈夫な材料が必要なんだよね。

 確かに分厚いと感度が下がりそうで使いたくないか」


 女性陣の前でよく堂々とそんなの言えるな。さすが国内でトップレベルだったパーティーメンバーは一味違うよ。


「これも売れますね…ですが売り方が難しいですよ」

とケルンさんがコンドーさんの売り方に頭を悩ませる。

 行商の荷馬車でコンドーさん…村の子供達が見たらコレ何?と絶対聞いてくるだろう。

 それはそれでケルンさんがどう対応するかも見てみたい気もするけどね。

 

 その他に経口避妊薬もあるが、良い側面と悪い側面の双方を持ち合わせているので教えるのを躊躇っている。

 公営の風俗店で働く女性には配布してあげたいが、そうでないお店には卸したくないね…人里離れた秘密の工場で製造して闇ルートで王城に搬入するか?


 今回は時期尚早と判断して公開は見送ったが、要望があればルケイドに丸投げしよう。だって山芋の一種にその効果があるらしいからね。


「今のところ薄くて丈夫な材料が見付かっていないので作りたくても作れないけど、王都で素材の研究はしてないの?

 錬金術師もたくさん居そうだけど」

「素材研究所があるんだけどね、中々成果が出なくて規模が縮小されてるんだよ」

「それに錬金術師共が異臭騒ぎやボヤ騒ぎを度々起こすから、研究所は白い目で見られてて研究者って人気が無いのさ」

「異臭が発生するのは当然だけど、煙や排水を無害化処理せず垂れ流してんのか。

 それじゃ公害と同じだな」


 洗浄剤作りでもアルカリ性溶液を使うので、その処理にはかなり注意を払わせていたんだよ。

 下水道に流す前に中和させるよう徹底しないと、どこでどんなトラブルが起きるか知れたもんじゃない。


 少なくとも排煙は冷却して液体化、更に中和してから処分すべきだし、排水も有害物質を除去しないと魚が吸収して、その魚を食べて人体に蓄積されてしまうかも知れないんだし。

 王都の川で獲れた魚は食べない方が安全かもな…これって風評被害ってヤツ?


 でもそう言う安全対策を取らない研究所は実験を行うべきじゃない。

 逆に言えば、安全対策を取ってバンバン実験し手欲しい。

 早いとこプラスチックやビニールやナイロン、そう言った素材に近い物を石油以外で生み出してくれと切に願う。


 丁度その頃、リミエンの錬金術師ギルドで様々な実験が行われていて、住民達からクレームが出ていたのだがクレスト達が知るはずも無く。


 魔道具ギルドがやっつけ仕事で煙突の改修工事を行い事なきを得たのだが、それが無ければこの後にあの素材が出来上がることは無かったかも知れない。

 それぐらい研究所の公害対策は必要なのだ。

 家の隣が臭いダダ漏れの納豆工場や焼き鳥屋だと思えば納得してもらえるだろう。


「じゃあ明日の予定は、素材研究所だね」

とベルさんが笑顔で言う。


「どうして?

 明日は十二時に商業ギルドに行ってギルマスに会ってからは、ホテルに引き篭もりますよ」

「コンドーさんの素材を研究してもらわなきゃイケないだろ。

 僕が現役の間に完成させて欲しいんだけど」


 こんなにストレートに欲しがる人も珍しい。聞いた話じゃ、何かの魔物の腸を代替品として使うそうだけど、当然ながら気持ち悪いし分厚くてイヤだとか。


「感染症予防対策にはコンドーさんが一番だとさっきクレスト君が言ったよね!」


 くっ! それを言われると断れねぇ!


 …って、ちょっと待ってよ。


「あの、俺が行っても意味無いでしょ。

 だって俺には素材の知識は無いんだし」

「そんな事は関係無いよ。

 ヤル気とガッツと根性、その他諸々放り込めば何でも出来る!

 『泣けば刺す、泣かねば刺さぬ、槍仕事』って昔から言うよね。意味は知らないけど」

「知らないなら言わないで!

 槍仕事って何ょ?!

 鳴かないから刺さないでって皆思うよね!」


 どこの勇者がそんな言葉伝えたんだよ?

 とんでもない馬鹿かゲスだよな。


「そうだよ、刺して欲しくない。

 だから初代勇者が最後まで抵抗した国を落とす時に国王の一人息子を誘拐して、その言葉で脅したんだよ」

「初代勇者もゲス決定!」


 為せば成る、為さねば成らぬ、何事もって明言なのに!

 どこをどう間違ってそんな使い方をするんだよ!


「それがそうでもなくてね。

 敢えて冷血な一面を見せることで無血開城に成功したんだから、国王の性格を見抜いた計算尽くって評価なんだよ」


 そんな訳は無いでしょ。

 結果的にたまたまそうなっただけだと思うけどね。

 

「茄子は茄子?

 茄子を刺すならボーナス出るぞって言いたかったのかもね」

「それは無い!」


 洒落にもなってないし。城を取りに行って呑気に茄子を刺す人なんて居ないって。

 でも異世界翻訳さんの誤訳ってこともあり得るのか…日本語からコンラッド語、それから

日本語に再変換したら何処かおかしくなって不思議じゃないし。


 それにしても、初代勇者の話は今も残ってるんだ。

 ビステルさんに見せてもらった勇者図鑑には初代勇者が載って無かったから年代がソレより前だと思うけど、三百年ぐらい昔の話だよね。


「茄子はともかく、商業ギルドの後に研究所に行ってみようか。

 用事が無いと行く機会が無いから楽しみだ。

 良い素材が出来ることを期待しよう」


 字面だけを見るとまともそうな事を言ってるベルさんだけど、目的は薄いコンドーさんが欲しいからなんだよ…欲望に忠実過ぎるでしょ。


 まぁ、俺も完成したら使うかも知れないけど…ムフフ。

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