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問題山積み(新技術)

 10日でダンジョン拡張が終わった。

 けど、今日と明日はお休み。


「コンクリートで固めれば、これまで以上に足場が良くなりますね」


 理由は、床をコンクリートで固めるため。

 生コンを流し込んだので、乾燥まで時間がかかるのだ。


「あとはモンスターに、どこまで荒らされるかだね。

 コンクリートではモンスターのポップは防げないのだから」


 四宮教授は、どこぞのクラフトゲームのような発言をした。

 某ゲームでは、周囲を明るくしたり羊毛のカーペットを敷くことでモンスターが湧かなくなるらしい。

 もっとも、ダンジョン内にモンスターが湧かなくする方法は、今の所分かっていないから、関係無いけど。


 だから俺たちがダンジョンに入らなくても、ダンジョンにはモンスターが出てくる。

 そしてモンスターはこちらの事情にお構いなしに、乾いていないコンクリートの上を歩き回るだろう。

 できればモンスターが湧かなくなるようにしたいけど、そんな方法が無いのは残念である。





「今のうちに原神たちのメンテナンスをしてしまいますね」

「そうですね。お任せします」


 ドリルユニットの実践検証ができた及川准教授はご機嫌で原神たちのメンテナンスを提案してきた。


 これからはタイタンの投入もあるので、原神の出番は減ることになる。

 だから急いでメンテナンスをしなきゃいけない事はないんだけど、ドリルで負荷がかかったし、いいタイミングなのも確かなので、任せる事にした。



 それと、今回はメンテで交換するパーツに、試験的だけど俺が作った合金を使ってもらう事になっている。


「強度的には、通常の物よりも下ですからね。メンテナンスの頻度を上げないと。一文字さんも気を付けてくださいね」

「あっ、はい」


 通常のパーツよりも弱くなるので、注意するように釘を刺されたが、新しい事を試すのはワクワクする。

 一度に全部交換するのではなく、少しずつ使用する。様子を見ながら、良さそうならどんどん変えていく。

 どうなるかは、やってみないと分からない。

 こういった合金を使うのは及川准教授も初めてなので、手探りなのだ。



「そう言えば、頼まれたようにタイタンの一体にも合金を使っていますよ。とりあえずですが、出番が無いだろう、一部の装甲板からですけどね」


 そして、合金はタイタンにも使っている。

 鴻上さんの工場があるので、ある程度の無理が通るようになったのだ。

 及川准教授は嫌がったが、そこは俺が初号機だけでもと無理を通した。



「最初だからこそ、あまり無理はしたくないんですけれどね」

「最初だからこそ、色々と試してみるのも良いものだよ! 違った行動を取る事で、現在行っている試験に新たな知見を得られる事も有るのだからね!」


 嫌がる及川准教授だが、四宮教授は乗り気である。


「失敗もまた、大事な経験であるからね!

 無難な成功だけで小さく纏まっていては、すぐに頭打ちになるのだよ! 挑まねば、確かな成功など有り得ないのだからね!!」

「物理特性検査から、ある程度のデータは出ていますよ。失敗前提で動くのも、どうかと思いますが」

「おやおや。それは学究の徒とは思えない発言だよ。やっていない事を決めつけるのは、誰であれやってはいけないんだ。

 誰かがやった後であれば、それを参考に言うのは、まだ構わないがね。誰もやった事が無いなら、安易に否定してはいけないよ。

 それに魔法や魔力にレベルアップなんて、我々が知らない事の方が多いじゃないか。人工知能のレベルアップで自我が発生するとか、予見できなかっただろう?」


 勝負あり、だな。

 横で話を聞いていたけど、言葉に説得力があるのは四宮教授の方だ。

 及川准教授では、反論するのも難しい空気になっている。



 ただ、及川准教授の考えも、分からないでもない。

 及川准教授はこれまで、少ない予算で結果を出すため、失敗のリスクを避けた、堅実な積み重ねを重視してきたのだろう。

 失敗を重ねればそれだけお金が消えていくのだから、予算内でやりくりするため、お金のかからないやり方が身に染み付いているのだ。

 だから及川准教授を責めるのは、一概にいいとは言えなかったりする。


 それに、及川准教授にしてみれば、タイタンも自分が組み上げた作品であり、試験機とはいえ、壊れていいと安易に言えないだけの愛着を持っているはずだ。

 失敗はタイタンの破損、損傷なので、そうならないために対策を考えるのは、人として間違っていない。


 そこを口に出せば四宮教授も反論しにくいのだが、感情論を押し通すほど、及川准教授は我が強くないのであったのだろうな。

 俺なら間違いなく感情論に持ち込んだけど。



 こうして二日ほど休息を挟んでから、俺たちは縦に広くなったダンジョンに挑むのだった。

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