協力者探し⑤
ゲームなどで魔法を付与するというと、永続的な効果を持つパターンと、一時的にバフを与えるものが思い浮かぶだろう。
残念ながら、リアルの魔法付与は一時的な効果しかない。永続的な効果を付与することはできない。
だから短時間の魔法付与を使い、最大限の利益を産み出す手段を求めた。
一応の指針として、求めるのは万華鋼と同系統で違うアプローチ。
うちはダンジョンに潜る従業員が多いので、加工段階で魔法を使い、通常の加工では作れない金属を作ろうという試みをした。
その試みは、人に見せても問題ない形で成功する事になる。
最初は装甲素材ではなく、もっと範囲を広く万華鋼のような金属を地上で生産しようとする実験だった。
手間ひまかかる万華鋼は、いつものやり方では生産性の向上が見込めないため、通常のダンジョン内でモンスターを殺し生け贄に捧げるような儀式を、地上でドロップアイテムや魔法を使って何かしたら、代用できないかと考えた。
最初は新規の研究として専門チームを立ち上げている。
のちに当時は利用法方が不明な、緑狼の森に出るティターンからドロップしたロボットパーツの利用方法を探していたメンバーも合流している。
ダンジョン内でダメだったので、むしろ地上で実験してみようと彼らが考えたのがきっかけだ。
今では装甲素材をメインとしているのも、こいつらの影響だと思う。
それで、「地上で」色々と試した結果、成果が出た。
謎パーツは謎のままだが、鬼鉄を適切な装甲形状に変換するシステムが出来上がったのだ。
形状の複製元には謎パーツが必要とされるので、絶対に真似されないだろう。
もしかしたら、これをヒントに新しい何かを産み出す企業もあるだろうが、そこまで技術の秘匿をするつもりはない。
技術の健全な発展に寄与するなどという綺麗事ではなく、もっと単純な費用対効果の話かな。
機密を守るにはお金と手間がかかるのだ。
ティターンの謎パーツを盗まれないようにするのは絶対だが、儀式を用いた部品加工ぐらいなら、広まってもそこまで痛くない。
なのでほんの少し嘘をついたが特許申請をしたし、変な横やりを入れられなければ問題ない。
むしろ、他社が新規の特許でこちらに難癖をつける隙を見せる方が不味いだろう。
情報開示は一部であれば、身を守る盾になる。
そんな思惑もあり連れてこられた時任さんは。
「は? 熱もなく金属の形を変える? 形状のコピー? それで工業製品として使える品質? そんな魔法があるはず……いや目の前にある現実を否定しては……」
すでに特許申請で公開されているが、それを知らずにいた人なので、混乱の極みにあった。
新年明けましておめでとうございます。
長く休んでいましたが、新年ということで更新再開、復帰します。
ペースは徐々に戻していきます。
本作は二月中には完結させたい。




