問題山積み(海外)
調べてみれば、ロボット関連の技術は様々なところで行われているのが分かる。
パルクールをやってのけたロボットはアメリカで開発された。その会社は、日本の大手通信会社が購入したけど、韓国の電子企業に売却されている。
イギリスでは人間の表情を完全再現に成功している。アクションも含めた感情表現も行っていて、日本人としてはややオーバーアクションに見えるけど、アメリカ人とかならかなり“人間らしさ”を見せていた。
日本では、個人の発言をほぼ正確にトレースできるパーソナルAIというものができていて、会話だけであれば、SNSなどで行われたそれまでの発言から学習して再現する技術がある。
飲食店を見れば、配膳ロボットが人の作業をフォローしている。
足が遅い、応用が利かないなどの欠点はあるが、人の作業をわずかに減らす効果があるし、ロボットが配膳する姿は客の目を楽しませる。
中には完全自動ではなく、オペレーターが操作する配膳ロボットもある。こちらは人の働き方に影響し、自宅に居ながら店で働けるため、体の不自由な人の就職機会を広げている。
マニピュレーター、ロボット技術によって作られた機械の手は工場などで様々な作業を行っている。
用途が様々である分、バリエーションも豊富で、多様な発展を遂げている。
最近ではその制御ソフトが無償で配布されるなど、一般化が進んでいた。
これらを作る企業が保有する技術のほとんどは重要な財産であるため、秘匿されている。
まぁ、当たり前の話だ。
ただ、技術が秘匿されているとはいえ、何をしているかは分かるし、そういった技術があると知られれば、他の企業も追随する。
中にはパルクールロボットのように、複数の企業を転々とする事で技術を吸い出され、完全な秘匿がされていないものもある。
何が言いたいかというと、技術が使われた商品が出回り、周囲に影響を与えるのは止められていないという事。
協力体制は取られていないのでゆっくりではあるが、それでも技術が広まり、それらをまとめ上げたロボットが作られていく。
嫌な話を付け加えると、日本はそういった動きが弱く、海外は国を挙げてその流れを作っているわけで。日本以上に自国の技術への自信を持っていたり、自尊心が高かったりする。
そのため、技術大国だった日本よりも上だと、余所の国がやらかすパターンがあるのだった。
「でも、これは本当ですかね?」
「さぁ、どうだろうね? 可能性が低いとは言わざるを得ないけれど、絶対に無いと言い難いのだよ」
『韓国で人工知能の進化を確認』
『確証が無いままの発表は控えられていたが、新たな人工知能は韓国が最初と主張』
ニュースを見ると、そんな見出しが飛び交っている。
うん、よくある話だよな。
韓国でもロボットの人工知能の進化が確認され、自我を持ったロボットが生まれていたというのだ。
そして発表こそ遅れたものの、韓国のロボットの方が原神たちよりも先に自我を得ていたと主張している。
「こちらはいつ進化したのかの日付を公表しているから、その前には進化をしていたと言っていますけど。けど、その辺は嘘でしょうね」
「なぜ今頃になって、という話ではあるからね。そこはもう、かの国のメンツの問題だろう。
そこはもう、そういった国だから、としか言い様がないね」
「アメリカなんかは、自国が後発である事を隠さずに挑戦しているっていうのに。ああ、アメリカに負けるのは仕方が無いといっても、日本に負けたくないからって話なんでしょうね」
「そういう事だよ」
余所でも、原神に続き、ロボットに自我が芽生えた。
それが本当かどうかは知らせないけど、そういう事もあるだろうと、俺たち二人もそこは否定しなかった。
ただ、その時期については懐疑的な立場というか、真っ向から否定する。
韓国は日本をライバル視しているし、日本よりもロボと開発にお金を使っている自覚があるから、ロボット分野で負けたと認めたくないのだろう。
そのため、こんな発表をして日本よりも上だと自尊心を守る。
もちろん、ネットも俺たちと同じく、韓国の発表を疑っている。
ネットスラングによる馬鹿にした発言が飛び交い、そもそも自我が芽生えたという部分すら否定的であった。
韓国のロボットはこちらよりもマスコミを使い、バンバン特集を組んでいるけど、そこからボロが出そうな勢いである。
おかげさまで、あちらの人格持ちロボットのあだ名は『ポロット』である。『ボロット』でないのは、某ロボットへの配慮だ。まぁ、意味については考えるまでも無い。
「そういえば、韓国からはロボット同士、原神との対話をと言われていましたよね」
「もちろん、却下させてもらったがね。こちらの原神は、喋る事ができないのだから」
なお、韓国のロボットを作った会社からは、原神と自社のロボットによる対談をしたいと言われていた。
それもオンラインではなく、こちらが韓国に行って、である。
怪しさ爆発、罠の匂いしかしない。
わざわざ韓国にまで行こうという気になどならないのが普通だ。
余談ではあるが、韓国のロボットは「喋れる」。
ただ、その喋りについては、中の人が居るのではないかというのが、日本ネット民の主流意見だ。
オンライン対談を望まない理由は、こちらが同じ事をしないかどうか疑っているからだとか、そんな発言もある。
本当にどうでもいいな。