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アメリカへの回答

 私人としては、そこまで何か深い考えがあるわけでもない。


 老後の資金は稼ぎ終わり、今ならダンジョンの管理も人任せにできる。

 これまでは暇を持て余したから、やりたい事をやる、趣味に生きる結果として、ダンジョンに挑み続けていただけだ。

 それは目標と言えるものではない。


 「日本最強の冒険者」を掲げさせられた公人としては、ダンジョンで問題が起きたときの対処をする必要があるけど、日本でそんな事態が起きる事は、もう無いだろう。

 面倒だと思うなら、タイタンたちを派遣するだけでも解決できると思うよ。

 こんな俺だが、それでも「いざって時に助けに行く約束」だけで国からお金がもらえるので、不労所得も十分だ。


 ロボット生産をする経営者の一人としては、タイタンたちの改良や改善をチマチマ続けるだけ。

 強いて言うなら素材調達の強化、他社からの購入品を自前で用意できる様にするだけじゃないかな。

 それ以上の業務拡大を望むのは、鴻上さんとかに任せた方がいいと思っている。



 そんな保守的な話にはアーモンド氏への餌になるほどの面白味がないので、最近思い付いた、バカみたいな計画を教える事にした。


「実はですね、以前からダンジョン内で農業をするための仕組みを作っていまして」


 上手く騙すため、本当と噓を織り交ぜて喋る。

 まずは本当の話。

 及川教授がダンジョン内でゴブリンポーションの使用の可否を判別するのに役立てた、ダンジョン内で植物を栽培する装置について教える。


 元々は不要なゴブリンポーションを消費するためだけに始めた、「ポーションで植物を栽培したら面白い事にならないか?」というネタ的な実験だったんだけど。いまだに成果が出ていないけど、実験そのものは続けているんだよなぁ。

 植物栽培関係の実験だけに、成果が出るのは十年後ぐらいって認識でいるから、「このやり方では結果が出ない」という経験を積み重ねている最中というだけで、続けることにはそれなりの価値がある。


「ダンジョン内で植物栽培をするという事は、ある意味では、閉鎖環境下における植物栽培という見方も出来るんですよね」


 技術的に応用できるというのも、本当。

 ゴブリンの出る洞窟を使った実験なんだから、植物栽培に適さない環境だし。そこで植物を育てられるんだから、それ以外のところでも出来るようになると思うよ。

 あくまで、私見だけどね。


「これを、スペースコロニーに応用できたら、面白いと思いませんか?

 弊社のロボット産業は、宇宙開発事業にも応用ができます。ある程度の基盤ができるまで、地上からは資材を送るだけにとどめ、実作業をロボットに任せるというのは、現実的だと思いませんか?」


 なお、こういったネタ発言は、四宮教授のお友達と話したことがある。

 バトルクロスを開発したときに宇宙服を参考にしたので、縁が結ばれた人たちである。

 それにロボット開発はそっち系の研究者にも注目されていて、危険な船外作業をロボットに任せられないかという話をされた。

 バトルクロスを宇宙服の代用品にできないかって話もしたかな?



 こっちの会社と宇宙開発事業の相性が良いのも、本当の話だよ。

 ただ、さすがにスペースコロニーを作ろうっていうのは冗談だったけどね。


 それより海中都市の建築でもやってみるのが先だろう。

 宇宙開発は宇宙開発で面白そうだけど、ジオフロント(地下都市)計画、ギガフロート(超巨大浮島)計画、オーシャンスパイラル(海中都市)計画の方が、スペースコロニー(宇宙植民地)計画より難易度が低い。主に、資材の搬入の面で。


「まだ準備段階ですが、少しずつ、形にしていきますよ。

 これは、起きたまま見る夢ですからね」


 やれたら面白いのは本当。

 実際に手を付けるとしても、時間がかかるのも本当。

 ただ、現実を見ると無理難題の(たぐい)って思っているだけだよ。



 では、アーモンド氏にはこの嘘の話を持ち帰り、オフレコと言いつつ、無駄に拡散してもらいましょうかね。

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